そして俺は召喚士に

ふぃる

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201話 進化と進歩④

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「そうか、把握した。ご苦労だった。」
 今回の事をソウクロウに伝え終え。魔法銃の使用感の事、想定外の強さの怪異に出会った事、それによって魔法銃の燃費検証に関しては情報不十分となってしまった事。
 すんなり話が済んだのは、想定外の事が起こる事自体が想定内だったのだろう。

「それと、お前に話しておかねばならぬ事がある。
 例の呪いの槍についてだ。」
 呪いの槍、俺が人狼の呪いを受ける原因となった槍。複数の呪具を混ぜ合わせたものとは聞いていた、が。
「何か分かったのか?」
「…正確な解析は無理に近い、という事がな。
 業務が増えた今、現状として問題の出ていない事に対し、これ以上成果が出る可能性の薄い事に時間を割けぬ、という状況でな。すまぬ。」
「いや、むしろ俺の方こそ悪い、そこまで手間かけさせて……。」
「前にも言ったが、その呪いはこちらの落ち度だ。
 だから分かった範囲の事だけでも、伝えておく。」
 居直り、ソウクロウが言葉を続ける。

「あの槍先は人狼の牙も含まれてるのだろうが、殆どは呪術に使われた、獣の骨だ。
 それを溶かし混ぜ、呪いを凝縮したのが、あの槍の刃だ。」
「呪術に使われた…って、生贄とかか?」
「直接的に贄とするものも含め、動物を媒介とした呪術は多いからな。寺院の書物にもいくらか記録がある。
 犬を生き埋めにした土に酒を注ぎ呪言を唱える、カラスに疫病の呪いをかけ敵国へ放つ、など…聞いて快い話は無いな。
 それが個別判別不能なほど混ぜられた呪物、それがあの槍だ。」


「…今更なんだけど、そもそも『呪い』ってなんだ?」
「…随分と今更な話だな。」
「普通に通じる言葉だから考えた事も無かったけど、そもそも俺が思う一般的な『呪い』と違う意味合いでそう呼んでるのかも、って思ってさ。
 だから、改めて確認させてほしい。」
「そうか、それは確かに道理だな。
 広義には妖力を扱う事全般、狭義には貴様のその呪いのように持続的な悪影響を与える術を指す。」
「…じゃあやっぱり『呪い』って悪いものではある、のか?」
 少しの思考の間ののち、ソウクロウが返す。
「何があったかは推し測れんが、そうとも限らん。
 のろいとまじないが同じ字で書くように、定義としての境目は無い。例えば幸運を祈り御守りを頼る事妖力に頼るまじない事も、定義上はのろいと違いは無い。」
「…なるほど、そうか……。」
 その言葉だけで、完全に割り切れる訳ではない。けど、やっぱりロロの事を信じてみようと思うには十分な後押しだった。

「もうひとつ聞いていいか?」
 思考の連鎖の中、更に浮かんだ疑問点。
「もういひとつと言わずとも、疑念があるのなら聞くがいい。」
「もしこのままこの辺りの魔力…妖力が上がっていったら、不都合が出たりするのか?」
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