そして俺は召喚士に

ふぃる

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54話 現地の風③

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「変な奴だぁ?」
 帰宅後すぐにキリにボイチャを繋げ、今日の事を相談に。
「うん、ハルルは『こっちの術士』って言ってた。
 そういうの、何か分かること無いか?」
「あのなぁ、うちだって別に人脈広い訳じゃねぇしその手の事に詳しい訳でもないんだぞ?
 特にこの町来てからは、普通の人間と生活に大差ないし。多分。」
「…多分て。」
「ともあれ情報源として頼られる程じゃない、って予防線は張らせてもらうぞ。」
「……分かった。」

「…ただ、その件に関しては心当たりはあるな。」
 ダメか、そう思った矢先の返答に、反射的に食らいつく。
「こっちは情報0なんだ。少しでもいい、聞かせてくれ。」
「もとよりそのつもりだよ。
 つっても大した情報じゃねーから、期待はすんなよ。」
 一息の間ののち、キリが言葉を続ける。
「中学の…3年の時だったかな。見覚えの無い妖力持ちに見張られてた気配があった。
 関わりたくねーから幻術で誤魔化してたら、いつの間にかいなくなってな。
 …うちが知ってるのはそれくらいだ。」
「ほんとに些細な情報だな。」
「だから言ったろ。大した情報じゃねぇって。
 ただまぁモヤモヤは残る話だし、そいつの妖力は覚えてる。
 手伝える事があったら言ってほしい。」
「分かった、ハルルにもそう伝えとく。」


「そうだ。事のついでにはなっちゃうけど、頼み事いいか?」
「なんだ?」
 直後、テキストチャットの方にURLが貼られる。どうやらアプリの紹介記事のようだ。
「これは一体?」
「最近話題の位置情報ゲームアプリなんだけど、どうにも嫌な予感がしてな。
 単なるゲームと思うには、どうにもマジモンっぽいんだよ。
 ハルルならって思ったけど、連絡先持ってなくて中々コンタクト取れなくてな。」
 聞きながら記事を開いてみる。
 位置情報ゲーム…アプリを開くと周辺地図が出て、GPSと連動して目的地を回るゲームだ。
 そしてこれは、どうやら心霊スポットが目的地に設定されている物のようだ。
「…これが実際にやばい心霊スポット、と?」
「わかんね。ただ深入りして荒事に発展する可能性考えると、うちじゃ対処は無理だ。
 けど、ハルルなら何か探れるんじゃねぇかなって。」
「キリの妖術だっけ、じゃだめなのか?」
「誰も彼もが戦闘能力持ってると思うなよ。どんなファンタジーだよ、それ。」
「既に十分ファンタジーなんだよ俺からしたら。」
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