そして俺は召喚士に

ふぃる

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71話 夕暮れ色④

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 厄介事に触れぬようにと戻りの道につき。
 だけど異変はすぐに起きた。

 道の脇の廃墟、窓の向こうに何かが見える。
 いや、見えるというより「感じる」?
 真っ暗闇なはずなのに、そこに人影が見える。奇妙な感覚。
 …脇だけじゃない。背後にも?
 来てる。何かが、確実に。
 遠かった気配が、距離を詰めてきている。
 逃げきれない。ならば、と意を決し反転。迎撃の構え。

 カバンから取り出す、秘策の一品。
 折りたたみ傘を振り、遠心力で柄を伸ばす。
 見た目的にアレなのは自分でも思う。けど振り心地と携帯性と、入手難度まで揃ってる答えはこれだった。
 それにウルフを実体化できるなら、斧の方もあるいは……。


 じわじわとやってくる、色の抜けた人のような姿。いわゆる一般認識的な幽霊だろうか。
 イメージする。戦力を、スキルを、強く!
「飛び掛かれ、サモン:ウルフ!」
 行動指示と共に召喚体の狼を飛ばす。遠隔攻撃で、予想以上にがっつり体力持ってかれる。
 だけどどうにか堪え、最も近い前線に一薙ぎ。持ってる得物はもう傘ではなく、ゲーム内で使ってるのと同じデザインの斧になっていた。
「行くぞ!」
 無理矢理体を動かし、再びショウヤの手を再び引き走り始める。
「と、とりあえず後で説明してもらうからな! 全部!」
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