無色の君

代永 並木

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7話

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「どこに行ったか分かるの?」
「多分ですがアジトです。止めると言っていたので……急がないと」
俺はそう言ってスピードを上げる。
「彼女を止めたら彼女をどうするの?」
女性が聞いてくる
「それはその時に決めます」
俺はそう答える。エリアに入ってすぐに美鶴が歩いているのを見つけた。俺は美鶴の前に立つ
「よう、美鶴何をしようとしているんだ?」
俺は美鶴に聞く
「止める。それだけだよ。邪魔しても良いけど勝てるの?」
美鶴が淡々と聞いてくる
「勝てないがお前を止める。根性とか気合いとかそんなんじゃねえが勝てないを理由にしたら俺は何も出来ねぇんでな」
俺はそう言って霊雷壊殲を身につけて美鶴に蹴りを繰り出すがすり抜ける
……もう発動してる? いや、解除していなかったのか?
……それならもう彼女は消えてる‼︎ 気をつけて
……警戒していますが反応がありません。阻害されています
俺は横から攻撃を喰らい吹き飛ばさせて続けて背後から地面に叩きつけられる
……くっそがよ
……まずいね
……どうします? 警戒していても分かりません。
……しばらく防御だけに力を入れるよ。攻撃時にカウンターを仕掛けられるようにしといてジャミング最大強化 完全阻害術式喰らいな。我が最大の固有スキルを味わえ
俺は完全に防御状態に入り攻撃が来るのを待つ。すると美鶴の様子がおかしくなる
「こ、これは……さすが……負の……概念……」
目の前に居た美鶴が消える。
……相手の能力に影響が出て居ますね
……これで範囲攻撃を撃つよマスター
……分かった。全方位攻撃開始
俺は鎧の防御に回して居た力を刃に変えて全体に飛ばす。
「きゃ‼︎」
小さく悲鳴が聞こえ何もないところで少し血が飛び散る
……当たった‼︎ 場所はどこだ
……真左です。距離は2メートル
……分かった。このまま押し切ってやる
俺は刃を左に集中させて攻撃をする。
「痛い‼︎ 痛い痛いよ。辞めて……死にたくないよ。降参するからもう辞めて」
……‼︎ 駄目だ。マスター止まれー
……攻撃を止めてください‼︎
姿が消えているが美鶴が泣きそうな声が聞こえたらしく2人は止めようとするが俺には聞こえておらず無数の刃が美鶴の身体を確実に貫いた感覚があった
「ぁ……ぁ……」
美鶴が姿を現わす。美鶴は倒れており手足や胸や腹などに傷があり血が大量に流れていた。ジャミングによって能力を使えずに攻撃をモロに食らってしまったようだ。美鶴は多少息をしているが倒れて動かない。俺は美鶴を見て止まる
……美鶴? 死んだのか?
……彼女死んじゃったの?
……まだ生命活動しています。まだ死んでません。早く助けないと本当に死んじゃいますよ。
……でも、どうやって
……どうやってじゃないですよ
……マスター早く動いて癒しの概念武装を持っているあの人なら応急処置は出来るはず
……なんで足が動かない。なんでだよ。助けないと美鶴が死ぬのに
俺は足が動かない。決して邪魔をされているわけでは無いのに何故か動かないでいる。理由は簡単自分を殺そうとした人物を助けるのに躊躇していたからである
……彼女はマスターを殺そうとしたから無理に助ける気がないなら助ける必要はないよ
……そうですね。助けたくないなら助けなくても良いです
……いや、助けたい
……なら動いてください。私達は自分の意思で動けないのですから
……どうしても足が動かないんだよ。
……本当に思っているの? 心の中では殺そうとした彼女を助けたくないんでしょ
……そんな訳があるはずが……
……あるんだよ? 人ってのは頭で考えても動かない時って本当にそう思っていないって場合が多いよ
……俺はどうすれば……
……そんなの貴方が決めることだ‼︎ 見殺しにしたいならしろ‼︎ 助けたいなら無理やり足を動かしてとっとと助けろよ‼︎ 貴方が止めるためにやったんだからしっかりと責任は持てよ。彼女が死んで俺は悪くねぇとか言う気か? まぁ、彼女が勝手に作戦を止めるとか言って貴方を殺しかけたんだし死んでも仕方がないよな? まぁ、殺す気は無かったみたいだけどね。女性の話を聞いた限り多分意図的に女性を待機させて深い傷で動けなくさせて治療しているうちに作戦をやめさせる気だったんだろうね。彼女は優し過ぎたそれがこうなった原因だよ
「楓‼︎ かなり傷が酷いな。大丈夫だ。今助けてやるからな」
女性が美鶴に駆け寄って概念武装を使い治療をする。傷が多く血も沢山流れていた為美鶴は意識を失ってしまった
……軽くいたぶる事で精神的に戦いを恐れるようにしていたんだね
……多分そうだと思う。作戦をやらせない為には1番有効、でも、彼女は遅過ぎた。作戦を止めようとするのも覚悟を決めるのも
……今回はジャミングをフル稼働したせいで避けれなくなったんだよね
……勝つ為には仕方がなかったとはいえその後の攻撃がね
……彼女はまだ止めようとする筈方法はあるといえばあるけど……
……今の状況でそれができるとは思えない。この国のバランスを良くするには表と裏を両方とも利用しないと行けない
……シーナちゃんなら出来ると思う。まぁ、全員を助ける事など出来ないけどね。国を変えるのは今の状況でもいけるでしょうが抑止力の一度の敗北と戦力外とされてた思わぬ伏兵の目的作戦阻止と伏兵の敗北による抑止力の戦意喪失と伏兵の執念……はっきり言ってこのまま作戦が無事に終わるとは考えづらい
……この状況はかなりまずい。
……マスターは今返答しないほど頭が馬鹿みたいだから無理じゃない? 1人で考えたところで答えなんて出ないのに
……私たち暇ですね。やる事が無くなった
……そういえば敬語はどうしたの?
……我を忘れた時に捨てた。敬語なんて使わない。ところで霊雷ちゃんはこの後どうするの?
……うん? 私はまぁ、待機かな。このマスターがちゃんとした行動を取るまでは力を貸さないかな
その後治療を終えて美鶴は女性に抱えられて家に帰っていった。何があったかはシーナによって暴かれてしまい朝霧さんに自分でどうするか考えさせる為に俺は家に帰らされた。作戦にかなりの支障が出た為俺以外の全員をアジトに集めて会議をするらしい。その結果によっては俺は作戦参加が出来なくなるらしい美鶴は茉耶姉が話をするそうだ。止められるかは分からないが現在の人材で1番有効だと考えられる
……茉耶さんか。止めれるかな?
……どうだろう。止めれない可能性の方が高い気がする
……だよね。このマスターが動けばやりようはいくつかあるのに
……止めれるかもしれないからね。まぁ、しっかりと考えさせましょう。
その後数日間俺は家に閉じこもっていた。自分を好いてくれた同級生を殺しかけてしまいその挙句俺は助ける事が出来ずにニーナに怒られてた後も何も出来なかった。ニーナ達はあれ以降も何か話しているが世間話でありあの時の事は何1つとして話していなかった。ヒントをくれると心の何処かで思っていたが現実は甘くないようだ。あの後茉耶姉や朱音やシーナ達が時折来ていたが無視をしてずっと考えていた
……答えは出たかマスターよ。あの人達が来てくれていたのに無視するとはな。
……うるさい、考えているんだよ
……決まりましたか? お馬鹿さん?
……うるせえ、考えてるって言ってんだろうが
……あいつの持つ概念武装の正体が分かったぞ。あいつは2つ持ちだ。どちらも無情の概念武装ではあるが同時期に違う場所で現れた物だと考えられる。
……はっ、いつだって言うんだ? 今それが関係してるのか?
……中学の美鶴拉致事件の時いや、その日の連れてかれた時刻に2つとも現れ美鶴に力を貸した。偶然では無いんじゃ無いかな?
……だとしたらどうした? 今関係ないだろ
……普通じゃないんだよ? 同じ感情の概念武装は2000年前には存在していなかった。それなのに今更2つ現れた。関係ない訳じゃないんだよ。そうだ、後1つあるから気をつけてね
……後1つ? 概念武装か?
……そうだよ。下手したら1番厄介だから結構やばいからじゃあね
(訳がわからねぇ)
俺は頭を抱える。今なぜあいつが俺に伝えた? 必要無いのにわざわざ伝えるか? 2つの概念武装と後1つの概念武装、今になってなのか? あいつは3つしか知らないと言ってた筈だが思い出したのか? 何でだ? 俺は考えるが分からない為携帯を取り出してある人物に連絡を取り準備をして外に出てとある場所の店に行って中に入って待つ。ここはある人と話す時のみに使っている場所であり他のメンバーが知っているかは分からないが2人で会う際に他のメンバーは一度も来ていない他のメンバーとは復讐者の集いや茉耶姉や沖田さんたちの事である。
「待たせたね。何があったのかな? まぁ、話をしようか連兄さん」
1人の客が入って来て隣に座った。フードを被っており姿が見えない。声も少し変えているようだ。正体は分かっているが今は伏せておこう
「来たか。そういえばここは他のメンバーは知っているのか?」
俺は聞く
「知らないよ。ここは私達だけが知っている場所」
淡々と答える
「そうか、取り敢えず情報を教えるからお前も教えろ」
俺がそう言って情報を教える
「成る程、分かったよ。私からの情報は……これぐらいかな」
持っている情報を教えてくれる
「成る程、今持っている情報を元にするとお前かよ、最後の概念武装を持っているのは」
俺はため息をつく
……この人が概念武装持ち?
……こいつの正体分かったか?
……分からない。兄弟なんて居たんだね
……血は繋がってないぞ。
……女性だよね?
……そうだぜ。結構簡単に分かると思うぞ
「最後? よく分からないけど確かに持っているよ。概念武装、ところで他のメンバーに言うのいつにする?」
首を傾げた後に聞いてくる
「この事か? お前が決めろよ。俺に聞かれてもだからよ」
俺はそう言って水を飲む
「それより美鶴ちゃんだっけ? あの子かなり可愛いよね?」
突然聞いてきた為むせてしまった
「…………お前突然何を言い出すのだよ」
俺は落ち着いてから喋る
「いや、本当に気になってね。可愛いし強いし身長は少し小さいかな? 胸も小さいけどスタイルに合ってるし兄さんには勿体無い。それだから私は嫉妬する。言っておきますが絶対に私の方が兄さんが好きですし相性も良いです‼︎」
いきなり前のめりになって言ってくる
「お前は何を言っている? そんな事よりすぐに言うのか?」
俺は話を戻す
「まぁ、まだかな? それと作戦に関してなんだけどね。参加する? しない?」
重要な事を聞いてくる
「参加する。美鶴に関してはお前の概念武装で対抗してくれ。ただ殺すなよ?」
俺は答える
「どうでしょう。手元が狂って殺してしまうかもしれません。ふふふ」
不敵に笑う
「殺すなよ? 殺したらお前を殺す」
俺は威圧する
「酷いですよそれ、美鶴ちゃんの事が好きなのは分かりましたがそれで妹を殺すって酷過ぎます。どうせ私が死んでも美鶴ちゃんを殺すことはしないんでしょ? 分かってます分かってますよ。兄さんにとって私は義妹ですら無く血の繋がってない赤の他人なんですよね。殺し合いでこちらは殺すの無しってふざけてますよ。兄さんの大馬鹿者」
酷く悲しい顔をしてから拗ねてしまった
……殺し合いで殺すの無しってのはおかしいよ
……殺される可能性あるのに殺しては行けないって馬鹿なの? 彼女が言っている通り大馬鹿者ですね
……確かにこいつが死んでも美鶴を殺すか分からねえけど……
「まぁ、彼女が死ぬかは彼女が本気で殺す気かどうかにかかっています。別に私を殺しても良いですよ? ジャミングを使っても私を殺すことは出来ませんよ。美鶴ちゃんは避けるための力をジャミングで邪魔されて避けれずにやられましたけど私のは違うので、言っておきますが私には兄さん如きでは勝てませんよ」
笑顔で淡々とそれでいて自信満々に彼女は言った
「勝てない? それはやってみないと分からないだろ?」
俺は聞くと少し驚いて笑う
「無理無理勝てないよ。兄さんは確かに概念武装で強くなったけどそれだけじゃあ私の痛みの概念武装 フレイレチィスには勝てない。久し振りの話だったけど兄妹って感じじゃなかったよ」
少し残念そうにそう言っている
……痛みの概念武装? 後1つあるとは聞いていたけどよく分からないな
……痛みということは相手に激痛を与えるとかかな?
……確かにそれなら俺は勝てないが美鶴が本気で殺そうとしたら美鶴が死ぬってのが気になるな
……一応味方だよね?
……味方だぜ。お前らも見た事があるはずだがまぁ性格が変わっているから分からないか
「ちゃんと自炊してる?」
突然話を変えて聞いてくる
「インスタントか冷凍食品で済ませてる。時々茉耶姉が作った飯を貰ってる」
俺は答える
「そうですかまぁ、構わないですが健康には気をつけてくださいね。体調を崩したら連絡をください。急いで行きますから」
注意される
「分かった。それでお前からの話ってなんだ?」
俺は聞く。連絡を取った際に彼女は「こっちも話がある」と言っていた
「話? あぁ、あれね。彼氏出来ました」
笑顔で答える
「えっ⁉︎ お前に彼氏? 誰だ?」
俺は驚く。
「嘘だよ。ふふふ、本当は私この作戦終わったら辞めるよ。自分で独立して作りたい組織があるんだよだから先に勧誘、この作戦を成功させたら入ってくれる?」
本題に入る
「まじか……いいぞ。俺は一応何処の組織にも属していないからな」
俺はそう答える
「良かった。てっきり断られるかと思った。それと彼女との戦闘は真面目にはやらないからよろしくね。私は今ある概念武装相手には多分負けない」
自信満々で言っていた。嘘偽りはなく本当に勝てると思っているようだ。彼女は自惚れるような人物ではない為それ程強いんだと考えられる
「そうだ後さ、こっち来て」
手招きするので近づく
「ふふふ」
不敵に笑いキスをしてくる
「な…………お前何してんだ」
俺は急いで離れて聞く
「私のファーストキスだよ。兄さん有り難く貰いなさい‼︎ もしかして兄さんも?」
聞いてくる
「そうだよ。何か文句あるか?」
俺は少しキレ気味に言う
「いや、むしろ嬉しいからさ。続きをしても良いんだよ? まぁ、今日は駄目だけどやりたくなったら連絡くれれば家に行くよ。血の繋がってない妹だからなんの問題もないよね」
そう言って帰って行く
……なんだあの子闇商人の夜鬽って子より積極的だね
……義だろうが妹には変わらないだろ。
……夜鬽ちゃんは断ったんだっけ? それなら2人キープ状態か今いや、美鶴ちゃんも断ってたよね。それなら妹ルート入るかな?
……1人の女性として見れないとか言わないよね。1番彼女にとって最悪な事だからそれ
……言わねえよ。妹なんて言ったって4年くらい前にいきなりなったんだから
……養子?
……いや、親の再婚
……成る程、どうするの?
……ハーレムルートかな? それとも全員断って背後から刺されるエンドかな?
……後者俺死ぬよな? ぶっちゃけ困ってんだよ。夜鬽は断ったけどあれはあいつの悪ふざけだし美鶴は作戦があるからって理由で断ったしあいつに関してはそれを承知で言いやがった
……夜鬽って子が本気で告白してきたら? というよりしてるでしょあれは、後茉耶さんはどうなの?
……茉耶姉は分からん。あの人は多分無いんじゃないかな? 夜鬽が本気でか、そんな事されたら困るな。
……断るなら断れば良いって言っても断ろうにも断れないか。優柔不断男 そうだ、実体化今なら出来るかな?
……実体化? あぁ、前に言ってた奴か、試すのか?
……なにそれ楽しそう。
俺は目を瞑ってイメージする。
……人体生成完了 魂転移 肉体とのリンク リンク20%……90% 100%完了 ニーナちゃん違和感無い? 肉体の機能は全部入れてあるけど
「ありません。成功ですか? 少し試しましょうか。動かないでくださいね」
ニーナはそう言って笑顔で抱き着いてくる
「⁉︎ どうしたんだ?」
俺は驚き聞く
「久し振りに人に触れました。少しだけこのままで良いですか?」
ニーナは嬉しそうにそう言って力を少し入れる
……実体化にこだわってた理由はそう言う事か
……そりゃあ15歳の女の子だからね。後肉体の機能は全部入れてあるから人間のやる事なんでも出来るよ。それと普通より早く回復して少し頑丈な上身体能力も中々あるよ。
……そりゃあ凄いな。肉体なんてどうやって作ったんだ?
……マスターのイメージがあったから、まぁ、細かい部分は後々作っていくけど
……人形作り?
……まぁ、そう考えてくれれば良いかな
「まさか、実体化出来るとは思いませんでした。やりたい事もありましたし」
ニーナはそう言って離れる
「やりたい事? あぁ、普通の生活がしたいとかか?」
俺は聞く
「それもですがやっぱり恋ですかね? 戦場にいたので恋する事はありませんでした」
ニーナは答える
「そうか、まぁ、頑張れよ」
……そうだ、マスター達が死んでも肉体を作ってあげるよ。自分のなりたい年齢や姿を言ってくれれば
……年はとらないのか? 後、肉体はどれくらい持つんだ?
……年はとりません。肉体はそうですね。1000年程度だと思うよ。その時になったらまた作れば良いですし結構楽なお仕事です
……便利だな。そういえば他の概念武装って意思がないよな? 剣は除いて
……そうですね。意思がないようですね。多分痛みの概念武装はあるのではないでしょうか。本人に聞かないと分かりませんが
……そういえば痛覚は遮断出来るのか?
……出来ますよ。なんでも出来ます。痛覚を遮断してその上で感覚は残すって事もできますが違和感があると思いますよ
「体ができたから作戦を手伝えるよ。それと警戒に関しては自分でやってね。銃は使わないと思うけどそれと私は元々の会話って出来る?」
……出来るよ。リンクしているからね
ニーナは作戦に参加するつもりらしい
「武器はどうするんだ?」
俺は聞く
「スナイパーライフルを使うよ。腕がなる」
ニーナは答える
「スナイパーライフルか、あいつらに伝えておく。他には?」
俺は携帯を取り出す
「……アンチマテリアルライフルで」
ニーナは少し考えて答える
「アンチマテリアルライフル? わからんがまぁ、言えば大丈夫か」
……作戦までどうする?
……待機だ。ニーナは状況を把握教えながら援護を頼む
……分かったよ。出来たら援護するけど美鶴ちゃんは彼女に任せて良いの?
……大丈夫だ。あいつは決して自惚れるような奴じゃないからあいつが負けないと言ったら負けん。そういう奴だあいつは
……そんな凄いの?
……あいつは勝てると言った試合では必ず勝ち負けないと言ったら負けないあいつは天才でありながら努力を怠らない人物だ。訳があって結構寝てるけど
……まぁ、作戦まで別行動ね
……そうだな。少し俺とリンクを切ってくれ
……分かった。理由は聞かない。そうだ鎧は使えなくなるからね? またリンク繋ぎたくなったらニーナちゃんに言ってね
……分かった。じゃあな
俺は2人とリンクを切ってから外に出る。
「さてさて、もう1人に会ってくるかな? この国の最強達を集めたんだ。条件は揃ったかな? 美鶴や癒しの概念武装持ちのあの人は仲間と言えるのか不明だけど……気にしなければ良いよな?」
俺はそう呟いて歩き出す。
しばらく歩いた先には森がありそのまま中に入り少し周りを見渡してから走り出して約10分間走る。
動物がちらほら見えたので木の上に移動して危険生物がいないか確認してからまた走り出す。
後に大きな道路に出たので道沿いに歩いていきまた森に入り1時間程度真っ直ぐに行くと霧が立ち込めていたが気にせずに歩くと少し見晴らしが良くなり家が現れる。
家の前に行って周りを見渡すと何かが飛んできたので避ける。
よく見ると飛んで来たものはナイフであった。
ナイフの刃に何か液体が塗ってあった毒であるだろう
急いで草むらに隠れて息潜めて相手のいる場所を確認する。屋根の上に人影が見えた
(あそこにいるのか。草むらで足音を立てずにどうやって行くかな?)
俺は近くの木に隠れてしばらく考える。
相手は今回会いたい人物であるが油断をしたら殺される。
これは結構まじな話である。
前に斗真が殺されかけた事がある。
斗真はそれ以降ここに来ることは無くなった。
相手にとってはお遊びであると言う事が最も恐ろしい事である。
今迄であれば逃げていたが今回は逃げる訳には行かない。
そんな危ない人なら鎧をつけて行けばいいのでは? と思ったのならさっき通って来た場所の様子を確認しよう。
そうすれば多分分かるぞ。
(さてさて、あれをやるか)
俺はため息をついてある物を家に向かって勢いよく投げて突っ込む。
投げたものはスモークグレネードでありすぐに周りが見えなくなり家の後ろに移動してスタングレネードを投げて耳と塞いで後ろを向く。
少し経って起動したので走って家の屋根の上にバレないように移動してそこに居た人物に掌底を食らわせようとするが避けられて屋根の木が崩れる
「女の匂いがする。また増えたね。殺されに来てくれたの? 連?」
下に降りると同時にナイフを投げて来る。
俺は隠れて避けてから背後に移動する
『歩法 静速』『攻法 二連』
俺はすぐさま背中に2発の掌底を打ち込み吹き飛ばす。
吹き飛んですぐに体制を整えようとするが接近してもう2撃打ち込む
「それ合気道じゃないよね。一体いつそんな技を身につけたのかな?」
「1年前に俺には1番合う戦い方だったもんで教えて貰ったんだよ」
俺はそう言ってもう一度掌底を繰り出すが避けられて腕をナイフで刺される。
激痛で怯んだ為足をかけられて転ばされ馬乗りをされて逃げられなくなる
「これで終わりだよ」
ナイフを上にあげて振り下ろして来る
「たしかに終わりだ」
俺は相手の胸に手を置いて掌底を繰り出して吹き飛ばす。
吹っ飛ばされて壁にぶつかり気絶してしまった
(死なないように手加減はしたんだけどな。後で謝らないとな)
俺は相手の前に行き抱えてベットに寝かせる。
その後家の修理を軽くしてから目が覚めたのを確認して話しかける
「よう、元気か?」
俺が聞くと周りを見渡して少し考えている
「私負けたんだ。残念、後私に言う事あるでしょ?」
フードを外すと銀髪の女の子が現れた
「あの状況とはいえ胸を触ってしまい申し訳ございません」
俺はその場で土下座をすると少女が頭を踏んで来る
「感想は?」
少女が聞いてくる
「感想? 柔らかくて丁度いいサイズでした」
俺は恐る恐る答える
「あら、そう変態さん。まぁそれはいいけど要件は何かしら? 先に言っとくけど力は貸さないよ。絶対にね」
少女が忠告して来る
「分かってる。今回は2人の戦闘についてだ」
俺は答える。
本当は力を貸してもらうつもりではいたが貸さないと言ったら絶対に力を貸してくれない人だ。
まぁ、それぐらい頑固で後サイコパスだけど占い師であり合っている確率は知る限り100%であり知り合いは皆彼女の実力を認めている
現象などを突然起こしたりする概念武装の関与によっても変わる事は無い程的確である。
性格や姿からは思えないほど人見知りで知り合い以外を見たら全力で隠れる程でこんな場所に暮らしている理由もそれが原因だ。
実力があるが殺し以外には興味がなく昔勝負を仕掛けて来た相手を殺してしまっている。
それも一瞬で無表情でその上で「弱過ぎてつまらない」と言って周りの人々を恐怖を埋め込んだ。
それ以来、彼女は人前に出る事は無くなった為関係者以外はさっきの話は知らないだろうし占いのことも知らないだろう、まぁ知ってても来ないと思うけど
警察が来てもバレないように仕掛けを作り閉じこもっている
「決着はつかないよ。まぁ、作戦に手出し出来ないから問題はないよ。ちなみに作戦の方も大丈夫だけどその後に少し問題が起きる。まぁ、頑張れば解決出来るから心配はいらないよ。後、君は結婚を考えないと行けなくなるから、誰とは分からないけど絶対にね。すぐに結婚って訳ではないけどさ」
少女が説明する
「成る程、分かった。ありがとうよ」
そう言って俺は外に出ようとするが止められる
「ちょい待ち、あの技は何? 武術なのかな?」
聞いてくる
「違う。あれは暗殺拳の類だ。まぁ、今回は殺す気が無かったからってのがあるから手加減はしたが本気でやれば人を簡単に殺せる。身体が暗殺拳と相性が良かったらしく結構早く上達出来た」
俺は淡々と説明する
はぐらかすとナイフが飛んで来そうなので大人しく説明すると少女は納得してから少し考えている
「それならなんで概念武装なんて持っているの?」
少女が聞いてくる。
暗殺拳があれば普通の人相手なら事足りるし概念武装持ちでも数人と一緒に戦えばいける
「隠しておきたかったから、こんな力を持っているのは恐ろしいだろ? 自分から手にした奴が言う事でもないが」
俺は苦笑する。
「確かにね。まぁ、嫌いにならないんじゃないかな。特に美鶴って子は」
少女は少し笑う
「美鶴? なんでだ? それとなんで名前を知っているんだ?」
俺が聞くと少女は笑ってごまかす
「さあね、まぁ、付き合う人とは本当の事をしっかりと伝えなよ。そうじゃないと災いがその子に降りかかる。君ではなくその子にだ」
少女はそう言って欠伸をしてから布団をかけて寝てしまった
俺はそれを見て少し笑い外に出る。
走って移動して霧を抜けて道路を走って森に入る前の場所についたら電話がかかって来た
ちなみにあの道路は車が全く通らないため植物が自由に生えてしまっている
『作戦は明日に変えるそうだよ。今の状態ではすぐに行いたいから』
「分かった。作戦はすぐに終わらせよう。美鶴に関しては手を打って置いたから問題はない。佐原、茉耶姉を守ってくれよ」
『任せて必ず守るから、この命に代えても必ず』
「お前も生きろよ。死んだら後で困るから、敵が来たら手加減は要らないからな」
『分かった。全力で相手をするよ』
「任せたぞ。じゃあ明日な」
『また明日』
そう言って俺は携帯をしまい家に向かって歩いていく。
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