そして俺は召喚士に

ふぃる

文字の大きさ
上 下
184 / 231

184話 修学旅行中の波乱④

しおりを挟む
「…大概の事はできる。
 他に聞く事はあるか?」
 そのキリの言葉に対し一考、一抹の不安を言葉にする。
「…ゲームくらいの感覚でいいんだよな? 大丈夫だよな?」
「普通の人間とかならともかく、妖術使えるくらいなら見た目致命傷でもまぁ死なんと思う。
 それに、無益な殺しになったら立場で損するのはあっちの方だ。ほら、弾に威力が無いだろ?」
 そう言いキリが指した先、最初の銃弾が飛んだ先。上方からの射撃、地面に着弾したはず。
 だけどそういった痕跡は、どこにも見当たらない。
「とはいえサバゲーは紳士協定だ。掠りでもしたらゲーム的な死、それくらいの気持ちで挑め。」
「…分かった。」

「それで『試したい事』は準備いらないのか?」
「そうだな、やってみる。」
 要領は普段の召喚と同じ。でも、今回はそれを俺自身が纏うように行う。
 丁度満月の翌日、記憶も新鮮だ。より鮮明にイメージする為に、左腕から。布がインクで染まっていくように……。
 キリも存在自体は聞いてたのか、そこまで驚いた様子ではなかった。
「…姿の行き来自由なのか?」
「いや、見た目を被せた着ぐるみみたいな状態だ。それでも真似れば、何かできる事増える気がして」
 見た目だけ模した人狼の姿、それでも耳も尻尾も実際にあるような感覚で動かせる。ここが幽世なのも影響してるのだろうか?
「そうか、分かった。行くぞ。」
 そんな軽いノリでいいのか?と思ったが、駆け出したキリにツッコむ暇は無かった。

 その恩恵はすぐに現れた。
 さっきキリが打ち抜いたもの、それは木の葉を固めて操った人形だった。動くだけで、葉同士でこすれる音がする。わずかな音だが、今ならそれを聞き分ける事ができる。
 なら、弾道を待つまでもなく場所は分かる。
 高台の狙撃ポイントの陰を進むキリ。道中、動く兵隊人形の音。
 移動し始めてすぐの時、一度キリが対処したので時間は測った。動き始めてから発砲まで4秒程、その位置なら間に合う。
 一気に踏み込み速度を上げ跳び、壁蹴りの要領で木を中継地点として素早く屋根の上へ。
 見た目にも葉の塊の人形がこちらに気付くが、もう遅い。
 銃口がこちらを向く前に、ハルバードが木の葉人形を両断する。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...