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217話 そして近付く大一番③
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肯定の意思とともに、ロロが身構える。
こちらも全力で行く。人狼姿を纏い、ハルバードを構える。
先に動いたのはロロだった。シンプルな突撃での距離詰め、そして跳躍。
単純な軌道、返しにハルバードを振りぬく。
けどそんなものはロロも織り込み済みだったらしい、いいように足場にされ軌道が変わる。
咄嗟に姿勢を低くし、目の前でロロの爪が空を切る。
反撃にハルバードの大振り。だが強引な動き、既にそこにロロはおらず刃が空振る。
その間にロロは次の動き、思ったより早い!
変に急所に貰うよりは、と左腕で受け払う。これくらいなら魔力の毛皮で防げるが、切り裂かれるような痛みは走る。
同時に思う。ハルバードじゃ取り回しが重くて使い物にならない。消失させ、代わりに最初の頃に使ってた軽量な斧へ。
それに、別に受けに回り続ける必要も無い。ロロが立て直してる間に、こっちも仕掛ける。
だが身軽になったからといって、ロロは簡単に捕らえられるものでもない。
振った斧を足場にされ、けどそのパターンは見た。跳び先を見る前に距離を取り、即切り返す。
場所を予測し、斧を振るう。だが思ったより跳ねが高い、再び足場にされ更に跳ばれる。
けど、ふわっと浮いての無防備状態。こっちも跳んで追いかけ、すれ違いに一閃。多少ズラされたが、確かな感触。
しかし今度はこっちが待たれる側。身動きの厳しい空中に、地上からロロが襲い掛かってくる。
爪は斧の柄で受け止める、が、そのまま詰められる。牙の方は防ぐ手立てが無かった。
もつれ合いながら不安定な着地、強引にロロを振りほどく。
仕切り直し、になる前に一気に詰め寄る。
ロロの着地と同時、斧の横薙ぎ。無理矢理後方によけたロロが態勢を崩す。
更に追撃、と踏み込み詰める。
このまま振ればロロの喉元、決着を付けれると思った時。
不意に浮かぶ迷い、一瞬遅れる斧の振り。
それが決定的な、ロロの反撃のチャンスとなった。
タイミングの崩れた斧の振りは体勢を崩す要因となり、その隙を見逃すロロではなかった。
自分を踏み台にしながら背後に回り込むロロを、止める事はできなかった。
うつ伏せでロロにのしかかられ、首元に添えられる爪。
ここから状況を返す手は、もう無い。
決着はついた、と降りるロロからは、不満の念が伝わってきた。
「結果に納得できない、か?
…俺自身も意外だったよ。あんな迷いが出るなんて。」
ロロからの疑問と追究の意思に、立ち上がりながら答える。
「いやさ、最後にちょっと思っちゃったんだよ。ロロのハルルへの想いを、力でねじ伏せちゃっていいのかなって。
どうしようもない甘さだよね。俺から仕掛けた勝負なのに。ロロは覚悟の上で受けてくれたのに。」
そして返ってくるロロの答えは、呆れ、そして……。
「…なんだよそれ。じゃあ勝負なんて仕掛けた俺がバカみたいじゃん。」
ロロの召喚体が、肯定の意思と共に魔力へとほどける。
最初の印象に釣られて、全く気付いていなかった。
既にハルルに対してかそれ以上に、俺の事を認めてくれてたって事に。
こちらも全力で行く。人狼姿を纏い、ハルバードを構える。
先に動いたのはロロだった。シンプルな突撃での距離詰め、そして跳躍。
単純な軌道、返しにハルバードを振りぬく。
けどそんなものはロロも織り込み済みだったらしい、いいように足場にされ軌道が変わる。
咄嗟に姿勢を低くし、目の前でロロの爪が空を切る。
反撃にハルバードの大振り。だが強引な動き、既にそこにロロはおらず刃が空振る。
その間にロロは次の動き、思ったより早い!
変に急所に貰うよりは、と左腕で受け払う。これくらいなら魔力の毛皮で防げるが、切り裂かれるような痛みは走る。
同時に思う。ハルバードじゃ取り回しが重くて使い物にならない。消失させ、代わりに最初の頃に使ってた軽量な斧へ。
それに、別に受けに回り続ける必要も無い。ロロが立て直してる間に、こっちも仕掛ける。
だが身軽になったからといって、ロロは簡単に捕らえられるものでもない。
振った斧を足場にされ、けどそのパターンは見た。跳び先を見る前に距離を取り、即切り返す。
場所を予測し、斧を振るう。だが思ったより跳ねが高い、再び足場にされ更に跳ばれる。
けど、ふわっと浮いての無防備状態。こっちも跳んで追いかけ、すれ違いに一閃。多少ズラされたが、確かな感触。
しかし今度はこっちが待たれる側。身動きの厳しい空中に、地上からロロが襲い掛かってくる。
爪は斧の柄で受け止める、が、そのまま詰められる。牙の方は防ぐ手立てが無かった。
もつれ合いながら不安定な着地、強引にロロを振りほどく。
仕切り直し、になる前に一気に詰め寄る。
ロロの着地と同時、斧の横薙ぎ。無理矢理後方によけたロロが態勢を崩す。
更に追撃、と踏み込み詰める。
このまま振ればロロの喉元、決着を付けれると思った時。
不意に浮かぶ迷い、一瞬遅れる斧の振り。
それが決定的な、ロロの反撃のチャンスとなった。
タイミングの崩れた斧の振りは体勢を崩す要因となり、その隙を見逃すロロではなかった。
自分を踏み台にしながら背後に回り込むロロを、止める事はできなかった。
うつ伏せでロロにのしかかられ、首元に添えられる爪。
ここから状況を返す手は、もう無い。
決着はついた、と降りるロロからは、不満の念が伝わってきた。
「結果に納得できない、か?
…俺自身も意外だったよ。あんな迷いが出るなんて。」
ロロからの疑問と追究の意思に、立ち上がりながら答える。
「いやさ、最後にちょっと思っちゃったんだよ。ロロのハルルへの想いを、力でねじ伏せちゃっていいのかなって。
どうしようもない甘さだよね。俺から仕掛けた勝負なのに。ロロは覚悟の上で受けてくれたのに。」
そして返ってくるロロの答えは、呆れ、そして……。
「…なんだよそれ。じゃあ勝負なんて仕掛けた俺がバカみたいじゃん。」
ロロの召喚体が、肯定の意思と共に魔力へとほどける。
最初の印象に釣られて、全く気付いていなかった。
既にハルルに対してかそれ以上に、俺の事を認めてくれてたって事に。
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