そして俺は召喚士に

ふぃる

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68話 夕暮れ色①

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 この間のソウクロウの言葉が、中々頭から離れずにいた。
 そういうジョークを言える思考力は、あいつにはないだろう。
 けど、あんな言われ方したら逆に気になってしまうというもの。
 それに今月末っていうと……。

 思い当たる情報は見かけた。
 あくまで「その可能性もある」程度の情報。だけど、何も行動せず何も知らないまま全て終わっては、後悔が残る気がした。
 そうしてやってきた現地最寄りバス停麗辺うららべ。ここから少し歩いたところに、目的地はある。


 大通りから外れ、荒れてる場所へと入っていく。
 明らかに建物の密度は下がり、代わりに廃墟が待ち構える場所へ。
 こういう雰囲気にも、もう慣れてきた。
 ずっと直進で済む道を選んだ。帰りで迷う事は無いだろう。
 こんな場所でも古い街灯が稼働し、オレンジ色の光をちらつかせている。
 むしろそっちの方が不気味なくらいだ。

 もしもの時の備えは用意してきた。気休め程度ではあるだろうが。
 あくまで様子を見に来ただけだ。いざという時は戦うとかそういうのではなく、牽制しつつ撤退を──

「あれ、もしかしてユートか?」
「ショウヤ!? 何でここに!?」
 単独行動としたい中で、それは望ましくない遭遇だった。
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