そして俺は召喚士に

ふぃる

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93話 真夜中の会合②

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 バスなんてもう無い時間。夜風に吹かれながら、しばらく歩くこと1時間とちょっと。
 途中のコンビニで夜食の調達。新年早々おでん4人分とか、バイトの人に悪い事したかな、と途中で思った。

 そんなこんなで話すのにいい場所として、俺の部屋へ。
 思い出作り、ハルルへの文化の教示、部屋を片付けるきっかけ。
 とかの理由もあるが、最たるは──


「じゃあ発端は上利田さんの方だった、って事か?」
 ハルルが粗方伝え終わったのち、ショウヤが返す。
 ショウヤのおでんチョイスはがんもどき、鳥つくね串、ごぼう巻き、そして大根2つ。
「そ。うちは手伝い頼まれただけで、ぶっちゃけ関係者より部外者に近いかもな。」
 そう言うキリのはたまご、はんぺん、厚揚げ、ちくわだ。
「少しでも戦力が必要な状況でしたので、その時だけ私から頼んだ次第ですね。
 結果的に当初想定した手間はかけさせなかったものの、違う形で役割があったそうで。」
 と言うハルルは、大根、ちくわ、餅巾着、糸こんにゃく。よく分からないからと俺と同じラインナップを頼んだ形。

「…把握、大丈夫そうか?」
 話の間を見て、ショウヤに聞く。
「大丈夫というか無理というか…把握はしても理解はできてない感じ?
 異世界とかマジモンのオカルトアプリとか魔術とか妖術とか、もうキャパオーバー。」
 空いてる左手だけで肩をすくめた後、ショウヤが言葉を続ける。
「でも、これから規模が大きくなっていって、オレも無関係ではいられないかもしれない話なんだろ? 時間かけて消化していくさ。
 それにオレだけ仲間外れってのは、なんか寂しいし。」
 その気持ちはとても分かる。自分も辿った道だ。

「でさ、ユートは元々その魔術とか妖術とか?とは無縁だったんだろ?
 どうやって使えるようになったんだ?」
 思い返す、あの時の事。
 ハルルに頼まれて、一緒に異変の調査をしに行って。
 ハルルの世界の方の魔物に不意打ちされて、目の前まで迫った牙が……。
「…いや、あれは『いい経験だった』なんて、とても言えないな。
 少しでも何かが違ってたら、無事じゃすまなかったかもって思うと、今でも悪寒が走る。」
「そうですね。私の介入も間に合わない場面でしたし、跡の残る傷は必至でしたでしょうね。」
 そんな嫌な保証はいらんよ、ハルルよ。
「まーたそうやってもったいぶって。
 いーよ、ロクでもないもんはもう見てんだ、無力は無力なりにわきまえるさ。」
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