そして俺は召喚士に

ふぃる

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67話 活動時間④

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 前と違い、意識は一応保ってはいた。
 けど思考はぼんやりし、体に力は入らず。
 ただただ網のような感触に運ばれているのだけは分かった。
 そして下ろされ固い…木の根元か?

「中々いい術を持ってるではないか。」
 とソウクロウの声。
 助太刀の速さから全部見られてたとかこいつに介抱されたのかよとか色々思う所はあるけども。
 けどそれ以上に。
「やれた…んだな。」
「そうだな、もう少し持続力さえあれば、決め切れていただろう。
 思ったよりも早く戦力として使えそうだな。」
 元々の動機はそんな事かよ、というのも今はどうだっていい。


 前は危機の咄嗟に、無意識でのもの。自分でもよく覚えてなかったくらい、曖昧なもの。
 けど今回は違う。自分の意思での術に、確かな実感。
 次からはもっとうまくやれる、そんな手ごたえ。
「僕はこの一帯の痕跡を調べる。
 時間のかかる作業だ。先に帰るがよい。」
「いや放置かよ!」
 まだ木にもたれかかった状態から、上体を起こすのが精いっぱい。
「その気力があるなら、少し休めば問題なかろう。
 それにその地図の事、予想以上に重く見る必要がありそうだ。」

 ソウクロウが森に立ち入りかけたところで、不意に足を止め言い残す。
「そうだ、一つ伝えておこう。
 今月の末日付近、夜間に出歩くでないぞ。
 いいか、絶対だぞ!」
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