60 / 231
60話 オカルト研究同好会③
しおりを挟む
「下がってるがいい。
そしてよく見て、慣らすのだ。」
紙人形の支えによりもちなおし、言われた通り鎖の後ろまで下がる。
…さっき引っ張られた感覚が残って忘れられない。念の為屈み、体勢を固める。
札の張られた紙人形が四方に飛ばされ静止し、長方形の並びを取る。
「これは?」
「人避けと防音の結界だ。
少々『力仕事』になりそうなのでな。」
そしてシャボン玉のような光沢の壁が、自分も囲う形で展開される。
紙人形の本隊が、階段下方へと向かう。
けど突然の逆風に煽られたかのように、先端の方から散り散りになる。
「…ほう?」
階段下方に何かが見える。
物理的に視覚的には説明しきれない、概念的な影のような何か。
自分が完全に認識できていない? それともそういう存在なのか?
ソウクロウが今度は自身を紙人形に体重を預け、階段の下へと飛び降りる。
同時に右手を振るい、それに従う紙人形の流れ。
渦巻き、影を球体状に包み込む。
それが叫び…いや笑い声? 分からないほどの音量の暴力が辺りに満ちる。
同時に離れたこちらまで届く程の衝撃。屈んでいたのが功を奏したが、それでも後ずさる。
よろけ、結界の外まで押し出される。…外側は驚くほどに静かだ。
紙人形のドームが収束し、内側を圧し潰す。
そこから散り去る紙人形は、黒く変色していた。
続けて流し込まれる紙人形も黒を吸収し、変色し。
去った後にはその場にあった「何か」は跡形もなかった。
そしてよく見て、慣らすのだ。」
紙人形の支えによりもちなおし、言われた通り鎖の後ろまで下がる。
…さっき引っ張られた感覚が残って忘れられない。念の為屈み、体勢を固める。
札の張られた紙人形が四方に飛ばされ静止し、長方形の並びを取る。
「これは?」
「人避けと防音の結界だ。
少々『力仕事』になりそうなのでな。」
そしてシャボン玉のような光沢の壁が、自分も囲う形で展開される。
紙人形の本隊が、階段下方へと向かう。
けど突然の逆風に煽られたかのように、先端の方から散り散りになる。
「…ほう?」
階段下方に何かが見える。
物理的に視覚的には説明しきれない、概念的な影のような何か。
自分が完全に認識できていない? それともそういう存在なのか?
ソウクロウが今度は自身を紙人形に体重を預け、階段の下へと飛び降りる。
同時に右手を振るい、それに従う紙人形の流れ。
渦巻き、影を球体状に包み込む。
それが叫び…いや笑い声? 分からないほどの音量の暴力が辺りに満ちる。
同時に離れたこちらまで届く程の衝撃。屈んでいたのが功を奏したが、それでも後ずさる。
よろけ、結界の外まで押し出される。…外側は驚くほどに静かだ。
紙人形のドームが収束し、内側を圧し潰す。
そこから散り去る紙人形は、黒く変色していた。
続けて流し込まれる紙人形も黒を吸収し、変色し。
去った後にはその場にあった「何か」は跡形もなかった。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる