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第8話 スティックシュガー
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夜の食堂で、広夢は日向と隣り合わせに座っていた。
「そういやあれ、何本目までいけた?」
スティックシュガーをコーヒーにものすごい勢いで投入しながら、日向はこちらを見ずに聞いてくる。
あれっていうのはやっぱりあれのことだろう。
黒いケースに並んだ金属の棒が、広夢の頭に思い浮かんだ。
「何本目ってあれですか、やっぱりあれは、細い方から順番に挑戦していく……」
「じゃなかったらなんだと思った?」
3本目のスティックシュガーから落ちた砂糖がテーブルに散らばり、日向は忌々しそうに広夢を見た。
「えーと……それは……」
「……あ?」
この人はこれで成績優秀、リーダーシップもある優等生だ。
けれども人には裏と表があるもので。
裏の顔はこの通り、ちょっと不良でだいぶヘンな先輩だ。
めちゃくちゃ甘いコーヒーを渋そうに飲む彼を、広夢はドキドキしながら見つめる。
「さすがにあの太のは、入る人いませんよね?」
「お前のそういうところがダメなんだ」
「俺ダメですか?」
「何するにも逃げ腰だろ」
この先輩は痛いところを突いてくる。
広夢はけっして思いきりのいい性格ではなかった。
人生で一番思い切ったことといえば、日向に告白したことで間違いないだろう。
あとはまあ無難なことしかやってない。
尿道ブジーだって、まだ一番細いのしか入れていないし……。
しかもそれも自分でやったんじゃない。友達に突っ込まれただけだ。
こんな自分が先輩に好かれようなんて無茶な話だ。
広夢は自分の股間を見下ろし、小さくため息をついた。
「部屋に戻って入れてみます……」
「お前んとこ2人部屋じゃなかったか? この時間、同室のやつがいるだろ」
「えっ……?」
広夢はドキリとして顔を上げる。
同室の五十嵐との関係を日向には知られたくなかった。
日向がまばたきをしてまっすぐに広夢の顔を見た。
「お前……」
勘づかれたのだろうか。「ドキリ」が「ゾクリ」に変わる。
「俺に嫉妬させたいのか、生意気」
「ちっ、違……」
「嫉妬してやってもいいけど」
「え、それはどういう……」
「お前、下脱げ」
「……!?」
突然の日向からの命令に、広夢は反射的に肩を震わせた。
「ここ、食堂ですけど」
「だから?」
「誰か来たら……」
時刻は消灯時間過ぎ。
寮生たちはみなベッドに入っている時間だが、飲みものを取りにくる者もいるかもしれない。
実際広夢も、水を飲みに来たところでコーヒーを淹れている日向に出くわした。
「誰も来ない」
なんの根拠もないことを、日向はさも当たり前のように言う。
「だから脱げ」
広夢はその腹の底に響く声に逆らえなかった。
日向の冷たい瞳に操られ、スエットの下を下着ごと太腿のところまで引き下ろす。
無機質な蛍光灯の下、広夢のペニスはどういうわけか天を仰いでいた。
広夢本人よりも、これから起こることに期待している。
「お前の素直なところは嫌いじゃない」
横から日向の手が伸びてきて、広夢のそれをやや乱暴につかんだ。
中途半端に持ち上げていた腰が、ストンと椅子の上に着地する。
「何……するんですか……」
「見るだけ」
すでに大事なものをつかまれていて「見るだけ」の範囲は超えている。
日向のもう片方の手が、コーヒーカップの中から濡れたティースプーンを引き上げた。
「そういやあれ、何本目までいけた?」
スティックシュガーをコーヒーにものすごい勢いで投入しながら、日向はこちらを見ずに聞いてくる。
あれっていうのはやっぱりあれのことだろう。
黒いケースに並んだ金属の棒が、広夢の頭に思い浮かんだ。
「何本目ってあれですか、やっぱりあれは、細い方から順番に挑戦していく……」
「じゃなかったらなんだと思った?」
3本目のスティックシュガーから落ちた砂糖がテーブルに散らばり、日向は忌々しそうに広夢を見た。
「えーと……それは……」
「……あ?」
この人はこれで成績優秀、リーダーシップもある優等生だ。
けれども人には裏と表があるもので。
裏の顔はこの通り、ちょっと不良でだいぶヘンな先輩だ。
めちゃくちゃ甘いコーヒーを渋そうに飲む彼を、広夢はドキドキしながら見つめる。
「さすがにあの太のは、入る人いませんよね?」
「お前のそういうところがダメなんだ」
「俺ダメですか?」
「何するにも逃げ腰だろ」
この先輩は痛いところを突いてくる。
広夢はけっして思いきりのいい性格ではなかった。
人生で一番思い切ったことといえば、日向に告白したことで間違いないだろう。
あとはまあ無難なことしかやってない。
尿道ブジーだって、まだ一番細いのしか入れていないし……。
しかもそれも自分でやったんじゃない。友達に突っ込まれただけだ。
こんな自分が先輩に好かれようなんて無茶な話だ。
広夢は自分の股間を見下ろし、小さくため息をついた。
「部屋に戻って入れてみます……」
「お前んとこ2人部屋じゃなかったか? この時間、同室のやつがいるだろ」
「えっ……?」
広夢はドキリとして顔を上げる。
同室の五十嵐との関係を日向には知られたくなかった。
日向がまばたきをしてまっすぐに広夢の顔を見た。
「お前……」
勘づかれたのだろうか。「ドキリ」が「ゾクリ」に変わる。
「俺に嫉妬させたいのか、生意気」
「ちっ、違……」
「嫉妬してやってもいいけど」
「え、それはどういう……」
「お前、下脱げ」
「……!?」
突然の日向からの命令に、広夢は反射的に肩を震わせた。
「ここ、食堂ですけど」
「だから?」
「誰か来たら……」
時刻は消灯時間過ぎ。
寮生たちはみなベッドに入っている時間だが、飲みものを取りにくる者もいるかもしれない。
実際広夢も、水を飲みに来たところでコーヒーを淹れている日向に出くわした。
「誰も来ない」
なんの根拠もないことを、日向はさも当たり前のように言う。
「だから脱げ」
広夢はその腹の底に響く声に逆らえなかった。
日向の冷たい瞳に操られ、スエットの下を下着ごと太腿のところまで引き下ろす。
無機質な蛍光灯の下、広夢のペニスはどういうわけか天を仰いでいた。
広夢本人よりも、これから起こることに期待している。
「お前の素直なところは嫌いじゃない」
横から日向の手が伸びてきて、広夢のそれをやや乱暴につかんだ。
中途半端に持ち上げていた腰が、ストンと椅子の上に着地する。
「何……するんですか……」
「見るだけ」
すでに大事なものをつかまれていて「見るだけ」の範囲は超えている。
日向のもう片方の手が、コーヒーカップの中から濡れたティースプーンを引き上げた。
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