そして俺は召喚士に

ふぃる

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66話 活動時間③

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 …そうか。
 これまではイメージの方を合わせようとして、無理が生じていた。
 なら、むしろこっちからイメージに合わせにいけば、あるいは…?

 そうとなれば、必要なものは武器だ。武器そのものに威力は必要ないそれっぽささえあればいい。
 この枝なんか丁度いい。太さ、長さ、振った時の手への感触。

 イメージする、エンパイアハントでの自分のキャラを。
 思い込め、恥じらいを捨てろ。
 ここはゲームの中。討伐対象、くくり蔦。
 そして俺は、斧使いの召喚士。


 蔦が地上から、樹上から、じわじわと迫ってくる。
 普段…ゲームでなら既に射程圏内。けどそれは、牽制にも使える余力があるから。
 前回の例から、撃てるのは多くて1発だろう。確実な、それでいて消耗の少なそうな一撃のみを考える。
 それに攻撃するなら、こんな末端では意味が無いだろう。地図のピンの場所にあるであろう、中心だ。
 大体の場所は把握してる。蔦の波を大きく迂回し、攻め入る。

 そしてそれはすぐに見つかった。
 木々の中、一本だけ太い蔦がまとわりついている。
 今一度、イメージを構築する。ゲーム内の自キャラを模し、枝を斧に見立てて構える。
「サモン:ウルフ……」
 自然とつぶやくスキル名。行動指示は色々と使い分けていたが、やはり一番使い慣れてるのは、実質的なニュートラルであるこれだ。
「…追撃モード!」
 跳び斬りの動きで枝を振り下ろす。それ自体はくうを切る。それは構わない。
 その動きに1秒ほど遅れて追従する、画面越しに見慣れた姿ひとつ。
「噛み千切れェ!」
 灰色の狼が、木の蔦に噛みつき表皮を食い破る。
 けど完全には千切れない。もう一撃をと枝を今度は横に振るう。
 だけどバランスがとれず…足に力が入らない?

 そして網のような感触に受け止められる
「…上出来だ。」
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