そして俺は召喚士に

ふぃる

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95話 迷い込んだ先は②

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 日陰に長く居たからか、日の光が眩しい。
 まだ覚めきらない頭に、街の音が響く。
 徐々に目が慣れてきて、風景が見えてくる。

 幅の広い大通り。立ち並ぶ店は食材や服飾、生活用品とかだろうか。
 言語は…英語っぽいイントネーションだけど、聞き覚えのある単語は全く無い。そもそも英語だったとしても、実用できる程のリスニング力は無いけども。
 通りの向こうに見える塔は、何かのシンボルだろうか? 他の建物は高さが均一で整っていて、ぱっと見でこれといった目安になる物は無い。
 となれば目立つ「何か」として、塔に向かってみるべきか。

 やがて周りの店の傾向が変わってきて、料理屋の多いゾーンへ。
 どういう料理だろうか、嗅ぎ慣れない香りだが、食欲をそそられて仕方がない。
 気にはなるが言葉が分からない以上ロクに動けないし、どうせ通貨も違うのだろう。
 ここを抜ければ塔はすぐそこ。けど人通りこそ多いものの変わった物は見当たらず──


 不意の衝突音、逃げる人々。
 その音の中心には、翼と尾を持つ黒い…鎧の竜人とでも言うべき容姿。
 自分も撤退しようとしたが、足がもつれて転んでしまい。
 まだ思考がぼんやりする。けど召喚術なら体勢に関係なく抵抗──

 だけど行動に移る前に更に別の所からの干渉。
 ひんやり冷たい手に引かれ、流れるように運ばれる。
 状況把握が追い付かないまま、群衆の壁を抜け更に進み、道の脇まで。
 地面に降ろされる感触ののち、騒ぎの中で、それは妙にクリアに聞こえた。
「大丈夫、ですか? 言葉、分かりますか?」
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