スズメの涙

でーすけ

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飛行訓練

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「いい?よく見てね」



ジャンとギョソウは
喉をゴクリと鳴らす。




スズが目にも止まらぬ早さで
翼を羽ばたかせた。



「すげぇよ!おばさん!」

「よし!俺も!」



ギョソウも懸命に翼を動かす



「全然、早く動かないね」


一生懸命なギョソウには
申し訳ないが
なんだか笑える。



「笑ったな!?ほら!
ジャンもやってみろよ!」



相変わらずの喧嘩口調だ。



ぼくは妙に落ち着いていた。




できる気がする。



「ぼく、ここから飛び降りてみるよ」



ギョソウは目を丸くして


「なにぃ!?」


腰を抜かすほど驚いた。



スズもさすがに止めようとするが


ジャンは巣の淵に立ち上がり



勢いよくジャンプした!




周りの枝から見ていた雀たちが
いっせいに悲鳴をあげた。



「ばか!ジャン!!!!!」



スズも血相を変え
ジャンを追う






大丈夫


いつもかあさんを見てた。



いける!








ムスクが一番高い木の上から
見ているのがわかった。




ムスクは微動だにしていない



心配ないって事だ。





下から吹き上がる風



そうだ



この風に翼を乗せるだけ





ジャンは思いっきり翼を
上下に動かした




近付く地面に向かって



風を叩きつけるイメージだ!





それを見たスズは
近くの枝に降りた。



「ジャン!」



ジャンは地面すれすれで
フワリと浮かび



見事に旋回してみせた。




やった!



「やったぁ!!!!」



初めて飛ぶとは思えぬ出来だった。



ジャンはギョソウを見上げ



徐々に高度を上げ

枝に飛び捕まった。




ギョソウはジャンを見下ろす。





「くっ…………」



なんとも言えない悔しさが
迸った。




ムスクは誇らしげに
笑みを浮かべていた。







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