そして俺は召喚士に

ふぃる

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53話 現地の風②

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「…君も少々不穏な気配を纏ってますね。巻き込まれてもらいましょうか。」
 飛び交う紙人形、ヒトガタの向こうに人影ひとつ。
 …ちょっと待って今なんて──

 考える暇もなく、ハルルに手を引かれる。
「ふぇ、まっ…!」
 転びかけながらもどうにか立て直し、ハルルに続く形で走り始める。
「逃がしませんよ。」
 すぐに追ってくるヒトガタの群れ。圧倒的にあっちの方が速い。
 だけどその流れの先に、ハルルの赤い雷玉。
 命中し炸裂、花火のように広範囲に目くらまし。

 手を引かれる方向が曲がり、脇道へと入る。
 そのまま建物の間にある茂みの中へ。
 外の様子が伺えないまま、時間が過ぎていく。

 しばらく待って、ハルルに引かれ茂みを出る。
「…あいつは?」
「こちらの世界の術士…だとは思うのですが、あの調子なので中々交渉に至れず……。」
「忙しいって、あれのことなのか?」
「そう、ですね。
 夏休みの後半頃からでしょうか。時折尾行されていたようです。」
 …じゃあハルルと一緒だった時にも、居たりしたのだろうか。だとしても全く気が付かなかった。
「どうにかこちらで解決させるので、しばしのお待ちを…!」
「別にいいよ、こっちは別に期日とか決めてる話じゃないし。」
「……助かります。」
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