210 / 231
210話 発展と③
しおりを挟む
翼を射貫かれた大ガラス。
拮抗していた所に痛手を受けた以上、そこからソウクロウに確保されるまでは一瞬だった。
並行に並ぶ紙人形数体の攻撃を受け、墜落した大ガラスが光沢の壁に囲われる。
「どうだ? 使い勝手は。」
一応警戒しつつ歩み寄ったところで、ソウクロウが問う。
「ちょっと当てるのに工夫はいるけど、魔法とか使える人なら問題無いと思う。
威力については見ての通りだ。」
大ガラスの翼に空いた穴からは、黒い霧のような魔力が漂っている。
見た所、弾はかなり余裕を持って貫通していた。あれなら多少硬い相手でも通用するだろうし、安全圏からというのも評価点。
…尤も、割く人員あたりのコスパには疑問があったが、戦力として取れる択が増える事に意味があるのだろう。
さて止めを、という時だった。
駆け抜ける影が、大ガラスに飛び掛かる。ロロだ。
突然の事で反応できなかったところに、ソウクロウが声を荒げる。
「まずい、そいつを引き戻せ!」
その言葉で咄嗟にロロに向かうが、目にした出来事に手を止めてしまう。
ロロが大ガラスの傷ついた翼を引きちぎり、貪っている。
まるで獲物の血で汚れるように、断面からの黒い霧がロロにしみ込んでいく。
「ロロ…?」
「話は後だ、とにかく止めるぞ!」
そう言いソウクロウが、紙人形を構える。
けど行動に至る前に、ロロがこちらに飛び掛かる。反射的にハルバードを作り出し、その爪を防ぐ。
状況を掴みきれない、けど今のロロが何をしでかすか分からないくらいは分かる。
後ずさったロロを追い、一気に踏み込む。ロロが反撃に転ずるが、寧ろ好都合。
こちらも反撃としてロロの前足を掴み、強制帰還させる。
いつもより黒い霧状に分解されたロロが、右手を通じて戻ってくる。
拮抗していた所に痛手を受けた以上、そこからソウクロウに確保されるまでは一瞬だった。
並行に並ぶ紙人形数体の攻撃を受け、墜落した大ガラスが光沢の壁に囲われる。
「どうだ? 使い勝手は。」
一応警戒しつつ歩み寄ったところで、ソウクロウが問う。
「ちょっと当てるのに工夫はいるけど、魔法とか使える人なら問題無いと思う。
威力については見ての通りだ。」
大ガラスの翼に空いた穴からは、黒い霧のような魔力が漂っている。
見た所、弾はかなり余裕を持って貫通していた。あれなら多少硬い相手でも通用するだろうし、安全圏からというのも評価点。
…尤も、割く人員あたりのコスパには疑問があったが、戦力として取れる択が増える事に意味があるのだろう。
さて止めを、という時だった。
駆け抜ける影が、大ガラスに飛び掛かる。ロロだ。
突然の事で反応できなかったところに、ソウクロウが声を荒げる。
「まずい、そいつを引き戻せ!」
その言葉で咄嗟にロロに向かうが、目にした出来事に手を止めてしまう。
ロロが大ガラスの傷ついた翼を引きちぎり、貪っている。
まるで獲物の血で汚れるように、断面からの黒い霧がロロにしみ込んでいく。
「ロロ…?」
「話は後だ、とにかく止めるぞ!」
そう言いソウクロウが、紙人形を構える。
けど行動に至る前に、ロロがこちらに飛び掛かる。反射的にハルバードを作り出し、その爪を防ぐ。
状況を掴みきれない、けど今のロロが何をしでかすか分からないくらいは分かる。
後ずさったロロを追い、一気に踏み込む。ロロが反撃に転ずるが、寧ろ好都合。
こちらも反撃としてロロの前足を掴み、強制帰還させる。
いつもより黒い霧状に分解されたロロが、右手を通じて戻ってくる。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説

転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います
七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。
独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。
が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。
再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。
独自世界のゆるふわ設定です。
誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。
毎日0時にアップしていきます。
タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。
よろしくお願いします。
※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。
※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる