そして俺は召喚士に

ふぃる

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83話 立ち回り①

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 オカルト研究同好会の活動部屋へと向かう道中の階段。
 今日は、前よりも一層気が重い。
 けど、自分で決めた事だ。そのまま進むしかない。

 自分は戦力に数えるには、まだ力不足。
 けど、戦力となれるものを複数把握している。
 片や人員は見込めるが、情報の仕入れルートが無く。
 片や情報こそ持っているが、人手不足との事。
 扉にかけた指先にかかる気持ちの圧を、押しのけ開く。


「遅かったではないか、待ちわび──」
 いつものように先に部屋に居たソウクロウ。
 だけど言葉を言い終える前に、その目線が横…正確には俺の後方へと流れる。
「ほぅ、いい度胸ではないか。」
 一気に空気が張り詰める感覚。
 ソウクロウのその言葉に、背後からハルルが答える。
「なるほど、そういう事でしたか。」

「ならば順番にゆこうか。まずはユート、貴様に問う。
 この場を作った貴様の動機は、一体何だ?
 まさかただ『仲良くしてほしい』だなどと甘い理由ではあるまい?」
 一時いっときの間に、最初に切り込んだのはソウクロウだった。
「俺はただこの異変の現状を知りたい、そしてできれば解決してほしい。
 その為に、協力関係を結んでほしい。
 中途半端に知ってる分、気になって仕方ないんだよ。」
「それが意か。目的は分かった。
 が、素性の分からぬ者と同盟など組めぬ。」
 ごもっともな意見。だからこそ自分がいる。
「分かってる。けど『俺が信用する相手』を信用してほしい。
 もちろん、それはハルルにも。」
「それが言い分か。だが当人次第だな。」
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