そして俺は召喚士に

ふぃる

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43話 形式上の大義名分①

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 キリに言われ、確かに思う所はあった。
 「魔法を使えるようになりたい」、それは裏を返せば魔法を高尚に、特別なものと見てしまっていると。
 どう解決しようか考えれば考えるほど訳が分からなくなって、連鎖してハルルって、異世界って一体…と渦巻いていって。
 思考の出口が分からなくなった丁度その時、行動は向こうからやってきて。
 で、どうなったかっていうと……。


「なるほど、ここがこの世界の文化の集合地ですね!」
 ハルルと二人でお出かけしていた。
 ショッピングセンター「モール新井あらい」。最寄駅から2駅離れた、ちょっとした遠出だ。
 こっちの世界の文化調査を、との事だったが、この状況は第三者視点でだとどう見ても……。

「ほら、行きますよ! 案内頼りにしてるんですから!」
 そう言いハルルが手を引き先を行く。
 周りの目を気にする暇も無く、自動ドアの向こうへと吸い込まれていく。


 吹き抜けのエントランスホール、浮かぶ風船の装飾。
 眼前の1階は、カフェやアイス屋といった外装からして目を引く店の並び。
 上り階段の脇には写真付きのフロアガイドに……こうして見ると大分情報過多だな。

「…意外と驚かないんだな。」
 思ったより静かだな、とハルルの様子を伺う。
「こ、これでもエリートなので、それくらいの礼節は…!」
 …明らかにテンションをこらえていた。
「別にそんなお堅い場所じゃないし、そんなに気を張らなくていいんだぞ?」
「じゃあ、えっと、失礼して……。」
 深呼吸ひとつ、ハルルが言葉を続ける。
「なんなんですかこのすごさ! 建物の中に町なんて!」
 それでもかなり声を抑えていたが、ハルルにしては珍しい程の反応だ。
「なるほど、そうとも言えるな…大体合ってる。
 色々な店を一点に集めたから『ここだけで色々できる』、そういう場所なんだけど──」
「もしかして食事処も!?」
 ハルルの興味は、フロアガイドの写真に向かっていた。
「あるね、3階がレストラン街だって。」
「行きましょう! 食文化も立派な調査対象です!」
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