151 / 231
151話 試行錯誤⑤
しおりを挟む
発想がまだ新しい内に。
既存の術をベースに、現状を反映した、新しい術の形の構築だ。
2回目の人狼化は険しい夜ではあったが、収穫もあった。
1回目の時は記憶が曖昧で、実は夢だったとでも言われたら納得してしまいそうな程、状態を把握できていなかった。
だけど、2回目ので呪いの感覚は分かった。曖昧だった人狼の呪いの輪郭を、明確に捉えることができた。
改めて、昨晩で掴んだ状況を纏める。
人狼の呪いは2つの要素に分けられる。肉体の変化と、精神の支配。「人狼化して暴走する」という1つの呪いだと思っていたが、実際は2つの呪いの組み合わせとも言える。
前者が後者を呼び出すトリガーになってるのか、それとも同じ条件だけど発動に時間差があるのか。なんにせよ、この2つの要素は別の存在、そう感じた。
前者だけならそのままでもどうにかなる。解決すべきは後者の方。
より強いイメージの為に、自分を機械に例えて考える。
自分というハードウェアの中に、自分の意思というアプリが起動してて、呪いの意思というアプリが起動はしてないがインストールされてる状態。
その「呪いの意思」を削除したいができず、定期的に強制で起動される状態。けどその出力先が自分である必要があるのだろうか?
その発想に至ったのは神社の狐の言葉だった。霊を使役をする術者もいた、という。だけどこいつの場合、使役する為の形を持っていない。
なら、あるじゃないか。丁度いい出力先が。
イメージとしては外付け端末だろうか。より明確にイメージする為に具体的な一例…たとえば無線イヤホンとか。
これまでと同じようにウルフを召喚し、これからが新たに試す作業。
昨晩の経験をもとに自分の内側に意識を集中すると感じる、黒いモヤモヤの塊。
それの出力先を、想像の中の設定画面でウルフに切り替える。
慣れないイメージ、中々に時間がかかる。
不意に、ウルフの接続が切られる感覚。だけどウルフが消失した訳ではなく、まだそこにいる。
襲い掛かってくるのを、咄嗟に長柄の斧を作り出し、柄で防御。
こんなファーストコンタクトにはなったが、確かに「自分でない何か」がウルフに宿っていた。
既存の術をベースに、現状を反映した、新しい術の形の構築だ。
2回目の人狼化は険しい夜ではあったが、収穫もあった。
1回目の時は記憶が曖昧で、実は夢だったとでも言われたら納得してしまいそうな程、状態を把握できていなかった。
だけど、2回目ので呪いの感覚は分かった。曖昧だった人狼の呪いの輪郭を、明確に捉えることができた。
改めて、昨晩で掴んだ状況を纏める。
人狼の呪いは2つの要素に分けられる。肉体の変化と、精神の支配。「人狼化して暴走する」という1つの呪いだと思っていたが、実際は2つの呪いの組み合わせとも言える。
前者が後者を呼び出すトリガーになってるのか、それとも同じ条件だけど発動に時間差があるのか。なんにせよ、この2つの要素は別の存在、そう感じた。
前者だけならそのままでもどうにかなる。解決すべきは後者の方。
より強いイメージの為に、自分を機械に例えて考える。
自分というハードウェアの中に、自分の意思というアプリが起動してて、呪いの意思というアプリが起動はしてないがインストールされてる状態。
その「呪いの意思」を削除したいができず、定期的に強制で起動される状態。けどその出力先が自分である必要があるのだろうか?
その発想に至ったのは神社の狐の言葉だった。霊を使役をする術者もいた、という。だけどこいつの場合、使役する為の形を持っていない。
なら、あるじゃないか。丁度いい出力先が。
イメージとしては外付け端末だろうか。より明確にイメージする為に具体的な一例…たとえば無線イヤホンとか。
これまでと同じようにウルフを召喚し、これからが新たに試す作業。
昨晩の経験をもとに自分の内側に意識を集中すると感じる、黒いモヤモヤの塊。
それの出力先を、想像の中の設定画面でウルフに切り替える。
慣れないイメージ、中々に時間がかかる。
不意に、ウルフの接続が切られる感覚。だけどウルフが消失した訳ではなく、まだそこにいる。
襲い掛かってくるのを、咄嗟に長柄の斧を作り出し、柄で防御。
こんなファーストコンタクトにはなったが、確かに「自分でない何か」がウルフに宿っていた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
異世界転移したよ!
八田若忠
ファンタジー
日々鉄工所で働く中年男が地球の神様が企てた事故であっけなく死亡する。
主人公の死の真相は「軟弱者が嫌いだから」と神様が明かすが、地球の神様はパンチパーマで恐ろしい顔つきだったので、あっさりと了承する主人公。
「軟弱者」と罵られた原因である魔法を自由に行使する事が出来る世界にリストラされた主人公が、ここぞとばかりに魔法を使いまくるかと思えば、そこそこ平和でお人好しばかりが住むエンガルの町に流れ着いたばかりに、温泉を掘る程度でしか活躍出来ないばかりか、腕力に物を言わせる事に長けたドワーフの三姉妹が押しかけ女房になってしまったので、益々活躍の場が無くなりさあ大変。
基本三人の奥さんが荒事を片付けている間、後ろから主人公が応援する御近所大冒険物語。
この度アルファポリス様主催の第8回ファンタジー小説大賞にて特別賞を頂き、アルファポリス様から書籍化しました。

元勇者、魔王の娘を育てる~血の繋がらない父と娘が過ごす日々~
雪野湯
ファンタジー
勇者ジルドランは少年勇者に称号を奪われ、一介の戦士となり辺境へと飛ばされた。
新たな勤務地へ向かう途中、赤子を守り戦う女性と遭遇。
助けに入るのだが、女性は命を落としてしまう。
彼女の死の間際に、彼は赤子を託されて事情を知る。
『魔王は殺され、新たな魔王となった者が魔王の血筋を粛清している』と。
女性が守ろうとしていた赤子は魔王の血筋――魔王の娘。
この赤子に頼れるものはなく、守ってやれるのは元勇者のジルドランのみ。
だから彼は、赤子を守ると決めて娘として迎え入れた。
ジルドランは赤子を守るために、人間と魔族が共存する村があるという噂を頼ってそこへ向かう。
噂は本当であり両種族が共存する村はあったのだが――その村は村でありながら軍事力は一国家並みと異様。
その資金源も目的もわからない。
不審に思いつつも、頼る場所のない彼はこの村の一員となった。
その村で彼は子育てに苦労しながらも、それに楽しさを重ねて毎日を過ごす。
だが、ジルドランは人間。娘は魔族。
血が繋がっていないことは明白。
いずれ真実を娘に伝えなければならない、王族の血を引く魔王の娘であることを。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる