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52話 現地の風①
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暑さが引き、外を歩きやすくなる頃合い。
いつものように、学校帰りのバス待ちの時間。
あれから特に大きな出来事も起こらず、いつの間にか9月も折り返し。
いつの間にか、流れるように時は過ぎていった。
というのも……。
「どうも。二人きりは久しぶりですね。」
そう言い、ハルルが隣に座る。
「…確か2学期の初日以来だっけかな、ここで会うの。」
「もうそんなに、ですか。」
一学期はハルルとの行動が多く、飽きる事は無かった。けど、それを欠く最近は前より早く時が進んだ気がした。
「何かあったのか?」
「いえ、ただちょっと最近忙しくて……。」
「それは俺は手伝えない事なのか?」
「はい。返礼の時間をあまり取れず、申し訳ないです……。」
なら仕方ないか、と自分は割り切る。
あくまでハルルは遊びで来てる訳ではない。自由が利かない事もあるだろう。
けど、あくまで交換条件の形を取ってるからだろう。ハルルはかなり気にしているようだ。
「俺の方は気にしてないし、別に──」
「そういう訳にはいきません。厳密には測れない事とはいえ明らかなアンバランス、対価はいずれ果たすのでしばらくお待ちを…!」
…まだ何も成果上げれてない中での熱意も、それはそれでプレッシャーってものが……。
そんな中、不意にハルルの表情が変わる。
多少は慣れてきたからだろうか、自分も背筋に寒気が走るように感じる予感。
続く妙な音に警戒し、立ち上がる。
流れる紙吹雪…いや、これは……。
「こんな所にいたか、異界の者よ。」
飛び交う紙人形、ヒトガタの向こうに人影ひとつ。
同じ学校の男子制服…?
「…君も少々不穏な気配を纏ってますね。巻き込まれてもらいましょうか。」
いつものように、学校帰りのバス待ちの時間。
あれから特に大きな出来事も起こらず、いつの間にか9月も折り返し。
いつの間にか、流れるように時は過ぎていった。
というのも……。
「どうも。二人きりは久しぶりですね。」
そう言い、ハルルが隣に座る。
「…確か2学期の初日以来だっけかな、ここで会うの。」
「もうそんなに、ですか。」
一学期はハルルとの行動が多く、飽きる事は無かった。けど、それを欠く最近は前より早く時が進んだ気がした。
「何かあったのか?」
「いえ、ただちょっと最近忙しくて……。」
「それは俺は手伝えない事なのか?」
「はい。返礼の時間をあまり取れず、申し訳ないです……。」
なら仕方ないか、と自分は割り切る。
あくまでハルルは遊びで来てる訳ではない。自由が利かない事もあるだろう。
けど、あくまで交換条件の形を取ってるからだろう。ハルルはかなり気にしているようだ。
「俺の方は気にしてないし、別に──」
「そういう訳にはいきません。厳密には測れない事とはいえ明らかなアンバランス、対価はいずれ果たすのでしばらくお待ちを…!」
…まだ何も成果上げれてない中での熱意も、それはそれでプレッシャーってものが……。
そんな中、不意にハルルの表情が変わる。
多少は慣れてきたからだろうか、自分も背筋に寒気が走るように感じる予感。
続く妙な音に警戒し、立ち上がる。
流れる紙吹雪…いや、これは……。
「こんな所にいたか、異界の者よ。」
飛び交う紙人形、ヒトガタの向こうに人影ひとつ。
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「…君も少々不穏な気配を纏ってますね。巻き込まれてもらいましょうか。」
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