そして俺は召喚士に

ふぃる

文字の大きさ
上 下
93 / 231

93話 真夜中の会合②

しおりを挟む
 バスなんてもう無い時間。夜風に吹かれながら、しばらく歩くこと1時間とちょっと。
 途中のコンビニで夜食の調達。新年早々おでん4人分とか、バイトの人に悪い事したかな、と途中で思った。

 そんなこんなで話すのにいい場所として、俺の部屋へ。
 思い出作り、ハルルへの文化の教示、部屋を片付けるきっかけ。
 とかの理由もあるが、最たるは──


「じゃあ発端は上利田さんの方だった、って事か?」
 ハルルが粗方伝え終わったのち、ショウヤが返す。
 ショウヤのおでんチョイスはがんもどき、鳥つくね串、ごぼう巻き、そして大根2つ。
「そ。うちは手伝い頼まれただけで、ぶっちゃけ関係者より部外者に近いかもな。」
 そう言うキリのはたまご、はんぺん、厚揚げ、ちくわだ。
「少しでも戦力が必要な状況でしたので、その時だけ私から頼んだ次第ですね。
 結果的に当初想定した手間はかけさせなかったものの、違う形で役割があったそうで。」
 と言うハルルは、大根、ちくわ、餅巾着、糸こんにゃく。よく分からないからと俺と同じラインナップを頼んだ形。

「…把握、大丈夫そうか?」
 話の間を見て、ショウヤに聞く。
「大丈夫というか無理というか…把握はしても理解はできてない感じ?
 異世界とかマジモンのオカルトアプリとか魔術とか妖術とか、もうキャパオーバー。」
 空いてる左手だけで肩をすくめた後、ショウヤが言葉を続ける。
「でも、これから規模が大きくなっていって、オレも無関係ではいられないかもしれない話なんだろ? 時間かけて消化していくさ。
 それにオレだけ仲間外れってのは、なんか寂しいし。」
 その気持ちはとても分かる。自分も辿った道だ。

「でさ、ユートは元々その魔術とか妖術とか?とは無縁だったんだろ?
 どうやって使えるようになったんだ?」
 思い返す、あの時の事。
 ハルルに頼まれて、一緒に異変の調査をしに行って。
 ハルルの世界の方の魔物に不意打ちされて、目の前まで迫った牙が……。
「…いや、あれは『いい経験だった』なんて、とても言えないな。
 少しでも何かが違ってたら、無事じゃすまなかったかもって思うと、今でも悪寒が走る。」
「そうですね。私の介入も間に合わない場面でしたし、跡の残る傷は必至でしたでしょうね。」
 そんな嫌な保証はいらんよ、ハルルよ。
「まーたそうやってもったいぶって。
 いーよ、ロクでもないもんはもう見てんだ、無力は無力なりにわきまえるさ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...