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60話 オカルト研究同好会③
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「下がってるがいい。
そしてよく見て、慣らすのだ。」
紙人形の支えによりもちなおし、言われた通り鎖の後ろまで下がる。
…さっき引っ張られた感覚が残って忘れられない。念の為屈み、体勢を固める。
札の張られた紙人形が四方に飛ばされ静止し、長方形の並びを取る。
「これは?」
「人避けと防音の結界だ。
少々『力仕事』になりそうなのでな。」
そしてシャボン玉のような光沢の壁が、自分も囲う形で展開される。
紙人形の本隊が、階段下方へと向かう。
けど突然の逆風に煽られたかのように、先端の方から散り散りになる。
「…ほう?」
階段下方に何かが見える。
物理的に視覚的には説明しきれない、概念的な影のような何か。
自分が完全に認識できていない? それともそういう存在なのか?
ソウクロウが今度は自身を紙人形に体重を預け、階段の下へと飛び降りる。
同時に右手を振るい、それに従う紙人形の流れ。
渦巻き、影を球体状に包み込む。
それが叫び…いや笑い声? 分からないほどの音量の暴力が辺りに満ちる。
同時に離れたこちらまで届く程の衝撃。屈んでいたのが功を奏したが、それでも後ずさる。
よろけ、結界の外まで押し出される。…外側は驚くほどに静かだ。
紙人形のドームが収束し、内側を圧し潰す。
そこから散り去る紙人形は、黒く変色していた。
続けて流し込まれる紙人形も黒を吸収し、変色し。
去った後にはその場にあった「何か」は跡形もなかった。
そしてよく見て、慣らすのだ。」
紙人形の支えによりもちなおし、言われた通り鎖の後ろまで下がる。
…さっき引っ張られた感覚が残って忘れられない。念の為屈み、体勢を固める。
札の張られた紙人形が四方に飛ばされ静止し、長方形の並びを取る。
「これは?」
「人避けと防音の結界だ。
少々『力仕事』になりそうなのでな。」
そしてシャボン玉のような光沢の壁が、自分も囲う形で展開される。
紙人形の本隊が、階段下方へと向かう。
けど突然の逆風に煽られたかのように、先端の方から散り散りになる。
「…ほう?」
階段下方に何かが見える。
物理的に視覚的には説明しきれない、概念的な影のような何か。
自分が完全に認識できていない? それともそういう存在なのか?
ソウクロウが今度は自身を紙人形に体重を預け、階段の下へと飛び降りる。
同時に右手を振るい、それに従う紙人形の流れ。
渦巻き、影を球体状に包み込む。
それが叫び…いや笑い声? 分からないほどの音量の暴力が辺りに満ちる。
同時に離れたこちらまで届く程の衝撃。屈んでいたのが功を奏したが、それでも後ずさる。
よろけ、結界の外まで押し出される。…外側は驚くほどに静かだ。
紙人形のドームが収束し、内側を圧し潰す。
そこから散り去る紙人形は、黒く変色していた。
続けて流し込まれる紙人形も黒を吸収し、変色し。
去った後にはその場にあった「何か」は跡形もなかった。
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※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
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