そして俺は召喚士に

ふぃる

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162話 今の戦場①

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 日を改め、ナナノハの部屋へ呼び出され。
 最初の頃のハルルの部屋より生活感が無い。というか物が無さすぎる。
 冷蔵庫や洗濯機といった家電どころか、寝床となる物さえも見当たらない。
 あるのはローテーブルに引き出し収納、そしてプラスチックの桶くらいのものだ。

「随分とシンプルな部屋なんだな。」
「まぁ、暮らすのに最低限必要な物が殆ど無いもので。」
「なんだっけ…確か自分の事を魔術兵器だとか言ってたっけ。」
 こうして話しててもあまりにも普通の人間にしか見えず、把握はしていても実感として薄い話だった。
「自律型魔術式武器、ですね。以前にも話した通り、AIのようなものです。」
「…そうやって自分を作り物みたいに言うの、抵抗とかないのか?」
「そういう葛藤フェイズはもう終わらせたので。
 では本題に入りましょう。」
 …そんな軽く流すような話なのか?

「しばらく戦線から離れてたとの事なので、現状の話を。」
 とナナノハが言い、部屋の壁に貼ってある地図の前へ。
「これは?」
「穏明寺院の書物の情報に、東妖衆の情報を加えた、怪異の分布図です。」
「…そっちの字、読めないんだけど。」
 市販の地図に、大量の付箋でメモが成されている。ハルル達の世界の文字だろうか、見た事の無い文字だ。
「需要の都合で、そこは申し訳ないです。
 仔細は実戦の時に追々として、おおよその密度などを見てもらえば。」
 付箋は2色。大量の黄色と、散るように置かれてる赤。
 黄色の分布にはムラがあり、密集地帯の様相はまるで──
「…川?」
「やっぱりそう見えますよね。
 黄色が確認できた情報、赤がレイドボスに指定された記録です。
 初期の記録はこっちの外れにあるのですが、今は的確に集団の中を指定してきています。」
 そう言いナナノハが前者はぽつんと集団から外れてる赤を、後者は川のような黄色の集合体の中心にある赤を指さす。
「でも、それで何か変わるのか?」
「そうですね、一度見ておくべきと思います。これからお時間大丈夫でしょうか?」
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