そして俺は召喚士に

ふぃる

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62話 魔と陰陽①

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 翌活動日。
 前と同じように、結界の向こうでソウクロウが戦っている。
 見通しのいい雑草平原、その中にそびえ目立つ一本柳。
 その下に集まり溜まっている、紫の霧状のもの。それをソウクロウの紙人形が抑え込みながら、札持ちの紙人形を配備していく。
 5体目が置き終えた時、地面に陣が光り輝き、その一帯が晴れていく。

「…これ、俺いらないんじゃ?」
 戻ってくるソウクロウに対し、ぼそりとつぶやく。
「かもな、だが試す価値はある。それほど手間でもないしな。
 …あの地図のが全て真ならば、こちらで把握してなかった場所も多数ある。もしお前も使い物になるならば、少しでも人手が欲しいところなのだ。」
「…まだ全然なのに無茶を……。」
 何度か試してみてはいるのだが、やはり何も起こらない。むしろ一度の成功例が、実は幻覚だったと言われる方が説得力があるだろう。
「術を扱えようと扱えなかろうと、妖力が濃い以上、怪異が反応しやすい。以前の『笑い階段』のようにな。
 その時に対処できるよう、まずは慣れよ。」
「慣れてどうにかなるもんなのかよ、あれが。」
 未だに目の前で繰り広げられるバトルが、実体験とは思いきれない。いっそ夢オチだと言われる方が説得力を感じるくらいに。
「多くの怪異は、怪異となるに至った原因の曰くがあるだろう。
 前回の笑い階段なら『上に立った者を転落させる』、ならば転落の対策を取ればいい。そもそも踏み入らぬのが最善ではあるが。
 今回のはぐれ柳ならば『近寄った者に取り憑く』、これも近寄らねば触れねば発動はせぬし、発動しても逃げれば影響は和らぐ。」
「…基本的に範囲を踏むとアウトなんだな。」
「そうだ、怪異の多くは土地に憑く。故に近寄らねば何も起こらぬ場所が多い。
 近寄るだけで感知できるようになる、それが先ずの目標だろう」
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