そして俺は召喚士に

ふぃる

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36話 踏み入る領域④

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 神社。
 以前なら、特になんとも思わなかっただろう。
 けど、今となっては、以前とは違って見える。

 立ち入り、感じる空気感。
 鳥居の向こう、2人の様子を見る。
 キリの方は慣れてる様子だが、ハルルには戸惑いが見える。
「ここは…異界…?」
「そうとも言われるな。鳥居…この門の向こうは神の領域って。」
 流れをキリが拾い、答える。
「なるほど、道理で……。
 では、この像が祭られてる神の?」
「そいつらは神の使い…っていうのが元々だ。
 けど狐そのものを神としてる所もあって、それは場所によるから、ここはどっちだろうな。」
「宗教なのに、そんな曖昧なものなのでしょうか?」
「日本ってそういうとこあるからな……。
 像がある方が信仰的なイメージ付きやすいんだろうし、それで認識が変わったというのもあるのかもな。」
「そもそも何故狐の像なのでしょう?」
「動物と神話はよく結びつくからな、エジプト神話とかインド神話とか。」
「えじぷと…いんど…街の名前でしょうか?」


 まだまだ続きそうだしと、キリに説明役をバトンタッチし。
 せっかくだからと神頼みに。
 程よい小銭が切れていて、100円玉を賽銭箱に投げ入れ。
 ダメ元とは思いつつも、願い事を──
「『魔法が使えるようになりたい』? とんでもねぇ願いが来たもんだな。
 そういうの卒業する時期じゃねぇのか?」
「やめなよ、そういう事言うのは。」
 声のする方、賽銭箱の上の梁の上。
 青白く光る…狐が2匹?
「…ボクたちの方、見てない?」
「気のせいだろ。」
「…聞こえてんぞ。」
「え、うそ、まじで!?」
 片方が驚き落っこち、賽銭箱の上に着地する。
「オイラたちが見える人って何年振りだろう!」
「そこの学校が建設されて、すぐくらいだったよね。」
「確か、創立60年とか書いて──」
「もしかしてその神様のお使い様!?」
 ハルルの割り込みの勢いに弾かれ、脇に退く。
「なんだなんだ? また風変わりなお客人だな?」
「よければ色々話を聞かせてもらいたく!」
「久々の話し相手だ、むしろとことん付き合ってもらうぞ。」
「のぞむところです!」


「で、さっきのお願いは本気なの?」
 片方がハルルと話す傍ら、もう片方が寄ってくる。
「あぁ、まぁな。
 最初は『あわよくば』って程度にだったんだけどさ、あの2人と居ると、何もできない事で浮いちゃってるなって。」
 そう言いながら、ハルルとキリを目線で指す。
「本当にそうかな?」
「…どういう事?」
「まぁいいや、けど将来の願いは相方の方の領分。ボクでは力になれない、ごめんね。
 だからあいつに笑われないくらい気持ちが固まったら、またおいで。」
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