無色の君

代永 並木

文字の大きさ
上 下
4 / 9

4話

しおりを挟む
……今ここで試したいのですがよろしいですか?
……実体化の奴か。暇だしやるか。イメージすれば良いんだよな?
……はい
俺はしばらく目を閉じてニーナをイメージするそれに合わせてニーナがなにかをやっているが出来ない
……無理みたいだな
……ですね。やり方が違う? 原因はなんでしょうかね?
……その前に実体化なんて出来るのか?
……さぁ、分かりません
……わかんねえのかよ。てか、お前って俺に取り憑く前って何してたんだ?
……彷徨って武器の方を見てたりしていただけですがそれが何か?
……死んで間もない時はどうしてたんだ?
……あぁ、私って死んだんだなぁと思いながら戦場をうろついていました。ちなみに死因はFFでした。いや、詳しくは自爆?
……フレンドリーファイヤー? お前スナイパーだよな? まさか手柄目的の為に邪魔であるお前は殺されたのか?
……まぁそんな感じです。足と右肩を撃たれてから押し倒されて強姦されかけましたがそう簡単に処女を渡す私ではありません。そいつらにグレネード投げつけてやりました。計3つ全部、逃さないためにスタングレネードも一緒に
……お前、それオーバーキル、それで自爆したのか。戦場の話だよな?
……そうですよ。そんな事よりどうするんですか?
……どうするか? ここにくれば何かヒントがあると思ったんだけどなぁ
俺は壁に寄りかかって座り込む。
……俺は戦うにも理由が欲しい
……分かりますその気持ち、国のために戦えとか言われましたが全く私にとっては要らなかったので別の戦う……命を張る理由を求めました。私が自分が満足する人を殺す為の言い訳を探したに過ぎませんが
……見つけたのかお前は?
……いいえ、見つける事が出来ませんでした。今になってはどうでも良いので、今の理由は強いて言うなら貴方を死なせない為です
……それはありがたいな
「連、戦う理由を求めているのか?」
朱音が話しかけてくる
「よく分かったな。戦う理由が欲しい」
俺は驚く朱音を見る
「自分の為にとか無色の子の為とか茉耶の為とかなんか無いの?」
朱音が聞いてくる。茉耶姉の事は全員が知っている。
「思いつかない。茉耶姉は俺より強いし美鶴も俺が守るより茉耶姉の方が守った方が良い」
俺は答える
「なら、月見姉妹の為ってのはどう? 彼女達の復讐のために」
シーナが聞いてくる
「あいつらの為か。良いかも知れない。1番今の俺にあう理由しこの話の立案者だしな」
俺は答える
「後から大切なものを守りたいとか加えていけば良いよ。肝心なのはしっかりとした意思と覚悟」
シーナはそう言って再び寝る
「シーナって本当に凄いな」
俺は感心する。
「リーダーと作戦の大体は朝霧が担当するだろうけどシーナが時々付け加えて作戦を考えるんだろう」
朱音が言う
「そういえば朝霧さんの話は聞いた事がない。朝霧さんもこういう場所出身?」
俺が聞く
「確かそうだと思うけど詳しい事は知らないんだよな。知ってる奴いる?」
朱音が他のメンバーに聞くが全員が知らなかった
「知ってるよ。あの人はここ出身で元軍人だよ。何度も戦場に赴いては勝利している程の実力者で一度として怪我を負った事がないとまで言われてる」
凌さんが答える
「なにそれ化け物じゃねえか。リーダーってそんなに強かったのかよ」
一夜が驚いている
「そこまで驚く? リーダーにそういう話があってもおかしく無いと思うけど」
美咲さんが言う
……化け物ですね
……化け物だな。この組織のリーダー務められる理由が分かった
……外に1人で行ってたのですが大丈夫なのですか?
……さっきの話以前に復讐者の集いのリーダーたる人物に喧嘩を売るような奴は居ない。リーダーに喧嘩を売った組織は瞬く間に壊滅した。全メンバーでの総攻撃でな
……見た事があるのですか?
……ある。俺もそこに居た。相手は100人程度居たはずなのにたった3分で相手リーダーと数人を残して全滅してた。
……凄いですね。そんな人達が味方なんですね。簡単に勝てますよね
……そう簡単には行かない。他にも居るんだよ。化け物がそれも国側にだ。あいつらと戦ったらこちら側にも犠牲が出る。俺は知り合いだしあいつらとは戦いたく無いな。テロリストになったら間違いない戦うことになるし国側になってもいずれ復讐者の集いと戦う羽目になる
……そうなんですね。貴方の目的は何ですか?
……誰1人の犠牲も出さずに国を変える事、現在の俺の目的だ。無理な事は分かってるがせめて最小限の被害で済ませたい。
……最小限の被害ですか。出来るんですか?
……その被害は悪いが国側の裏の人間にする。すぐにこの国を変える手段を考えないとな
「帰ったぞ。それと拾い物だ」
朝霧さんが帰ってきた
「朝霧さん決めました」
俺がそう言うと
「そうか、それよりもこいつらを拾ったのだが」
朝霧さんが2人の少女を前に出す。
「美鶴と茉耶姉? 何でここに」
俺が驚く
「さて、何故でしょう? それよりどうするの?」
茉耶姉が聞いて来る
「国を変える為に戦う。罪人になろうと構わない」
俺は答える
「そうか、ならば力を貸そう。しかし、我々でも相手にしたら困る奴らがいるのだがどうするつもりだ?」
朝霧さんが聞いてくる
「俺が交渉してみます。あいつらなら多分分かってくれるだろう。もし、交渉決裂ならば俺があいつらと戦う。勝てないだろうが食らいついて腕の一本程度でも斬り落とす」
俺が覚悟を伝える
「そうか、死ぬ覚悟ができているのだな連よ。作戦を考える‼︎ 全員集まれ」
朝霧さんが全員を集めて作戦会議を始める
「私達はやる事ない?」
茉耶姉が俺に聞いてくる
「茉耶姉は美鶴を守ってくれ。月見姉妹にこの事を伝えないとな」
俺は携帯を取り出して連絡を取る。しばらくして繋がった
『どうしたの? やる気になった?』
夜鬽が聞いてくる
「やる。復讐者の集いのメンバーも力を貸してくれるそうだからアジトに来い。場所は知っているだろ?」
俺が答える
『分かったよ。向かう。武器や防具はこちらで欲しい物を用意するから』
夜鬽がそう言って何やら準備をしている
「頼んだぞ。それとあいつらの居場所について調べてくれ」
俺が聞く
『分かったよ。今から調べるね。……アクセス完了、ええっと、現在の居場所は不明だけど家の場所や仕事場の場所が分かったよ。そっちにデータを送るね』
夜鬽がそう言うとデータが送られてくる
「……家の場所は森の中? 仕事場は東京都の警察署かよ。今の俺なら行けるか」
俺が少し考える
『いつ向かう?』
夜鬽が聞いてくる
「明日辺りだな。これに関しては早く済ませたい。まぁ、時間は掛かるだろうがな」
俺がそう言って電話を切る
……これでとりあえずは揃いましたね
……あぁ、問題はこれからだけどな。俺1人で果たして時間を稼げるだろうか
……力を貸しますが死にそうになったら退散してください
……駄目だ。戦う、死にかけたら別の奴に取り憑いとけ。まぁ、戦わないでくれれば良いのだがな。そちらでも全力を尽くしてみないとな
……1人で行くのですか?
……俺以外は知り合いじゃないしその上で一応犯罪者の復讐者の集いのメンバーは行けない
「明日どこに行くの?」
美鶴が聞いてくる
「東京都の警察署だ」
俺が答える
「付いて行く」
美鶴が言ってきた
「付いて行く? 危険じゃないが……」
俺が驚く
「何も出来ないのは嫌だ。自分で戦いたい。無色の意味は僕は何も出来ないし感情もない無表情だから何も無いという意味だけどもう一つ意味があったみたい」
美鶴が語る
「もう一つ? まさかお前」
俺は理解した
「何者でもない為何者にでもなれる。それが僕の力」
美鶴が言う。
「分かった。明日付いてきて良いぞ。だが自分の身は自分で守れよ」
俺は少し笑う
「これはまだ伝えない方が良いかな?」
美鶴が小声で答える
「何か言ったか?」
俺が聞くと首を横に振る
「おい、作戦会議をするぞ」
朝霧さんが言っていたので2人で向かう
「作戦を考えるがどうする?」
朝霧さんが聞いてくる
「俺は伝えた通り交渉しに行きますが交渉決裂した場合は作戦時別の場所にて戦闘します。交渉成立時はスナイパーライフルで援護します」
俺が先に伝える
「分かった。作戦までは別行動で交渉をしといてくれ」
朝霧さんがそう言って別の人に話を聞く
「私と伊織で敵陣突っ込むから援護頼む」
朱音が言う
「なら、アサルトライフルで援護するぜ」
一夜が答える
「私も援護しますよ」
「俺も姉さんと一緒に援護する」
美咲さんと健が答える
「俺も敵陣に突っ込むぞ。シーナは指揮官は任せたぞ」
朝霧さんがそういうとシーナが頷く
「任せて、茉耶ちゃん手伝ってね」
「わ、分かりました」
茉耶姉が答える
「俺は援護かな?」
凌が答える
「武器に関してはどうする?」
朝霧さんが聞いてくる
「月見姉妹が持ってくるそうです。月見姉妹は後方支援を行うでしょう」
俺が答える。月見姉妹は自分達で戦おうとしない為今回も戦闘には参加しないと考えられる
「そうか、作戦開始は1ヶ月後で良いか?」
朝霧さんが聞いてくる
「大丈夫です」
俺がそう言うと全員が頷く。丁度その時に月見姉妹が現れて武器や防具などを持ってきていた
「連、これ持って行って」
夜鬽が首輪を渡してくる
「首輪? 何だこれは?」
俺が聞く
「これは鎧だよ。なぁ特殊な鎧で使い方はここに書かれている。ちなみに使うのは相当危険な時しか駄目だからね」
念を押してくる
「分かった。武器は?」
俺が聞く
「それに首輪に鎧と一緒に内蔵されているよ。ちなみにその鎧は何も分かっていない謎だらけで今迄使った人間は相当の力を得る代わりに死んでいる曰く付きの鎧だよ」
夜鬽が説明する。その姿は人によって変わるらしいが皆この鎧を着てしばらくすると倒れて勝手に解除されるらしい
……恐ろしいなこの首輪
……使うのですか? 辞めた方が良いと思いますが
……使う時が来なければ1番だけどその時が来たら躊躇せずに使ってやる
「ちなみに名前は霊雷壊殲《えいらいかいせん》だからね。使う時叫んでみて」
夜鬽が笑顔で言う
「使わざるを得ない状況で叫べるとでも? それにかなり物騒だな特に壊殲の所、何これ使うと狂戦士にでもなるのか?」
俺が冗談半分で言う
「なるよ狂戦士に結構ガチでその鎧に身体を乗っ取られているような感じで」
夜鬽が答える
「まじかよ。まぁ、持っておこう」
俺は首輪をしまう
……曰く付きどころか幽霊付いてませんか?
……お前も幽霊だろ? 取り憑いている幽霊がどんな奴なんだろうな
……心優しい幽霊なら良いんですけどね
……今迄装備した奴は死んでいるのに心優しい幽霊な訳無いだろ。むしろ意識があるのかどうかだな
「今日は解散しろ。連頼んだぞ」
朝霧さんがそう言ってパイプの上に座る
「じゃあ帰ります」
俺は2人を連れて家に帰ろうとして行きと同じ道を歩く。俺達が歩くと周りがこちらを見ていた。
……何故見ているのでしょうか?
……茉耶姉と美鶴を見たんじゃねえのか? 早めにここを出るか
「急いでここを出るぞ」
俺は2人に言って走り出す。2人がちゃんと付いてきていることを確認して走る
「きゃ‼︎ 助け……」
後ろで声がして止まって振り向くと美鶴が男に捕まっていた
「そいつを離せ」
俺がそう言うと男は笑う
「嫌だね。こいつは上玉だから中々楽しめそうだ。処女だったらもっといいな」
男はそう言って美鶴を連れて行こうとする。止めようとするが後ろから2人男が出てくる
……一瞬だけ怯ませる
……銃を使います? 朱音さんのまだ持っていますけど、幸いなことにまだ銃弾が入ってますしマガジンも一つある
……そういえば返していなかったな。まぁ借りとこう。銃弾に関しては月見姉妹に頼めば良いしな。頼めるか?
……任せてください。
俺はニーナの力を借りて美鶴を捕まえている男の肩を撃ち抜く。男は思わず美鶴を離す。
「茉耶姉走るぞ」
俺は茉耶姉に伝えて美鶴を抱えて走り出す
茉耶姉が前を走る
「テメェ待てやゴラァ」
男達が銃を構えるが振り向きざまに撃った銃弾で足を撃たれバランスを崩して倒れ込む
……サンキュー、凄いなお前
……もっと褒めてくれても良いのですよ?
……あぁ、本当に凄えよ。あの時も助かった
俺と茉耶姉は走り続けてエリアを抜ける
「銃を持ってて良かった」
俺はホッとする
「凄い。一体何があったの?」
茉耶姉は驚いている
「あの……離してください。この状態で会話をしようとしないで」
俺に抱えられている美鶴は淡々と俺たちに伝える
「すまない」
俺は謝ってそっと降ろす
「何で僕が捕まったの? 茉耶姉の方が美人で胸もあるのに」
美鶴は自分の胸と茉耶姉の胸を見比べている
「2人とも狙っていたんだろうよ。他にも仲間みたいな奴らが様子を見ていた」
俺は苦笑いをする
「美鶴ちゃん可愛いから狙われてもおかしくないってそれより帰りましょう。遅くなったらさっきの人達が来るかもしれない」
茉耶姉が美鶴の頭を撫でる
「そうだな。行くか」
俺たちは歩いて家に向かう
「ところで茉耶姉はどうするんだ?」
俺が聞く
「私はアジトに行くかな? 多分1人じゃあ危ないから」
茉耶姉が答える
「それなら明日に朱音に来てもらうようにするか」
俺は携帯を使って朱音にメールを送るとすぐにメールが返ってきた。二つ返事で引き受けてくれた
「大丈夫みたいだ。明日の朝に家に来てくれるそうだ」
俺は茉耶姉に伝える
「それは有り難いわ」
茉耶姉はそう答える
その後家に帰って俺は部屋に一人で戻り服をすぐに洗濯に出して風呂に入ってベットに入る
……目を瞑りましたので気にしないでください
……お前目を瞑るとか出来るんだな。それより少し暗くなってたから血を隠せて助かった
……たしかに返り血を浴びてましたからね。しっかりと傷を治してくださいね。かすり傷でも絆創膏を貼ってくださいね
……分かったよ。そういえば学校に行ってないな。どうするかな? せめてあいつらだけでも学校に行かせたいが俺は行けない
……もう殺してしまいましたからね。ですが仕方がなかったんですよ。正当化する気は無いですが……
……分かってる。そうしなければ死んでいたかもしれない。後悔はしていない。どちらにしてもテロリストになるんだから関係ないがな。さて、罪人となるか英雄となるかどっちだろうな
……さぁ、どうでしょうね。私決めました
……決めた? 何をだ?
……貴方が死ぬまで取り憑きます。私も死んでしまうかも知れませんがこれからもよろしくお願いしますよ
……そうかよ。それなら取り憑き料として力を借りるぞ
俺はニーナとの会話を終わらせて眠りにつく
翌日の朝
「おっはよー」
朱音があいさつをする
「来たか。茉耶姉を頼んだぞ」
俺はそう言って準備を進める
「任せなさいな」
朱音はそう言って茉耶姉を連れて行く
「準備完了、いつでも行けるよ」
美鶴が扉を開けて現れる
「それならすぐに向かうぞ。東京だから2時間程度か」
俺は駅に行き東京に向かう。2時間後東京に着いてタクシーで移動して警察署で降りて中に入る。中に入った後周りを見渡すと丁度いたので近づく
「お久し振りです。沖田さん」
俺は近づいて挨拶をする
「おっ、久し振りだな連」
男は気づいて挨拶を返してくる。
「彼は?」
美鶴が聞く
「この人は沖田龍二さん、一応警察だ。やってる事は普通のとは違うけどな」
俺が説明する。
「何の用だ? お前が来るなんてそれほど重要な話なのか?」
沖田さんが聞いてくる
「重要な話です。ここじゃない場所で他のメンバーも集めて話し合いましょう。これは俺だけの問題じゃないので」
俺は真剣に答える。すると俺たちをある場所に案内する
「ここは?」
美鶴が聞く
「俺たちの仕事場だ。全員いるし人は来ない」
沖田さんはそう言って椅子に腰掛ける
「お前達も座れ」
沖田さんが俺たちを座るように促す
「連? 久しぶりだね」
「久し振りやな? ここで話すってことは重要ってことだよな?」
2人の男女が現れる。女性は穏やかに話していた。男性は最初は笑っていたが途中から真剣そうに話す
「全ては話さないですがこの国を変えます。方法はあなた方と敵対していた人々の一部に力を借りています。頼みたい事はその作戦中は手を出さない事で良いですか?」
俺は?3人に伝える
「無理だな。作戦の事などは話す気は無いようだがここで捕まってもらう」
沖田さんは立ち上がり俺を捕まえようとするが俺は手錠を地面に落とす
「この子がどうなっても良いの?」
女性が剣を持って美鶴を人質にする
「佐原‼︎ 貴様美鶴から離れろ‼︎」
俺は女性を睨みつけると女性は驚き後ろに飛び退く
「この殺気一体何があったの?」
警戒しながら佐原が聞く
「人を殺した。まぁ、殺されそうになったから仕方無くやった」
俺は説明する
(仕方がないとはいえ自分の行動を正当化しないがな)
「人を殺したのか? 罪悪感は無いのか?」
沖田さんは聞いてくる
「無かったよ。俺は人間じゃないのかもな」
俺は少し笑う。
「そうか、お前を捕まえる時が来るなんてな。思いもよらなかった」
沖田さんはそう言って俺を殴り抱えて奥の牢獄に入れる
「そこにいろ」
そう言って外に行ってしまう
「君もだよ」
佐原が美鶴も牢獄に入れる
「何でこうなっちゃったのかな? 彼らと関わっていたから?」
佐原が聞いてくる
「どうしてだろうな。しかし、あいつらがひとえに悪とは言えないだろ?」
俺が答えて聞く
「そうだね。仕方なくなった者達もいるけど殺してしまっては意味が無いんだよ。いっきにとっ捕まえるよ。この国を変える? そんな事はさせない」
佐原は答える

「? ……なっ‼︎ させるかよ。そんな事」
俺は牢から出ようとする
「無駄だよ。出たとしても勝てるの? 私達に」
佐原が聞く
……この人達強いんですか?
……国側の最強だ。俺では勝ち目がないお前の力を使ってもな。勝つにはこいつを使ってみないと行けないかもな
……鎧ですか? それよりこの人達なんか変ですよ
……こいつらはそうやって育った人間だ。想定外の出来事に弱いがな
……想定外の出来事? それは一体なんですか?
……後のお楽しみ
「勝てないな。そういえばお前らだって殺しているよな?」
俺が聞く
「正義の為に殺しているから仕方がない。正義の為の致し方のない犠牲」
佐原はそう答える
「まじでそう思っているのか?」
俺は少しキレ気味に聞く
「当然そうやって教わってきた。私達はそうやって育った」
佐原は答える
……こう言う奴らだ。言っても無駄なのさ
……この人達には罪はないですよね?
……無いな。しかし、俺は少し怒ったがな。こいつらをこう育てた親どもにだけども
「ところで聞きたい事があるがお前らって常識は知っているか?」
俺が聞く
「常識? 何それ」
佐原は答える
「常識知らない以前に常識って言葉すらも知らんのかよ‼︎」
思わず大声を出す
「彼女達まるで人形」
美鶴が佐原を見て俺に伝える
「間違っては無い。こいつらは国の操り人形だ。制圧殲滅確保に特化したな。その代わりにこいつらは自分で生活が出来ない。まぁ、戦闘や尋問とかしか教わっているからな」
俺は説明する
「? 分からないけど、そこで大人しくしてなさい。敵をとっ捕まえた後、色々とやってから君達は開放してあげるからね。献立? はそこに書かれているからね。情報提供ご苦労様です」
メモを手渡ししてくると佐原は男性と一緒に仕事に戻る
……これは……美味しそうですね
…………そうだな。捕まっている身だが楽しみだ
……どうします? 大きな動きがあるまで捕まっておきますか?
……そうだな。それよりも連絡しないとな。携帯を取られてないから
……携帯を知らないのでしょうか?
……どうだろう。一応俺あいつらの前で使ってるんだけどゲーム機になってたが
俺はメモをしまって携帯をバレないように取り出してメールを送る
……これでよし、さて、やる事がない
……ありませんね。どうしましょう?
……取り敢えず待機だな
……ところで男性の名前は?
……歪鵞櫂だ。実力は佐原と同じで1番面倒な相手だ
「さっきのメモ見せて」
美鶴が近づいてくる
「メモ? あぁ、お前見てなかったな」
俺はメモを取り出して見せる
「……成る程、それより暇何か無い?」
美鶴がメモを返して聞いてくる
「何もないな。やる事がない。美鶴頼みがある」
俺は美鶴の耳元で作戦を囁く
「成る程、分かった」
美鶴は頷く
「何でここベット一つなの?」
美鶴が聞いてきた
「元々1人の犯罪者を入れるようだからだろう。ちなみにここに入った奴は1人もいないみたいだぜ」
俺が笑いながら答える
「私達が最初?」
美鶴が聞いてくる
「そうなるな。暇だし手伝うかな」
俺は立ち上がる
「おい、佐原今何やってんだ?」
俺は佐原に聞く
「今? 問題を起こしている暴力団の情報を調べてる。何か知ってる?」
佐原が答えてから聞いてくる
「どの組だ? 最近結構問題起こしてる所あるじゃねぇか」
俺は聞く
「組の名前は山本組」
佐原が答える
「山本組? ……あぁ、あれか。人身売買とかやってる奴らか。後最近じゃあ武器を買っているとか言ってたな」
俺は少し思い出した
「人身売買? 山本組は他の組に喧嘩を売っていたりしているため危険と見て捕らえようとしているのだけれども」
佐原が首をかしげる
「だから武器を買ってたのか。成る程、佐原さぁ人身売買に関してだが方法があるんだけど俺の作戦乗るか? 山本組に関しては俺の事を多分知らない」
俺は提案する
「どういう事? 君は裏の業界でも知り合いがいるのに知られてない?」
佐原は聞いてくる
「俺は闇市場には用があって向かうが別の方法でやり取りをしているからな」
俺は含み笑いをして答える
「わかった。力を借りるよ連」
佐原はそう言って牢を開けてから手錠を俺に掛けて歩く
「やっぱり、手錠をつけるんだな」
俺が聞く
「当然君は犯罪者だから外に出す事自体危険だから」
佐原が答える
……大丈夫なんですか?
……まぁ、大丈夫だろう。歪鵞が動かないなら多小の自由はあるだろう
……そうですね。しかし、1人でいいんですか?
……危なそうなら俺が銃で応戦するさ。なんか言おうとしても助けたのだから黙るしかないしな
「それじゃあ早く行くぞ」
俺は歩き出す。混乱を招かない為に手錠は一時的に取って車に乗って手錠を掛けてから向かった
「お前1人で制圧出来るのか?」
俺が聞く
「出来るそこまで強い相手はいないと聞いているので」
佐原は答える
「確かに居ないが数が結構多いぜ。気をつけて戦えよ」
俺が注意する
「分かったわ。何故力を貸すの? 敵になる気だったのでしょ?」
佐原が聞いてくる
「俺はお前らの敵になるのでは無くて国の敵になるだ。それに国を変えた後にある程度は潰す気だったし」
俺は答える
「そう、わたしにはよく分からないわ。何のために戦うの?」
佐原は聞いてくる
「己の正義のためって感じだな。お前らが国の決めた正義で戦うのと似た感じではある。正義なんてものは人が決めたものだからそこまで縛る力はない。それにこの国結構色々とやってんじゃん。闇商人と手を組んでいるとかさぁ」
俺は答える
「分からない。ただ国の為に戦えばいいと言われていたから……」
佐原は首をかしげる
「それなら力を貸せ。これは取引だ。佐原お前は自分達の状況に違和感を感じているだろ? それでお前が知りたいことは何だ?」
俺が佐原に聞く
「知りたい事? それは……」
佐原が考え始める
「今答えを出す必要はない。作戦実行時までに決めてくれれば問題無い。作戦実行時に大きな動きがあるはずだ。その時までに聞かせろ」
俺は考えている佐原を見て少し笑う
……しっかりと考えているんですね彼女
……違和感を感じていたんだろう。ずっと戦っていて人と接していたからな
……他の2人はどうなんですか?
……歪鵞に関しては多分無いだろうが沖田さんに関しては分かっているだろう。
……対峙した場合方法は考えてあるんですか?
……沖田さんに関してはあるが歪鵞と敵対するから援護には向かえないだろう。あの人達に任せておけば心配はないけどな
その後山本組の拠点の前で降りてインターホンを鳴らす
「誰だ? おい何用だ」
男が出てくる
「あなた方を捕まえますので大人しくしてください」
佐原は男にそう言って手錠をかける
「警察かよ。もう感づいたかわかった。捕まる」
男はすぐに投降した
取り敢えず佐原が中に入ろうとすると男が銃を取り出す
「馬鹿が死ね」
男がそう言って引き金を引こうとする
「馬鹿はお前だよ」
そう言って俺は銃の引き金を引いて肩と足を撃ち抜くと男は倒れ込む
「死んではないよな? 警察病院に連れてかないとな」
俺はそう言って銃を持ちながら佐原のとなりに行く
「何で銃を持っているの?」
佐原が聞いてくる
「気にするな。返し忘れたのだよ。1マガジンと7発かな。残りは」
俺が答える
「その武器の弾なら他にもあるから使う? 弾倉は何発?」
佐原が聞いてくる
「10発のやつだ。空マガジンが一つ」
俺が答える
「それならその三つ貸してこれ渡すから15発入っているマガジンを5個」
三つを回収して5個のマガジンを渡してくる
「これを貸す代わりに力を貸せということか? それなら手錠も外してくれないか?」
俺はサハラに頼み手錠を外してもらう
……逃げるなら今がチャンスですよ
……駄目だ。今逃げたら美鶴がどうなるか分からないし力を貸せば交渉に応じてくれるかもしれないからな
……成る程分かりました。力を貸します。わたしの力を存分にお使いください
……それなら存分に使わせてもらうぜ
「突撃するよ。準備して」
佐原はそう言ってP90を取り出して構える。P90は威力が低い為破壊力は低いが人に関しては当たれば何とかなる。それに貫通力が高いし連射速度が高く1マガジン50発ある
それに対して俺はハンドガン一丁のみ……逃げたらどっちにしても蜂の巣にされるし突撃しても俺無理じゃないかな? 死ぬよね?
「突撃」
佐原の合図とともに突撃して制圧に入る。部屋の扉をこじ開けて銃を構えた相手がいたら遠慮なく撃ち殺して次の部屋に行く。大抵は佐原がやってくれた為俺は背後に潜んでいる敵や隠れている敵を殺していた
……凄いですね
……あいつはあの3人の中で唯一の銃使いだからな。銃の扱いはかなり上手いぞ。
……脳筋ですか?
……脳筋だ。沖田さんに関しては剣一本で暴力団を制圧しているただの馬鹿なのですよ
……馬鹿ですねそれ
しばらくして最後の部屋にたどり着く。佐原が勢いよく開けて中に入ると少女が1人立っていた
「女の子? 何でこんな場所にそれも逃げないで」
佐原が驚いて止まっている
「馬鹿、止まるな」
俺は佐原を勢いあまり押し倒すと佐原の頭のあった場所に穴が開く
「油断した。ごめん」
佐原は謝ってすぐに立ち上がり武器を構えて慎重に構える
「あれ? 何で死んでないの?」
少女が首を傾げて聞いてくる
「無邪気な狂気か。厄介だな」
俺は少女に警戒しながら近づいて目の前まで行く
「よう、お前は誰だ?」
俺は少女に聞くと銃を向けてくるがすぐさま叩き落とす
「痛い、酷いよ」
少女は涙目になっている
……この子殺している事に罪の意識がない
……幼いからな彼女は罪を知らないのかもしれない
……殺しますか?
……いや、捕まってもらう
「大人しく捕まればこれ以上何もしない」
俺は少女に伝える
「無理わたしは捕まったら駄目殺し続けないと居る意味がない」
少女はナイフを取り出して攻撃してくる
「チッ‼︎ そういう事かよ」
俺は後ろに下がると佐原が銃を構えて引き金を引こうとする
「待て、こいつの相手は俺がやる。お前は流れ弾に気をつけていろ」
俺は佐原に伝えてからナイフを避けながら手を掴んで投げる
「舐めるなよ? 合気道とか色々と叩き込まれてるんでね。接近戦は得意だ。武器が無いからきついけどな」
俺は少女の動きを封じる
「嫌だ。捕まりたく無い。死にたく無い」
少女は泣き叫ぶ
……どうしたんだ?
……子供だから怖いのですかね?
……いや、違うなこいつ‼︎ 何なんだよクソが‼︎ そんな事があるのかよ。あっていい訳ねぇのに
……どうしたのですか? この子に何があったんですか?
「おい、少しこの辺りの肌を見せてもらっても良いか?」
俺は少女に聞く
「? か、構わないよ。痛いのはやめてね」
少女は恐れながら頷く。
「心配ない、痛くはしないし殺しはしない。約束する」
俺はそう言って首元を見る
「佐原来い。これを知っているよな?」
佐原に伝える
「何? ……‼︎ 嘘何でこれが」
佐原は見て驚く。少女の首元にはある文字が書かれていた。
「剣0032……なぁ、ナイフをお前は何処から出した?」
俺は少女に聞く
「ナイフ? ここからだよ?」
少女から離れたら少女が手を見せてくる。
「まじかよ。なぁ、お前はどんな場所で育った?」
俺が優しい声で聞く
「こっかとくしゅあんさつぶたい? とか言ってたと思うけど」
少女が答える
……こっかとくしゅあんさつぶたい? 何ですかそれは
……国家特殊暗殺部隊、特殊部隊の一つかな? よく分からないがこいつは実験体だ。他にもいるかもしれない
「お前の仲間達は?」
俺が聞くと
「みんな死んじゃった」
少女が答える
「死んだのか。佐原こいつを連れ帰ってあそこで保護するで良いか?」
俺が佐原に聞く
「分かった。行こう。沖田さん鵞帰ってきたら伝えよう」
……良かったかも知れない
……なぜです?
……沖田さんが交渉に応じてくれるかも知れないしこいつを無事に保護出来たからまぁ、検査して見ない事には何も言えないがな
……この子以外はみんな死んでしまったんですよね? たった1人だけの生き残りですか
……生き残っているとか考えづらいからそうなんだろうよ。許せねぇ
……たしかに許しがたいですね
俺たちはすぐに車に乗って警察署に戻って少女を隠しながら仕事場に移動する
「歪鵞少し調べて貰いたい」
俺は仕事場の扉を勢いよく開けて叫ぶ
「帰ってきたのか? 早かったな。そんで調べて貰いたい事ってのは?」
歪鵞がこっちにくる
「国家特殊暗殺部隊についてだ。山本組の拠点にて実験体の少女を保護した。今ここにいる」
そう言って少女を前に連れてくる
「こいつが実験体か。こいつが言ったのか?国家特殊暗殺部隊って」
歪鵞が聞いてくるので俺は頷く
「何を騒いでいるんだ? この少女は誰だ?」
その時丁度沖田さんが帰ってきた
しおりを挟む

処理中です...