178 / 231
178話 修学旅行②
しおりを挟む
初日は宿に直行し、一晩経ち。
本格的な行動は2日目の団体行動からだ。
来たのは山の斜面にある寺、黄泉津寺。
林の上に突き出る舞台のような外観は、一度見たら忘れられない印象深さ。だけど上からの一望も壮観の一言。
だけどその風景の脇で目立つのが、ショウヤとハルルだった。
ショウヤの話に、ハルルが耳を傾けている。
「──そしてこの特異なる立地と建築は『空へと至る港』、つまり死者の国に繋がる場所であると考えられた。
だからこの祀られてる像、左は死者を送り届ける者、右は悪いものが来ないよう守る者、とされている。」
「死者の国…私には馴染みの無い概念です。どのようなものなのでしょ?」
「主に昔の人の思想かな。
死後の魂が向かう国があるっていう教えは多くて、例えば善行を──」
ガイドそっちのけ、ハルルに解説するショウヤ。この2人の組み合わせはなんか新鮮な感じだ。
行程に流されるがまま、気が付けば初日の日程が終わり。
落ち着いて見れる時間は少なく、そういうのは明日に回すと割り切ってからは余計に時間が早く感じた。
そして夕食後の自由時間、自販機前の休憩所にハルルが居た。
「どう? 大分熱心な解説受けてたけど。」
自分も缶ジュースを1本買い、隣に座る。
「とても楽しんでます!
ショウヤさんのお陰で、今まで気づけなかったこちらの世界の考え方とか色々知れましたし!
それに料理も目新しいものばかりで、場所も魔力に溢れて、明日はもっとゆっくり見れるんですよね!?」
「あぁ、班の自由行動の日だからな。」
ショウヤが積極的過ぎて心配だったが、どうやら杞憂だったらしい。
…考えてみればそれもそうか。ナナノハほどでなくても早期の人員って事は、相応に好奇心のひとか。
「でも、だからこそ『何も起こらなかった』のが気になります。
こんなに魔力に溢れて、魔力的な要点もあるのに、その存在を見かけないなんて。
なのに、常に見られてるような視線は感じていて……。」
それが視線なのかどうかまでは自分には分からなかったが、確かに一帯を満たす魔力とは別に、妙な気配は感じていた。
「まぁこっちの奴らにも色々あるんだろう。悪いように思わないでやってくれ。」
あの位置情報ゲームアプリ「ゴーストファインダー」は全国を戦場としている。ここも影響を受けてるとしたら、事情は察する。
…なんてしんみりした考えも、また杞憂だった。
「…余計に興味そそられてしまいます!」
「え、監視されてるようで嫌とかじゃなく?」
「警戒されるのは当然でしょう。よそ者は私の方、それを忘れるつもりはありません。でもこちらの魔力生命体がどのようなものか気になって仕方ないです!
それに私の立場上、誰かを監視する事はあっても監視される事は無かったので、なんだか新鮮で!」
ここまで目を輝かせてるハルルを見るのは、いつ以来だろうか。
「…一応言っておくけど、変な干渉はしてやるなよ。」
「分かってますよ。あちらからの接触が無い限り、無理な干渉はしません。」
本格的な行動は2日目の団体行動からだ。
来たのは山の斜面にある寺、黄泉津寺。
林の上に突き出る舞台のような外観は、一度見たら忘れられない印象深さ。だけど上からの一望も壮観の一言。
だけどその風景の脇で目立つのが、ショウヤとハルルだった。
ショウヤの話に、ハルルが耳を傾けている。
「──そしてこの特異なる立地と建築は『空へと至る港』、つまり死者の国に繋がる場所であると考えられた。
だからこの祀られてる像、左は死者を送り届ける者、右は悪いものが来ないよう守る者、とされている。」
「死者の国…私には馴染みの無い概念です。どのようなものなのでしょ?」
「主に昔の人の思想かな。
死後の魂が向かう国があるっていう教えは多くて、例えば善行を──」
ガイドそっちのけ、ハルルに解説するショウヤ。この2人の組み合わせはなんか新鮮な感じだ。
行程に流されるがまま、気が付けば初日の日程が終わり。
落ち着いて見れる時間は少なく、そういうのは明日に回すと割り切ってからは余計に時間が早く感じた。
そして夕食後の自由時間、自販機前の休憩所にハルルが居た。
「どう? 大分熱心な解説受けてたけど。」
自分も缶ジュースを1本買い、隣に座る。
「とても楽しんでます!
ショウヤさんのお陰で、今まで気づけなかったこちらの世界の考え方とか色々知れましたし!
それに料理も目新しいものばかりで、場所も魔力に溢れて、明日はもっとゆっくり見れるんですよね!?」
「あぁ、班の自由行動の日だからな。」
ショウヤが積極的過ぎて心配だったが、どうやら杞憂だったらしい。
…考えてみればそれもそうか。ナナノハほどでなくても早期の人員って事は、相応に好奇心のひとか。
「でも、だからこそ『何も起こらなかった』のが気になります。
こんなに魔力に溢れて、魔力的な要点もあるのに、その存在を見かけないなんて。
なのに、常に見られてるような視線は感じていて……。」
それが視線なのかどうかまでは自分には分からなかったが、確かに一帯を満たす魔力とは別に、妙な気配は感じていた。
「まぁこっちの奴らにも色々あるんだろう。悪いように思わないでやってくれ。」
あの位置情報ゲームアプリ「ゴーストファインダー」は全国を戦場としている。ここも影響を受けてるとしたら、事情は察する。
…なんてしんみりした考えも、また杞憂だった。
「…余計に興味そそられてしまいます!」
「え、監視されてるようで嫌とかじゃなく?」
「警戒されるのは当然でしょう。よそ者は私の方、それを忘れるつもりはありません。でもこちらの魔力生命体がどのようなものか気になって仕方ないです!
それに私の立場上、誰かを監視する事はあっても監視される事は無かったので、なんだか新鮮で!」
ここまで目を輝かせてるハルルを見るのは、いつ以来だろうか。
「…一応言っておくけど、変な干渉はしてやるなよ。」
「分かってますよ。あちらからの接触が無い限り、無理な干渉はしません。」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる