44 / 231
44話 形式上の大義名分②
しおりを挟む
モール新井3階、レストラン街フロア。
階段を上ってすぐに、フードコートがお出迎えだ。
「それで、どこか気になるのとかあったか?」
「それが、どれもこれも食べてみたすぎて……。
なのでここはひとつ、ユートさんが『ここ!』と一思いに決めちゃってください!」
とは言うが…ラーメンとかそういう濃いのは違うよなぁ。
お好み焼きも初手としてはハードル高いし。
無難な所となると…ファミレスでいい、か?
「写真入りメニュー表記とは、また豪華な……。」
席に着き、ハルルがつぶやく。
ここからまた目移りになるかと思いきや、メニュー表のそのものへの強い関心。
「そっちの世界だとどうなんだ? 写真とかあるのか?」
「写真と活版技術、それぞれはあるんですけどね。魔術による写真なので、時間が経つと消えてしまうんですよね。なのでこういった長期的に使う物には向かないのです。
活版もそこまで設備が多い訳ではないので、一般利用の浸透は中々……。」
と言ったところで止め、はっと思い出したように言葉を再開する。
「ってそれより! 注文どうしましょ!」
「…一応聞くけど、目ぼしいのはあるか?」
「もうどれを選んでも後悔しそうですし、ユートさんと同じのを!」
だろうとなは思った。こっちもメニューを手に取り目当てのを探す。
「じゃあ、こっちで二人分通しちゃうね。」
「はい、お願いします!」
メニューの番号を、備え付けのタブレットに入力する。
それを見てたハルルが予想外といった様子で身を乗り出してくる。
「えっ、それで注文できるんです?」
「あぁ、これで厨房まで自動的に。
…もしかして、やりたかった?」
「こ、今度教えてください!」
「デザートの追加なら、今でもいいんじゃないか?」
「じゃあ今すぐにでも!」
「ぶっちゃけ調査を建前に、ただ色々と食べたいだけじゃ?」
調査…あくまで仕事として来てる割には気になる調子、そんな疑問をふと漏らす。
「な、何言うんですか、料理ほどその地の特徴が出るものはないですよ。
土地の名産、気候、歴史…時には風習や思想すら垣間見える、それが料理という文化です。」
理由は納得がいくしそれ目当ても事実だろう、でも明らかな動揺も見れた。
「とはいっても、物流整いすぎて食材に地方柄なんて、そんなに無いぞ?」
「そういう物流だって文化の一部でしょう。
それに私からすれば、こっちの世界の全ては目新しいもの、ですよ?」
そうか、その視点の広さは考えから抜けていたな。
和食も洋食も中華も、ハルルにとっては等しく異界の味か。
そうこうしてるうちに、注文の品が到着。
まってましたとハルルが速攻スプーンを手に取る。
「それではいただきます。」
とハルルが先手で一口。同時に驚きの表情。
「煮込みものかと思ったらこれは…穀物?」
「米だね。元はマカロニっていうパスタ料理だったのを、アレンジしたのが広まったドリアって料理だ。
確か元々は──」
その辺の経緯どうだっけとスマホで調べようとした時、自分の分のドリアが鎮座してるのが目に入る。
「…とりあえず、話後ででいいかな?」
階段を上ってすぐに、フードコートがお出迎えだ。
「それで、どこか気になるのとかあったか?」
「それが、どれもこれも食べてみたすぎて……。
なのでここはひとつ、ユートさんが『ここ!』と一思いに決めちゃってください!」
とは言うが…ラーメンとかそういう濃いのは違うよなぁ。
お好み焼きも初手としてはハードル高いし。
無難な所となると…ファミレスでいい、か?
「写真入りメニュー表記とは、また豪華な……。」
席に着き、ハルルがつぶやく。
ここからまた目移りになるかと思いきや、メニュー表のそのものへの強い関心。
「そっちの世界だとどうなんだ? 写真とかあるのか?」
「写真と活版技術、それぞれはあるんですけどね。魔術による写真なので、時間が経つと消えてしまうんですよね。なのでこういった長期的に使う物には向かないのです。
活版もそこまで設備が多い訳ではないので、一般利用の浸透は中々……。」
と言ったところで止め、はっと思い出したように言葉を再開する。
「ってそれより! 注文どうしましょ!」
「…一応聞くけど、目ぼしいのはあるか?」
「もうどれを選んでも後悔しそうですし、ユートさんと同じのを!」
だろうとなは思った。こっちもメニューを手に取り目当てのを探す。
「じゃあ、こっちで二人分通しちゃうね。」
「はい、お願いします!」
メニューの番号を、備え付けのタブレットに入力する。
それを見てたハルルが予想外といった様子で身を乗り出してくる。
「えっ、それで注文できるんです?」
「あぁ、これで厨房まで自動的に。
…もしかして、やりたかった?」
「こ、今度教えてください!」
「デザートの追加なら、今でもいいんじゃないか?」
「じゃあ今すぐにでも!」
「ぶっちゃけ調査を建前に、ただ色々と食べたいだけじゃ?」
調査…あくまで仕事として来てる割には気になる調子、そんな疑問をふと漏らす。
「な、何言うんですか、料理ほどその地の特徴が出るものはないですよ。
土地の名産、気候、歴史…時には風習や思想すら垣間見える、それが料理という文化です。」
理由は納得がいくしそれ目当ても事実だろう、でも明らかな動揺も見れた。
「とはいっても、物流整いすぎて食材に地方柄なんて、そんなに無いぞ?」
「そういう物流だって文化の一部でしょう。
それに私からすれば、こっちの世界の全ては目新しいもの、ですよ?」
そうか、その視点の広さは考えから抜けていたな。
和食も洋食も中華も、ハルルにとっては等しく異界の味か。
そうこうしてるうちに、注文の品が到着。
まってましたとハルルが速攻スプーンを手に取る。
「それではいただきます。」
とハルルが先手で一口。同時に驚きの表情。
「煮込みものかと思ったらこれは…穀物?」
「米だね。元はマカロニっていうパスタ料理だったのを、アレンジしたのが広まったドリアって料理だ。
確か元々は──」
その辺の経緯どうだっけとスマホで調べようとした時、自分の分のドリアが鎮座してるのが目に入る。
「…とりあえず、話後ででいいかな?」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる