44 / 212
44話 形式上の大義名分②
しおりを挟む
モール新井3階、レストラン街フロア。
階段を上ってすぐに、フードコートがお出迎えだ。
「それで、どこか気になるのとかあったか?」
「それが、どれもこれも食べてみたすぎて……。
なのでここはひとつ、ユートさんが『ここ!』と一思いに決めちゃってください!」
とは言うが…ラーメンとかそういう濃いのは違うよなぁ。
お好み焼きも初手としてはハードル高いし。
無難な所となると…ファミレスでいい、か?
「写真入りメニュー表記とは、また豪華な……。」
席に着き、ハルルがつぶやく。
ここからまた目移りになるかと思いきや、メニュー表のそのものへの強い関心。
「そっちの世界だとどうなんだ? 写真とかあるのか?」
「写真と活版技術、それぞれはあるんですけどね。魔術による写真なので、時間が経つと消えてしまうんですよね。なのでこういった長期的に使う物には向かないのです。
活版もそこまで設備が多い訳ではないので、一般利用の浸透は中々……。」
と言ったところで止め、はっと思い出したように言葉を再開する。
「ってそれより! 注文どうしましょ!」
「…一応聞くけど、目ぼしいのはあるか?」
「もうどれを選んでも後悔しそうですし、ユートさんと同じのを!」
だろうとなは思った。こっちもメニューを手に取り目当てのを探す。
「じゃあ、こっちで二人分通しちゃうね。」
「はい、お願いします!」
メニューの番号を、備え付けのタブレットに入力する。
それを見てたハルルが予想外といった様子で身を乗り出してくる。
「えっ、それで注文できるんです?」
「あぁ、これで厨房まで自動的に。
…もしかして、やりたかった?」
「こ、今度教えてください!」
「デザートの追加なら、今でもいいんじゃないか?」
「じゃあ今すぐにでも!」
「ぶっちゃけ調査を建前に、ただ色々と食べたいだけじゃ?」
調査…あくまで仕事として来てる割には気になる調子、そんな疑問をふと漏らす。
「な、何言うんですか、料理ほどその地の特徴が出るものはないですよ。
土地の名産、気候、歴史…時には風習や思想すら垣間見える、それが料理という文化です。」
理由は納得がいくしそれ目当ても事実だろう、でも明らかな動揺も見れた。
「とはいっても、物流整いすぎて食材に地方柄なんて、そんなに無いぞ?」
「そういう物流だって文化の一部でしょう。
それに私からすれば、こっちの世界の全ては目新しいもの、ですよ?」
そうか、その視点の広さは考えから抜けていたな。
和食も洋食も中華も、ハルルにとっては等しく異界の味か。
そうこうしてるうちに、注文の品が到着。
まってましたとハルルが速攻スプーンを手に取る。
「それではいただきます。」
とハルルが先手で一口。同時に驚きの表情。
「煮込みものかと思ったらこれは…穀物?」
「米だね。元はマカロニっていうパスタ料理だったのを、アレンジしたのが広まったドリアって料理だ。
確か元々は──」
その辺の経緯どうだっけとスマホで調べようとした時、自分の分のドリアが鎮座してるのが目に入る。
「…とりあえず、話後ででいいかな?」
階段を上ってすぐに、フードコートがお出迎えだ。
「それで、どこか気になるのとかあったか?」
「それが、どれもこれも食べてみたすぎて……。
なのでここはひとつ、ユートさんが『ここ!』と一思いに決めちゃってください!」
とは言うが…ラーメンとかそういう濃いのは違うよなぁ。
お好み焼きも初手としてはハードル高いし。
無難な所となると…ファミレスでいい、か?
「写真入りメニュー表記とは、また豪華な……。」
席に着き、ハルルがつぶやく。
ここからまた目移りになるかと思いきや、メニュー表のそのものへの強い関心。
「そっちの世界だとどうなんだ? 写真とかあるのか?」
「写真と活版技術、それぞれはあるんですけどね。魔術による写真なので、時間が経つと消えてしまうんですよね。なのでこういった長期的に使う物には向かないのです。
活版もそこまで設備が多い訳ではないので、一般利用の浸透は中々……。」
と言ったところで止め、はっと思い出したように言葉を再開する。
「ってそれより! 注文どうしましょ!」
「…一応聞くけど、目ぼしいのはあるか?」
「もうどれを選んでも後悔しそうですし、ユートさんと同じのを!」
だろうとなは思った。こっちもメニューを手に取り目当てのを探す。
「じゃあ、こっちで二人分通しちゃうね。」
「はい、お願いします!」
メニューの番号を、備え付けのタブレットに入力する。
それを見てたハルルが予想外といった様子で身を乗り出してくる。
「えっ、それで注文できるんです?」
「あぁ、これで厨房まで自動的に。
…もしかして、やりたかった?」
「こ、今度教えてください!」
「デザートの追加なら、今でもいいんじゃないか?」
「じゃあ今すぐにでも!」
「ぶっちゃけ調査を建前に、ただ色々と食べたいだけじゃ?」
調査…あくまで仕事として来てる割には気になる調子、そんな疑問をふと漏らす。
「な、何言うんですか、料理ほどその地の特徴が出るものはないですよ。
土地の名産、気候、歴史…時には風習や思想すら垣間見える、それが料理という文化です。」
理由は納得がいくしそれ目当ても事実だろう、でも明らかな動揺も見れた。
「とはいっても、物流整いすぎて食材に地方柄なんて、そんなに無いぞ?」
「そういう物流だって文化の一部でしょう。
それに私からすれば、こっちの世界の全ては目新しいもの、ですよ?」
そうか、その視点の広さは考えから抜けていたな。
和食も洋食も中華も、ハルルにとっては等しく異界の味か。
そうこうしてるうちに、注文の品が到着。
まってましたとハルルが速攻スプーンを手に取る。
「それではいただきます。」
とハルルが先手で一口。同時に驚きの表情。
「煮込みものかと思ったらこれは…穀物?」
「米だね。元はマカロニっていうパスタ料理だったのを、アレンジしたのが広まったドリアって料理だ。
確か元々は──」
その辺の経緯どうだっけとスマホで調べようとした時、自分の分のドリアが鎮座してるのが目に入る。
「…とりあえず、話後ででいいかな?」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
真水のスライム
イル
ファンタジー
旅立ちで出会った奇妙な「それ」との、冒険の記録。
主に更新通知・告知用Twitterアカウント作りました:https://twitter.com/fil_novelist
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件
後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。
転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。
それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。
これから零はどうなってしまうのか........。
お気に入り・感想等よろしくお願いします!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる