そして俺は召喚士に

ふぃる

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151話 試行錯誤⑤

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 発想がまだ新しい内に。
 既存の術をベースに、現状を反映した、新しい術の形の構築だ。


 2回目の人狼化は険しい夜ではあったが、収穫もあった。
 1回目の時は記憶が曖昧で、実は夢だったとでも言われたら納得してしまいそうな程、状態を把握できていなかった。
 だけど、2回目ので呪いの感覚は分かった。曖昧だった人狼の呪いの輪郭を、明確に捉えることができた。

 改めて、昨晩で掴んだ状況を纏める。
 人狼の呪いは2つの要素に分けられる。肉体の変化と、精神の支配。「人狼化して暴走する」という1つの呪いだと思っていたが、実際は2つの呪いの組み合わせとも言える。
 前者が後者を呼び出すトリガーになってるのか、それとも同じ条件だけど発動に時間差があるのか。なんにせよ、この2つの要素は別の存在、そう感じた。
 前者だけならそのままでもどうにかなる。解決すべきは後者の方。

 より強いイメージの為に、自分を機械に例えて考える。
 自分というハードウェアの中に、自分の意思というアプリが起動してて、呪いの意思というアプリが起動はしてないがインストールされてる状態。
 その「呪いの意思」を削除したいができず、定期的に強制で起動される状態。けどその出力先が自分である必要があるのだろうか?
 その発想に至ったのは神社の狐の言葉だった。霊を使役をする術者もいた、という。だけどこいつの場合、使役する為の形を持っていない。
 なら、あるじゃないか。丁度いい出力先が。

 イメージとしては外付け端末だろうか。より明確にイメージする為に具体的な一例…たとえば無線イヤホンとか。
 これまでと同じようにウルフを召喚し、これからが新たに試す作業。
 昨晩の経験をもとに自分の内側に意識を集中すると感じる、黒いモヤモヤの塊。
 それの出力先を、想像の中の設定画面でウルフに切り替える。
 慣れないイメージ、中々に時間がかかる。

 不意に、ウルフの接続が切られる感覚。だけどウルフが消失した訳ではなく、まだそこにいる。
 襲い掛かってくるのを、咄嗟に長柄の斧を作り出し、柄で防御。
 こんなファーストコンタクトにはなったが、確かに「自分でない何か」がウルフに宿っていた。
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