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197話 さらなる向上と③
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ハロウィンの事後処理が終わった頃だろう、ナナノハからの呼び出しがあった。
場所はナナノハの部屋。以前、会議の声が聞こえた通り、作戦室も兼ねているのだろう。
既にメンバーは揃っていて、座ってる並びの空いてるところに通される。
メンバーは俺の他にハルル・ナナノハ・アイナ、丁度向かいの残り2人は深くは知らないけど何度か挨拶した事がある。
要はこのアパートの総戦力だ。
物が少ないナナノハ部屋の中央卓に地図が広げられてるのはいよいよ何らかのアジトの様相だが、やっぱりアパートの内装ではあるのが、なんだかシュール。
遠征組の責任者としてはナナノハがリーダーとの事だが、戦術面はハルルが指揮を執ってるようで。
普段の明るい雰囲気からは打って変わって、同席してるだけで言葉を発しがたい緊張感を漂わせている。
「では、改めて現状の確認から。
ミシカンド派遣調査チームと東妖衆の混成戦力が今や12、それが分担して丁度この地図の範囲を担ってます。」
と言いながら、ハルルが芯を引っこめたボールペンで範囲を示す。
情報処理が進んだからだろう、複数の地図を繋げられて、前に見た時より広域の地図となっている。
端の方には分布を示す付箋が少なく、この地図の外はさほど問題になっていない事がうかがえる。。
「そして私たちAの分担は、この拠点に近いこの一帯。」
くるりと囲んで指し示したのは、放射状に広がる川のような分布の塊の内のひとつ。
前に見た時は途切れ途切れだったが、今や中心から長くずっと伸びている。
「随分と法則的だけど、何か理由でもあるのか?」
向かい席の片方の問いに、ハルルが答える。
「それが共有したい情報でもあります。
まずはこの分布、これは龍脈という、大地に走る魔力の力線に沿ってるとの事です。」
「待て龍脈ってあの龍脈か? その上でバトってるって、流石にやばいだろ。」
というアイナの発言に対し、ハルルが返す。
「そう、これまでの戦地の指定からしても、敵の狙いはそれでしょう。
怪異による魔力上昇での龍脈の活性化、そして龍脈の流れの先にあり龍脈が集まるこの一点。」
トンと叩きと指し示す中心。辛うじて見える下の地図を見るに、山だ。
「その場所に敵の目的がある、と。」
そう呟いたのは、向かい席のもう一人の方だった。
「書庫の情報の深い所に、関する話がありました。
情報が古く名称不明、文献の中では『オロチ』と称されてる古い強大な怪異。
それが、この山に封印されてる、とありました。」
「でも、それだけ古い存在で、しかも封印し続けられていたのなら、そこまで警戒する程なのかな?」
「実際、その文献が記された時から今までの1200年以上、その通り弱体化により無力となっていました。
対し封印の方は、具体的な手順は部外秘との事ですが、龍脈を使い封印を補強し、今まで解かれずに至ったそうです。
しかし今は状況が変わり、封印の補強を行えず、混ざり合った怪異の魔力が集まっていってる。
封印優位だった力関係が危うくなっている、というのが現状です。」
「で、これからどうするってんだ?」
1人目の方の向かい席の問いに、ハルルが答える
「当初は復活阻止のつもりでした。しかし、現状から封印を維持しようとすると、時間経過による弱体化を待つしかなく、リスクの高い選択となってしまいます。
なので、可能な限り力の流入を抑えた上で一度封印を解除、直接戦闘によって弱体化させ再封印、という方針です。」
「でも、それって敵側の思惑通りなんじゃ?」
思った事をつい言葉にし、それにハルルが反応する。
「そうですね…その点で言えば後手に回ってしまった点はこちらの負けと言わざるを得ません。
ですが、最終的に勝利に返す為にこの場の被害を最小限に抑え込む、そういう戦いになります。」
場所はナナノハの部屋。以前、会議の声が聞こえた通り、作戦室も兼ねているのだろう。
既にメンバーは揃っていて、座ってる並びの空いてるところに通される。
メンバーは俺の他にハルル・ナナノハ・アイナ、丁度向かいの残り2人は深くは知らないけど何度か挨拶した事がある。
要はこのアパートの総戦力だ。
物が少ないナナノハ部屋の中央卓に地図が広げられてるのはいよいよ何らかのアジトの様相だが、やっぱりアパートの内装ではあるのが、なんだかシュール。
遠征組の責任者としてはナナノハがリーダーとの事だが、戦術面はハルルが指揮を執ってるようで。
普段の明るい雰囲気からは打って変わって、同席してるだけで言葉を発しがたい緊張感を漂わせている。
「では、改めて現状の確認から。
ミシカンド派遣調査チームと東妖衆の混成戦力が今や12、それが分担して丁度この地図の範囲を担ってます。」
と言いながら、ハルルが芯を引っこめたボールペンで範囲を示す。
情報処理が進んだからだろう、複数の地図を繋げられて、前に見た時より広域の地図となっている。
端の方には分布を示す付箋が少なく、この地図の外はさほど問題になっていない事がうかがえる。。
「そして私たちAの分担は、この拠点に近いこの一帯。」
くるりと囲んで指し示したのは、放射状に広がる川のような分布の塊の内のひとつ。
前に見た時は途切れ途切れだったが、今や中心から長くずっと伸びている。
「随分と法則的だけど、何か理由でもあるのか?」
向かい席の片方の問いに、ハルルが答える。
「それが共有したい情報でもあります。
まずはこの分布、これは龍脈という、大地に走る魔力の力線に沿ってるとの事です。」
「待て龍脈ってあの龍脈か? その上でバトってるって、流石にやばいだろ。」
というアイナの発言に対し、ハルルが返す。
「そう、これまでの戦地の指定からしても、敵の狙いはそれでしょう。
怪異による魔力上昇での龍脈の活性化、そして龍脈の流れの先にあり龍脈が集まるこの一点。」
トンと叩きと指し示す中心。辛うじて見える下の地図を見るに、山だ。
「その場所に敵の目的がある、と。」
そう呟いたのは、向かい席のもう一人の方だった。
「書庫の情報の深い所に、関する話がありました。
情報が古く名称不明、文献の中では『オロチ』と称されてる古い強大な怪異。
それが、この山に封印されてる、とありました。」
「でも、それだけ古い存在で、しかも封印し続けられていたのなら、そこまで警戒する程なのかな?」
「実際、その文献が記された時から今までの1200年以上、その通り弱体化により無力となっていました。
対し封印の方は、具体的な手順は部外秘との事ですが、龍脈を使い封印を補強し、今まで解かれずに至ったそうです。
しかし今は状況が変わり、封印の補強を行えず、混ざり合った怪異の魔力が集まっていってる。
封印優位だった力関係が危うくなっている、というのが現状です。」
「で、これからどうするってんだ?」
1人目の方の向かい席の問いに、ハルルが答える
「当初は復活阻止のつもりでした。しかし、現状から封印を維持しようとすると、時間経過による弱体化を待つしかなく、リスクの高い選択となってしまいます。
なので、可能な限り力の流入を抑えた上で一度封印を解除、直接戦闘によって弱体化させ再封印、という方針です。」
「でも、それって敵側の思惑通りなんじゃ?」
思った事をつい言葉にし、それにハルルが反応する。
「そうですね…その点で言えば後手に回ってしまった点はこちらの負けと言わざるを得ません。
ですが、最終的に勝利に返す為にこの場の被害を最小限に抑え込む、そういう戦いになります。」
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