そして俺は召喚士に

ふぃる

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80話 明るみ⑧

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「申し訳ないです、時間取れるまで長くかかってしまって……。」
 週末の休み、ハルルからの呼び出し。
 とはいっても自宅のあるアパートの2階廊下。
 それでも他には誰も住んでおらず、通りに面しているが人通りはほとんどない。見た目とは裏腹に、クローズドな場所。
「別に気にしてないよ、そっちにも事情があるだろうし。」
「でも、もう大丈夫です! 大きな仕事は無事片付きましたので!」
「先月末の夜に、か?」
 と、ハルルの様子をうかがいながら。
 …明らかな動揺と共に、ハルルが言葉を返す。
「どうしてそれを…?」
「その日って、こっちの世界じゃハロウィンって言って…まぁ、オカルトパーティしたりする日なんだよ。
 それでちょっと気になる情報を見かけて探りに行ったら、偶然見かけたんだ。
 遠くからだったからハルル本人かは確かめられなかったけど、違ったとしても『そっち側』の関係者だったと思う。」
 とは言ったが、ハルルの様子からして間違いはなさそうだ。
「別にそっちの事を探るつもりじゃなかった。けど──」
「いえ、その事についても話はつけてきました。
 ただ、条件というか、留意しておいてほしいことがあります。」
「条件?」
「こちら側の事を知れば、こちらの事情の関係者として情報に責任を持ってもらうことになります。
 そこに私の連帯責任を添えて、認可が下りた話です。」
「それはつまり、これから聞く事を俺の方から周りに漏らさなきゃ問題ない、って事でいいのか?」
「そうですね。ユートさんにより助かったところも大きいですし、悪意を持って扱わない限りは大丈夫かと。」
「助かったって、どういうこと?
 それに、前は『ハルルの取れる責任の範疇を超えてる』って……。」
「それも含めて、の話になります。」
 ちょっとの迷い、けど決心。
 仮にも関係者として、事情に深く踏み込めるというのなら。
「…分かった。聞かせてくれ。」
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