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災いの誓い

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「やはりこれを……」
(なんでそこまで押すの? 思い入れでもあるの? 訓練用ならせめて他の見つけて)

バルフェリアは呪いのネックレスをオススメに出す

「思い入れとは少し違うがな」
(何かあるんだ……そういえばアルセスとかと知り合いっぽいけどダンジョン出来る前?)
「あぁそうだ。我らダンジョンの主と呼ばれる存在はあそこに生まれた訳では無い」
(唯一リポップしないのがダンジョンの主、まぁそこまで驚かないかな。どういう経緯?)
「詳しくは分からん。気づいたらあそこに居たのだ。そのような異能は聞いた事がない。ならば恐らく我らの神の仕業だろう」
(神?)
「唯一我らが従う存在、どのような存在なのかは分かっていない。だが我らを生み出したのは神である」

魔物は神が生み出した存在、そしてダンジョンもまたその神が生み出している
魔物はその存在を知っているが謎多く何をしたいのか何が目的なのかなどは全く分かっていない、ただ戦いの本能を抱えながらダンジョンを死守している

(成程……そっちも宗教みたいなのがあるのかな? それで呪いのネックレスはなんで?)
「呪いでは無いそのネックレスの名は災いの誓いと言う物だ」
(ほぼ呪いじゃん)
「そしてそれは他の魔物が持っていた物だ」
(持っていた? その魔物は?)
「戦いに敗れ死んでいる」
(……それは人間に?)
「いや違う、奴は弱い魔物でな。異能は持っていたが魔物の世は戦いが激しい、その闘争に巻き込まれて奴は死んだ」
(そ、そうなんだ……その魔物とはどういう関係だったの?)
「生まれた時が同じだった、だからと言って馴れ合っていたという訳では無いが……死の間際奴がそれを抱えていたのを覚えている。最もその直後から記憶が無く気付いたらあそこに居たんだがな」

表情は分からない、だが声に感情がこもっていた
悲しみ、その魔物はバルフェリアにとって掛け替えの無い存在だったのだろう
生まれた時から一緒だったとなればかなり長い関係だったのだろう
そうなれば大抵情も湧く

(そうなんだ……凄い野暮だけど)
「なんだ?」
(このネックレスその魔物が死んだ原因なんじゃない?)

能力を半分にする魔導具、それを持っていたとなれば敗北した時能力が半分になっていた可能性はあるだろう
効果を知らずに持ってしまって戦いに巻き込まれたのなら悲劇が重なった悲しい出来事だろう

「……可能性はある。能力を半分にされれば格下相手でも為す術なくやられる」
(そうか……)

言葉を止める
バルフェリアにかける言葉が思い付かない
魔物の世は弱肉強食、いつ誰がどのように死ぬかなんて分からない
昨日見た魔物が今日になった時には死んでいるなんて事もよくある話
バルフェリアの強さの基準は分からないが弱い魔物がバルフェリア、アルセスやあのドラゴンなどが居る世界でそこまで生き残っていたのは奇跡に近いと言える

「魔物の世には魔導具が存在していた、使えぬ者も居るが使える者は使っていた。だからこそ多くの者と戦った我は魔導具の効果が分かるのだ」
(成程、体験していたから知っているって事か。バルフェリアは何か魔導具使っていたの?)
「我は使っていない。全て我が自慢の牙と爪で切り裂いてやったわ」
(……その時はまだ覇王にはなってないんだよね?)
「無論、至ったのはあの時だ」
(その時から無双してたんだ……)

現状の澪と同じ異能で様々な異能持ちの魔物がひしめく戦いに身を投じて殆どの敵を返り討ちにしていた
そう考えればバルフェリアの強さは分かる
(アルセスと言い4級ダンジョンに居ていい魔物じゃなくね?)

「殆どの魔物は初見で仕留められたからな。アルセスには躱されたがな。……その首輪型の魔導具はどうだ?」

チョーカーのような魔導具

(首輪……効果は?)
「風纏、名の通り風を纏う能力、出力自体は低いが発動時間が長く風が移動や攻撃の速度の補助をしてくれる。風そのものは攻撃には使えんがな」
(戦闘サポートの能力……これは良いな。これなら確かに鈴音って子にも使えるし普通に私も使える)
「貴様はサポートよりその腕輪をつけておけ」
(1人だけデバフ……まぁ戦闘時外せばいいか)
「ずっと付けるからこそ意味があるのだぞ?」
(戦闘時に重力増えるのは厳しくない? まぁ1.1倍とかなら)
「だがその状態で動けるようになればかなり成長出来るぞ。無論10倍だが」
(それはもう動けないと思うんだけど)
「仕方ない3倍程度で妥協してやる」
(うーん……まぁ10倍よりはかなり楽)

訓練用の魔導具重力の輪、恋歌に渡す様の魔導具受け身の守護、鈴音に渡す様の風纏と災いの誓いを購入する
災いの誓いを使う気は一切無いがバルフェリアの知り合いの持っていた言わば遺品
他の人の手に渡るより持っていた方が良いかと思い購入する
全部能力不明の魔導具の為安く買える

(あっ、そう言えばダンジョンに呼ばれた?魔物の異能だけなのかな?)
「何がだ?」
(人に宿る異能)
「さぁな、そうかもしれないがそうでは無いかもしれん」
(そうか)

澪は1つ思う
もし魔物の世で戦いに敗れた魔物と同じ異能が人の中にも宿るのなら

「形は違うけど再会出来るかも知れないな」

小声で呟く

「なんだ?」
「何でもない」
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