そして俺は召喚士に

ふぃる

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186話 修学旅行中の波乱⑥

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 魔力反応の去った林の中、石階段を上っていく。
 道中も歩きながらでできる限りの魔力探知を続けてはいるが、引っかかる反応は無い。全面的に撤退したのだろうか。

 そしてたどり着く目的地、斜面に建つ黄泉津よみつ寺が見える場所。相手の探知を警戒し、少し距離を置いた所でキリが足を止める。
「…ここから寺全体、サーチできるか?」
「了解、警戒頼む。」
 腰を落とし、探知に集中。
「数えきれないくらい多数の反応、人形を全部集めたんだと思う。
 その中でひとつ、これは狙撃手かな、大きな反応がある。
 向かうか?」
「…単騎突撃いけるか?」
「任せろ。」


 人狼姿を纏った状態にも慣れてきた。今なら満月時のフィジカルもかなりの精度で再現できる。
 葉人形は反応から攻撃まで4秒ほどかかる。なら、それより早くたどり着けばいい。

 シンキングタイム終了、行動に移す。
 石畳の隙間に足の爪をかけ、一気に加速。
 そして扉の前で大きく跳躍、屋根の上へと。
 着地時に少し滑りかけたがもちなおし、再加速。不自然な葉の音がするが、気にしてる余裕は無い。
 大社の上空へと飛び出しそうな一望、しかし今の標的はその下。
 屋根の端、突き出したバルコニー。そこに居座る大きな反応めがけて、跳躍に備えてハルバードを振りかぶる。
 いや、直撃は流石に競技的にはまずそう。飛び降り、標的のすぐ隣の床にハルバードを突き立て、踏みつけ制圧する。
 …妙に軽い。いやこれ葉人形だ。
 不意に背後に動く魔力を感知。だけど時すでに遅し、背後の天井から降りてくる反応ひとつ。

 だが、その一撃は狙いには届かなかった。
 別の反応によって軌道が横に折れ、振り返った時には既にキリが棍で制圧していた。
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