201 / 231
201話 進化と進歩④
しおりを挟む
「そうか、把握した。ご苦労だった。」
今回の事をソウクロウに伝え終え。魔法銃の使用感の事、想定外の強さの怪異に出会った事、それによって魔法銃の燃費検証に関しては情報不十分となってしまった事。
すんなり話が済んだのは、想定外の事が起こる事自体が想定内だったのだろう。
「それと、お前に話しておかねばならぬ事がある。
例の呪いの槍についてだ。」
呪いの槍、俺が人狼の呪いを受ける原因となった槍。複数の呪具を混ぜ合わせたものとは聞いていた、が。
「何か分かったのか?」
「…正確な解析は無理に近い、という事がな。
業務が増えた今、現状として問題の出ていない事に対し、これ以上成果が出る可能性の薄い事に時間を割けぬ、という状況でな。すまぬ。」
「いや、むしろ俺の方こそ悪い、そこまで手間かけさせて……。」
「前にも言ったが、その呪いはこちらの落ち度だ。
だから分かった範囲の事だけでも、伝えておく。」
居直り、ソウクロウが言葉を続ける。
「あの槍先は人狼の牙も含まれてるのだろうが、殆どは呪術に使われた、獣の骨だ。
それを溶かし混ぜ、呪いを凝縮したのが、あの槍の刃だ。」
「呪術に使われた…って、生贄とかか?」
「直接的に贄とするものも含め、動物を媒介とした呪術は多いからな。寺院の書物にもいくらか記録がある。
犬を生き埋めにした土に酒を注ぎ呪言を唱える、カラスに疫病の呪いをかけ敵国へ放つ、など…聞いて快い話は無いな。
それが個別判別不能なほど混ぜられた呪物、それがあの槍だ。」
「…今更なんだけど、そもそも『呪い』ってなんだ?」
「…随分と今更な話だな。」
「普通に通じる言葉だから考えた事も無かったけど、そもそも俺が思う一般的な『呪い』と違う意味合いでそう呼んでるのかも、って思ってさ。
だから、改めて確認させてほしい。」
「そうか、それは確かに道理だな。
広義には妖力を扱う事全般、狭義には貴様のその呪いのように持続的な悪影響を与える術を指す。」
「…じゃあやっぱり『呪い』って悪いものではある、のか?」
少しの思考の間ののち、ソウクロウが返す。
「何があったかは推し測れんが、そうとも限らん。
呪いと呪いが同じ字で書くように、定義としての境目は無い。例えば幸運を祈り御守りを頼る事妖力に頼る呪い事も、定義上は呪いと違いは無い。」
「…なるほど、そうか……。」
その言葉だけで、完全に割り切れる訳ではない。けど、やっぱりロロの事を信じてみようと思うには十分な後押しだった。
「もうひとつ聞いていいか?」
思考の連鎖の中、更に浮かんだ疑問点。
「もういひとつと言わずとも、疑念があるのなら聞くがいい。」
「もしこのままこの辺りの魔力…妖力が上がっていったら、不都合が出たりするのか?」
今回の事をソウクロウに伝え終え。魔法銃の使用感の事、想定外の強さの怪異に出会った事、それによって魔法銃の燃費検証に関しては情報不十分となってしまった事。
すんなり話が済んだのは、想定外の事が起こる事自体が想定内だったのだろう。
「それと、お前に話しておかねばならぬ事がある。
例の呪いの槍についてだ。」
呪いの槍、俺が人狼の呪いを受ける原因となった槍。複数の呪具を混ぜ合わせたものとは聞いていた、が。
「何か分かったのか?」
「…正確な解析は無理に近い、という事がな。
業務が増えた今、現状として問題の出ていない事に対し、これ以上成果が出る可能性の薄い事に時間を割けぬ、という状況でな。すまぬ。」
「いや、むしろ俺の方こそ悪い、そこまで手間かけさせて……。」
「前にも言ったが、その呪いはこちらの落ち度だ。
だから分かった範囲の事だけでも、伝えておく。」
居直り、ソウクロウが言葉を続ける。
「あの槍先は人狼の牙も含まれてるのだろうが、殆どは呪術に使われた、獣の骨だ。
それを溶かし混ぜ、呪いを凝縮したのが、あの槍の刃だ。」
「呪術に使われた…って、生贄とかか?」
「直接的に贄とするものも含め、動物を媒介とした呪術は多いからな。寺院の書物にもいくらか記録がある。
犬を生き埋めにした土に酒を注ぎ呪言を唱える、カラスに疫病の呪いをかけ敵国へ放つ、など…聞いて快い話は無いな。
それが個別判別不能なほど混ぜられた呪物、それがあの槍だ。」
「…今更なんだけど、そもそも『呪い』ってなんだ?」
「…随分と今更な話だな。」
「普通に通じる言葉だから考えた事も無かったけど、そもそも俺が思う一般的な『呪い』と違う意味合いでそう呼んでるのかも、って思ってさ。
だから、改めて確認させてほしい。」
「そうか、それは確かに道理だな。
広義には妖力を扱う事全般、狭義には貴様のその呪いのように持続的な悪影響を与える術を指す。」
「…じゃあやっぱり『呪い』って悪いものではある、のか?」
少しの思考の間ののち、ソウクロウが返す。
「何があったかは推し測れんが、そうとも限らん。
呪いと呪いが同じ字で書くように、定義としての境目は無い。例えば幸運を祈り御守りを頼る事妖力に頼る呪い事も、定義上は呪いと違いは無い。」
「…なるほど、そうか……。」
その言葉だけで、完全に割り切れる訳ではない。けど、やっぱりロロの事を信じてみようと思うには十分な後押しだった。
「もうひとつ聞いていいか?」
思考の連鎖の中、更に浮かんだ疑問点。
「もういひとつと言わずとも、疑念があるのなら聞くがいい。」
「もしこのままこの辺りの魔力…妖力が上がっていったら、不都合が出たりするのか?」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる