そして俺は召喚士に

ふぃる

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72話 夕暮れ色⑤

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 あの一撃でビビらせれたのか、幽霊の進行は遅くなった。
 そもそもあいつらにビビる心があるのか?とか思ったが、とにかく距離に余裕はでてきている。
 あるいは単に廃病院から離れたからなのか?

 それでもなお、脇の廃墟から接近する気配。
 放置するには怖い場所。なら……。
「先、行っててくれ。」
「オレにはよくわかんねぇけど、見るからに無茶してるだろお前…これ以上は──」
 抑止を無視し、再び傘を構える。
 既に結構キツいけどもう一撃。ウルフを突撃させ、遠隔での噛みつき攻撃。
 同時に襲い掛かる、激しい反動。頭に釘何本も打たれたように痛い。おまけに持久走の後の疲労感を何倍にもしたような……。

 そして撤退へと戻るが、まともに歩くのすら厳しい状態。ショウヤの肩を借り、歩き続ける。
「…悪い、こんなんで……。」
「いや、事情はよくわかんねぇけど巻き込んだのオレっぽいし?
 これくらいなんてこと……。」
 どれだけ進んだだろう。もう距離感も時間感覚も……。
 …前方から誰か来る? 幽霊…ではないよな…?
「ショウヤにユート!? 何でお前らが!」
「そ、その声キリか? なんだよお前までコスプレか?」
 状況の把握まで頭が回らない。けど、ショウヤの戸惑い交じりのその声が耳に残る。
 会話を聞き取ろうとしたが頭痛の強い波、そっちに意識を回す余裕が無い。
 キリがショウヤに何かを渡す。鍵?
 別れ際の言葉だけ、どうにか聞き取れた。
「うちの場所は分かるな? そこで休ませてやれ。」
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