そして俺は召喚士に

ふぃる

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61話 オカルト研究同好会④

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 ソウクロウが小さい壺を取り出し、その中に黒く変色した紙人形を回収する。
 …妙な札が何枚も貼られている。多分あれ触ったりしたらやばいやつだ。

 トン、トン、と軽い足音のリズムでソウクロウが上がってくる。
「…といった次第だ。できそうか?」
 「できそうか」って…もしかして今のをか?
「いやいやいやいやそんな能力バトルモノみたいな事できるわけ…!」
「なるほど支援型か。探知系か? 解析系か? それとも治療系なのか?」
「いやそういう問題じゃなくて!
 …そもそもまだまともに使えないんだよ、術とかそういうの。」
 確たる信用はできてないから情報はなるべく渡したくなかったが、このまま流されては身の危険を感じた。
「なんだ、まだその段階なのか。
 まぁよい。ならそっちの方も並行して着手するとしよう。」
 葛藤。忙しいハルルのタスクは増やさせたくない、その為にこいつを利用するつもりでいる。それは変わりない。
 けど、これに関してはハルルとの取引。平等とするためハルルに一任すべき、そうハルルは考えてる。
 正直な所、自分としては手段は問わない。けどハルルはどう思うだろうか?


「それで『対処』とやら、具体的には何をしたんだ?」
 話題をそらしつつ、気になる事を聞いてみる。
「過剰に溜まっていた妖力を削り、封じた。これで当面は何事も起こらんだろう。」
「倒した、ではないんだな。」
「あぁ。この類の怪異の根源は、過去の出来事に対する恐怖の伝染。もどかしい事だが、完全に消失するには人々が忘れ去る時間が必要なのだ。
 とはいえ妙に強くなっていた…さっきの地図のはなんだ?」
 改めて例の位置情報ゲームアプリを起動。読み飛ばしてたチュートリアルを確認しつつ、ざっくりとそのアプリのゲームとしての説明を。
 移動距離によってエネルギーが溜まり、それを消費して駒を生成できる。それを拠点に設置して防衛したり、侵攻したり。
 説明を進めるほど、ソウクロウの表情が険しくなっていく。
「心霊スポットを領地に見立て奪い合う…だと?」
「あぁ、3陣営に分かれて兵の駒で占領する、そういうゲームだ。」
「これを、どれほどの人が…?」
「どうだろう、ニュース記事に取り上げられるくらいだし、結構な人数だとは思うけど……。
 …もしかしてこれが原因か?」
「一因ではあるだろうな。
 …丁度いい、これを指標として使おうか。」
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