そして俺は召喚士に

ふぃる

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196話 さらなる向上と②

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「なるほど、戦力足りえる程であったか。」
 諸々が落ち着いてきたタイミングを見て、ソウクロウと反省会。
 分解したおもちゃ銃の内側の空洞には、以前ソウクロウに仕込んでもらった、文字のような模様。これが妖力の流れを制御して、砲身に魔力を込めやすくしてる、との事だ。
 しかし今はその上に、さらに黒く焦げ付いたように汚れている。
「…最後の方はちょっと調子悪かったけど、これのせいか。」
「急ぎの試用として簡易な作りになってしまったからな。時間さえあれば、長く使える仕上がりになろう。
 だが、これはもう補修は厳しいだろうな。」
「悪い、折角手間かけてもらったのに。」
「いや、この僕もまだまだ学びの身だ、実験的な書き方をするいい機会だった。新たに作り直すのもやぶさかではない。
 しかし、そうか威力不足か。」
 散弾状の射撃は、範囲の雑魚掃討には確かに便利だった。けど、便利止まりでしかなかった。
 用途の幅を増やすには、やっぱり威力は必要となる。
「弾がちゃんと集約すれば、十分な威力になると思う。
 けど、それは俺もイメージが固まりきってなかったのも原因だろうから、その呪文?のせいかは……。」
「誰が使っても一定の性能は保障される。銃とはそういうものだろう?
 ならば、弾丸の形状すら知らずとも妖力を込めれば武器になる。そうあるべきだ。」
「…銃にこだわりでもあるのか?」
 思い返せばこの話を持ち出した時も、妙に積極的だった。
「魔界とやらからの援軍はありがたいのだが、戦力として個性的というか、場所を選ぶ者も多いのだ。
 例えば炎使いの者が全力を出せる戦地など、相当限られよう?」
 むしろ全力を出せるような場所があるのか、とか思ってる間にソウクロウが話を続ける。
「故に、誰でも一定の戦力を保証できる武器を用意できれば、総戦力としては大幅に向上を図れる。
 事の始まりはお前の個人的な願望であろうが、成就で得られる恩恵はそれに留まらぬものなのだ。」
 そして焦げた模様を見つめ、思案モードに入りかけてるところに割り込む。
「…何か手伝える事は無いか? それの書き方さえ教えてくれれば気付く事もあるかもしれないけど。」
「…貴様、今自分が怪異寄りの存在という自覚はあるのか?」
 一息分の間で整えてから、ソウクロウが続ける。
「この『呪紋』は、本来妖力を扱えぬ者や、設置し受動的な妖力供給が得られぬ場合などに使う為に存在する、札に使うものだ。まさに銃と同じく、誰が使っても効力を発揮する妖術武器、その製法といったところか。
 その技術漏出は、個人的な信用のみで足りる範疇を超えるところにある。」
「それは…そうか。」
 漠然とした陰陽師のイメージの中でも相伝の術だとかもありそうだし、そのうちの一つだろうか。それが怪異相手となればなおさらか。
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