そして俺は召喚士に

ふぃる

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22話 娯楽の時間②

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 キャラメイクを済ませ、決定ボタンを選ぶ。
 画面が暗転し、オープニングイベントが始まる。


 ガタンゴトンと音が鳴り、うっすらと風景が見えてくる。
 布の屋根、周囲の様子を見るに、馬車の中らしい。
「よ、おはようさん。」
 キャラのセリフがボイスで流れる。馬車を操っている、渋い系の青年だ。
 選択肢が表示され、選んで会話を進める。
>ここは?
「この俺、ヘルステルの馬車だ。…まぁ、錯乱しちまうのも無理ねぇか。
 故郷のレグ村が、あんな事なっちまっちゃあな。」
 回想として、一枚絵が表示される。
 木造の家の数々、それらを蹂躙する大型モンスター。
 …「凄惨」という言葉すら生ぬるい程の有様だ。
「俺だって今は行商の身だが、生まれはあの村だ。悲しいのは俺もだ。
 ついでにいつもの流通ルートが潰されちまったし、新天地を見つけるまで行商も一旦休みだ。」
 そこで前を向き、ヘルステルの表情は伺う事はできない。

 やがて道の先に、町が見えてくる。
 しかしその前にモンスターが立ちはだかる。中サイズのイノシシ型だ。
「おっと、招かざる客だ!」
 馬車からダイレクトにヘルステルがとびかかる。
 先制攻撃で一撃を入れるが、まだイノシシが立ち上がる。
「同郷の縁だ、今の内に戦い方を学びな!」

 そのモンスターにフォーカスエフェクトが入り、戦闘が始まる。
 操作できる画面の下部に、メッセージウインドウで操作方法チュートリアルがセリフ形式で表示されている。

 オンラインゲームと聞いて気持ち身構えていたが、思ったよりシンプルなアクションゲームだ。
 初期装備は片手剣と盾、攻撃と防御がそれぞれ別個としてある。
 まずはガードを固めて様子見。行動パターンを観察する。

 駆け寄って頭突き、のセットを2回。その後溜めて突進1回のループだ。
 行動間隔は一定、なら攻めにも転じやすい。
 どうせならと攻撃ボタンを色々押してみる。普通に攻撃する以外に、カウンターの構えっぽい攻撃もたまに出る。
 …もうちょっと色々試したかったけど、チュートリアルの敵にそこまでの体力は無かった。


「やるじゃないか!」
 馬車に戻り、進み始めたところでヘルステルの感嘆の一言。
「だが、これから狩人で稼ぐというのなら、まだまだ学ぶべき事はあるだろう。
 安心しろ、俺ができる限りの事は教えてやろう。
 この新天地で!」
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