舞台の幕が下りるまで

代永 並木

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魔物狩り

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ルナルールスが去った後静寂が訪れる

「2人とも助かった」
「いえいえ」
「何とかなって良かったです」
「5人呼んだのはこの為か」
「先に不戦の条件について話しておけばよかったな。次があればそうする」
「これで条件は合計6個ですか」
「そうなるな」

条件の書かれた紙を回収する

「後で纏める。増えるかもしれないしな」
「最後の条件だがどうやって探す?」
「まだ確認していないダンジョンを探すしかない。この付近にはもう殆どダンジョンが無いから遠くか最悪海外だな」

ダンジョンが現れるのは日本だけでは無い
総合的に見れば日本より土地の多い国の方が出現率が高い
契約の魔物も海外に居る可能性は高い

「強いなら3等級以上、最悪2等級も有り得るな」
「契約の異能者、人類側でも探してみる。居るかもしれないし」
「僕らはもう大丈夫ですかね?」
「あぁ、大丈夫だ。お疲れ様」
「お疲れ様でした」
「お疲れ様でした」

ゼラと夢は基地から出る
来た時と違い緊張感はかなり薄れている
ルナルールスが居なくなったので規制も解除されている

「緊張したぁ」

夢は疲れを身体で表現する

「確かに、今日は戦闘をしてないのに凄い疲れた」
「ですねぇ……昨日の疲れもまだ取れてませんし2日で色々あり過ぎです」
「そうだね、だいぶ濃い2日だね」

(もっと強くならないと)
ゼラは対面して力の差を理解した
あれにはどう足掻いても勝てないと
ゼラの異能は特殊で強力、しかしそれだけでは届かない領域

「それじゃ僕はもう帰るよ」
「そうですか。分かりましたお疲れ様でした」

2人は別れる
ゼラは家に帰りベットに寝転がる

「本当に疲れた……あの時」

基地に向かう時恐れていたのはゼラだけ
夢も恐れてはいなかった
(夢は強い。戦えば負けるくらい。あれで新人……元々探索者だったのかな)

「真髄……どうやって至ればいい」


19時
夜は1人で城壁の外へ出る
魔物を探すが居ない
不戦の協定の条件で支配下に置いた魔物はもう付近には居ない

「居ない仕方ない」

そのまままっすぐ向かう
城壁から離れた場所には普通に魔物が居る
その道中、城壁からそんなに離れていない場所で魔物を見つけた

「居た」

刀を抜いて接近する
魔物はまだ気付いていない
音を立てずに近付いて異能を使い距離を詰める
そして刀を振るう
狙いは首、魔物は気付かず首を切り落とされる
(接近バレない? 変)
音を立てないで進む事は出来るが接近すれば音に関係なく大抵魔物は気付く
しかし、この魔物は気付かなかった
変に思いながらも気付かない魔物も居るかと考えて他の魔物を探す
別の魔物を見つけて戦う
こちらに気付き攻撃を仕掛けてくる
攻撃を躱して刀を振るう
魔物は腕で防ぐ
夜は腕で防がれた事に驚きすぐに距離を取る

「硬い」

硬そうな見た目では無い
武器でも無い、腕で防がれた
構える
魔物は拳を振るい攻撃を仕掛けてくる
早いが避けられる速度
攻撃を躱して刀を振るう
また反応されて腕で防がれる
胴体に柄を叩き付けてガントレットで顎をぶん殴る
魔物はよろめく
蹴りを叩き込んで胴体に切りかかる
胴体は深く切れる

「硬い腕無視」

続けて切りかかるが腕に防がれる
再び胴体に蹴りを叩き込む、それも傷口に
痛みを感じたのが隙が生じる
刀を心臓部に突き刺して押し込む
魔物は倒れて消滅する

「厄介」
「おや、騎士いや探索者という奴か」

後ろから声がする
振り返り刀を構える

「待て待て私は戦う気は無い」
「人型」

異能を使い懐に入り刀を振るう
アルセスは刀による一撃を避けて距離を取る

「その目の異能は……成程、だが雰囲気が違うな。いやそもそも何故攻撃をしてくる」
「魔物斬る」
「明確な殺意があるな。意味が分からんな」

何かを呟いているアルセスに関係なく刀を振るう
アルセスは攻撃を躱し続け蹴りを繰り出す
刀で蹴りを防ぐ
(重い)
衝撃で手が痺れる

「その武器、掘り出し物と言う奴とは何か違うが……そうか異能製の武器か」

痺れる手で強く握り切り掛る

「真っ直ぐだな」
「殺す」
「君では殺せない、決闘の相手にも相応しくない」

刀による攻撃を避けて横腹に蹴りを叩き込む
吹き飛び転がる
加減された一撃だが重い
防具のお陰で耐える、立ち上がり突っ込んで切り掛る

「君では勝てない」

攻撃を躱す
当たらない、次々と繰り出すが全て難なく避けられる
(遅い)
一心不乱に刀を振るい続ける

「いずれ届くと? まぁ諦めない事は良い事だが」

余裕で攻撃を躱し拳を振るう
ギリギリで躱して刀を振るい続ける
飽きるまで避けるかと余裕を持って攻撃を躱していると髪の毛が切られる

「何」
「魔物殺す」

刀を素早く振るう
アルセスの髪を僅かに斬る、先程まで掠りすらしていなかった攻撃が当たり始める

「おかしい」

アルセスは疑問に思う
先程までは加減していたと言うようには見えない
アルセスは全ての攻撃を避けられる訳では無い
強者相手であれば攻撃を食らうこともある
夢との戦いがあった、それ故に攻撃に関しては警戒していた
その上で先の攻撃で余裕で回避出来ると踏んでいた
なのに

「早い」

どんどん早くなっていく
一度刀を振るう、その次の攻撃は先程よりも早い
それだけでは無い、動きに無駄が減っていく
殺意を纏った刃が襲いかかる

「まさか強くなっているとでも言うのか? なんだそれは知らないぞ」

アルセスは動揺する
振るえば振るう程強くなるなんておかしい
この目の前にいる人間は成長の速度がおかしすぎる
戦う度に強くなる者は魔物にも居た
だがこれ程の成長速度では無い

「なんだそれは」

距離を取る
異能で直ぐに接近する

「その手の異能は厄介だ。……しかし、どういう事だ?」

他にも疑問に思う事があった
目の前の人間の異能だ
その異能については知っている
だからこそなぜ使わないのかと疑問に感じる

「殺気は本物だ。だがなぜ本気で来ない」
「本気」
「嘘をつくな。異能を半分しか使っていないでは無いか」
「…………」
「なにか理由があるのだろうがそれで勝てるとでも? それほど甘くは無……」

視界外から氷塊が飛んでくる
そして地面に突き刺さり夜を阻む

「氷」

氷塊が飛んできた方向を見るとそこには夢が立っていた

「君か」
「アルセス、お前に用はない失せろ」
「あぁ、そうさせてもらう。彼女に言っておいてよ」
「その必要は無い」
「これは総意か?」
「違う、事情がある」
「……裏切りでは無いか」
「断じて違う」
「分かった」

アルセスは立ち去る
異能で作った氷を消して夜と対面する
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