そして俺は召喚士に

ふぃる

文字の大きさ
上 下
204 / 231

204話 その先にある③

しおりを挟む
「そうですね、改めて最初から順を追いましょう。」
 となれば時系列の深い、神話の方からでしょうか。」
 口調を徐々に落ち着かせながら、ハルルが話す。


「ゴデュラ信仰の神話は、その名にもなっている一人の魔術師『ゴデュラ』から始まりました。
 その時代、まだ魔法は一般的ではなく、魔術師というのは希少な存在で、立場は弱いものでした。

 そこで、ゴデュラは5人の仲間となる者を集めました。
 その仲間となる者も魔法は扱えませんでしたが、ゴデュラが彼らに魔法の使い方を伝授しました。自らを闇を司る者とし、5人にそれ以外の属性、炎・水・風・土・光をそれぞれ割り当てて。
 そしてその5人が更にそれぞれの勢力を持ち、下に付く者にそれぞれが魔術を伝授し、戦力としました。

 そして、魔法に対し否定的な者たちとの戦いとなりました。
 最初、ゴデュラの軍勢は戦力で負けていました。
 しかし魔法という存在が世界に知られるにつれ、ゴデュラの軍勢たちのように魔法を求める者も増え、ゴデュラたちは彼らを迎え入れました。
 それは戦力差を逆転させるには、十分過ぎました。

 戦いの末、ゴデュラ達の率いる軍勢は勝利を収めました。
 その後、軍勢によって魔法は更に広められ、その子孫であるのが私達魔界の徒人ヒューマ森人エルフです。

 …大まかな流れとしては、こんなところでしょうか。」
 『土人形の主』側の視点で考えれば、目的の結果に相違は無い、けど。
「微妙に現状との食い違いがあるのは、神話…物語として再編成されたのか?」
「あるいは私達の介入などで変化が起こったか、こことは別の地での戦いの事なのか。
 改めて情報をすり合わせしたいですし、先入観の少ないユートさんからの現状の話も聞かせてください。」


「まず『土人形の主』とやらに聞いた話、奴らの狙いは魔力濃度を上げる事。
 それによって魔法を表沙汰で使いたい的な事も言ってたな。」
「多少ニュアンスの差異あれど、ゴデュラの一団と主張は同じようですね。」
「それで、これはソウクロウに聞いた話。
 抵抗してはいるけど、着実にあっちの目論見通り魔力は増していってる。
 それで最終的には幽世かくりよとの境目が無くなるって。」
「そのカクリヨとは?」
 そうかそこからか、と思いつつ返答。
「ちょっとした異世界みたいなもので、基本はこっちの世界に似てるけど、魔力の状態によって空間が歪んでたり…ちょっと違った世界だ。」
 それを聞いて思う所ありげなハルル。
「聞く限り、私達の世界にも似たものがあります。
 遺跡やダンジョンとよばれるもの。建物であれば外観と内部の空間の大きさが異なっていたり、内部構造が変化したり、、時には突如現れたり。」
 肯定を返すには漠然とした一致、だけど、
「否定できないな、それが幽世と関係してるって事。」
 全くの別物としか思えていなかった2つの世界、その間に現れたする情報。
 ifルートとはいえ世界観が変わるレベルの事がこれから起こるのか、と思うとぞっとした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

処理中です...