そして俺は召喚士に

ふぃる

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40話 贅沢な時間④

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 マッチング完了はすぐだった。
 ショウヤ曰くデイリーで報酬がおいしいから、今でも人は多いんだとか。

 モンスター群のカットインののち、自分達3人を含め、8人がエリアに集まる。
 左右にルートが広がる道の角、街の一角だ。
 ウルフに行動指示を出し、遠吠えにより全体にバフをかける。

「行くぞ。」
 先陣を切ったのはキリだ。移動スキルで壁ジャンプを駆使し、ミニマップに表示されている敵のアイコンへと向かう。
 ウルフに騎乗しそれを追いかけ、ショウヤが橋って後に続く。

 行き先にいる甲虫型。フィールドにいる雑魚と同じ種族だが、サイズがかなり大きい。
 先行していたキリが到着し、数撃入れて進行を遅らせる。
 そしてバックステップで離脱。自分はまだ少し距離があり戦闘圏内ではない。
 どう攻め込むか。そう思った所で背後から矢、目の前の地面で爆発する。
「ここは任せろ、先にいるやつを頼む!」
 とショウヤからの号令。この大通りの直線上に、もう1体のアイコン。
 戦闘の脇を駆け抜け、その先にいるムカデ型の大型へ向かう。


 あのタイプのモンスターは初見だ、普段より警戒度高め意識。
 壁の穴で何かを食べているらしく、こちらに気付かない。
 なら先制で一発入れたい。走るウルフの上で、跳び斬りのチャージを始める。
 そして射程に捉えたタイミングで、直に跳躍し胴に思いっきり叩き込む。

 不意打ちによる怯みののち、こちらへ威嚇。
 その間に一度距離を取り、出方をうかがう。

 敵が突進、しながら体を壁にごりごり擦らせる。
 転がってくる瓦礫、それに紛れて奥に本体の大顎。
 咄嗟に回転薙ぎのアーマーで耐える。
 同時に反撃である程度のダメージを通す。けど立ち位置が入れ替わり、視線があっちの方を向く。乱戦を招くルーチンでもあるのか?
 とにかく向かわせたくはない。後隙をステップでキャンセルし、追いかける。

 だけどそんなムカデを迎え撃つ一射。電撃エフェクトと共に、ムカデがスタンする。
「丁度いい感じに挟み撃ちだな!」
 射線の根元、遥か遠くのショウヤだ。
 あちらは既に片付いたようで、キリが壁蹴りから強襲する。
 連続攻撃ののち、敵を足場に跳躍し反撃を回避する。
「こっちもさくっと仕留めんぞ。」
 その流れの鮮やかさに見惚れてしまっていたが、我に返り行動に移る。

 少し空けられた距離を、突進薙ぎで詰めつつバックアタック。
 タゲがキリの方に向いてるならやりたい放題だ。ウルフに指示を出し、脇に寄せる。
 横薙ぎ、返し薙ぎ、両断下ろしの3連コンボ。それぞれに1秒遅れて追従するように、ウルフの追撃。
 そして振り上げの後を追うように、ウルフが高く跳びあがる。
 そこにロープムーブでウルフを基点とし、さらに空高く駆け上がる。
 同時に丁度画面の端に、白い龍のエフェクトが見える。キリの技のものだ。
 溜めによる光エフェクトと、地へと落とす龍。
 その二撃が重なり、とどめの一撃となる。
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