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知性ある魔物
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魔物が喋った
「喋った……?」
『喋ったァァァ!』
『まじか!』
『凄い渋い声だなぁ』
『魔物って喋るのか』
『普通は喋らんぞ普通は……ガチでなんなんだこの魔物』
魔物が喋った事に皆驚く
魔物が喋る事などこれまでは無かった
澪だけは言葉に注目していた
(覇王? なんの事だ?)
聞き覚えが無かった、魔物の事だろうが思い付かない
今までに倒したダンジョンの主は1体だけ
該当するとすればその魔物だが
「覇王とは誰の事だ?」
「バルフェリア」
「そのバルフェリアとやらに覚えが無いのだが」
「君と同じ力を持つ魔物」
その言葉でこの魔物の言っている覇王の事がはっきりと分かった
同じ力を持つ魔物と遭遇したのは一体
4級ダンジョンのダンジョンの主、ライオン型の魔物がバルフェリアと言う名なのだろう
「あの魔物が覇王なのか?」
ダンジョンの主ではあったが4級、上のダンジョンの主より弱い
それも澪1人で倒せた強さ
「覇王に至ったと言うべきか。見ただろう?」
「……あぁ見た」
「君もまたその資格がある。ここで死ぬのは惜しい」
「勝てるってか?」
「確実に」
魔物は殺気を向ける
今までに感じたことの無いレベルの悪寒がする
死を理解する
魔物は殺気を隠して階段を指差す
「話は終わりだ、早く帰るといい。あぁ、つまらない物だがこれを上げよう。使い魔を倒した褒美だ」
シズクの目の前に先程まで戦っていた魔物の杖を投げる
「杖?」
「炎を司る杖、君達の力となる筈だ」
シズクは杖を受け取る
澪は剣をシズクに返して恋歌を抱えて階段に向かう
魔物は追いかけてこない
階段を降りて下の階層へ移動する
「配信は終わりにしよう」
「……そうですね。という訳で皆さん今日の配信はここまでです、いやぁとんでもない出来事に遭遇しました! それではまたの配信で」
配信を終える
配信が終わると同時にシズクは座り込む
足が震え腰が抜けていた
魔物の殺気に当てられていたのだ
今まで動けていたのは配信者としてのプライドだろうか
「なんなんですかあの魔物……」
「さぁな、言語を介する魔物は知らないな」
「私も知りませんよ……」
階段を降り切って恋歌を寝かせて治癒効果のある結界を張って休憩する
魔物は湧いていない
「あれ……コメントが」
休憩中に先程の配信を確認しているシズクが異変に気づく
「どうした?」
「魔物の最初の言葉以降配信にノイズが走ってて……階段降り始めた頃には治ってますが」
配信を見ると確かに最初の言葉以降ノイズが走り映像も声も聞こえない
「一時的な機材の不良じゃないか? 密封された部屋で炎やら氷やらで室内温度だいぶ変わってただろうし」
「ですかね? それまでは正常だったんですが」
「壊れたのか?」
「いえ、一時的のようで問題無く動きます」
(あの魔物がやったと見てもおかしくは無いな)
突然の機材トラブル、あの魔物が何かをした可能性は充分あるだろう
「そういえばなんの会話をしていたんですか?」
「聞こえてなかったのか?」
「よく聞き取れなくて」
「どうやら覇王とやらは私が倒した4級ダンジョンの主の事らしくてな。その件で少し話をしただけだ」
「そうなんですね……覇王ってなんでしょうね?」
「さぁな、そこはよく分からん」
澪は誤魔化す
澪自体はその言葉の意味に気付いている
(ただまだ分からないことが多過ぎる。資格と言われてもこの異能の事なのか? それとも倒した事なのか)
魔物の言葉だけでは正確な事は分からない
「う……うーん……?」
「恋ちゃん!」
「恋!」
「あれ? 私は一体何を」
「お前は魔物の攻撃で凍らされてたんだよ。無事で良かった」
「魔物……はっ! あの魔物は?」
「倒しました。まぁ、少しその後色々ありましたが」
恋歌に氷漬けにされた後の話をする
ポカーンとしている
まぁ相当とんでもない話をしている
ダンジョンの主と戦い勝ったと思ったら実は使い魔で本当のダンジョンの主は別にいた、そしてそのダンジョンの主は知性があり恋歌を解放後に少し会話をしたら使い魔を倒した褒美だと言って杖をくれた
そして戦わずに見逃してくれたのだ
まぁ実際に体験してみないとよく分からない話
「ま、魔物って言語を理解して喋るんですね……」
「流石にあれは初めて見ました」
「私もだ、ただ他にも居そうだな」
「ですね、これからの攻略はこれまで以上に注意が必要ですね。もしあのレベルの魔物で好戦的な魔物と遭遇したら全滅有り得ますし」
「そんなに強そうだったんですか?」
「あぁ、3人で挑んでも全滅していただろう」
(私が行けるのは3級の中ボス程度、それ以上は死ぬな……探索者続けるならこのイレギュラーにも対応できるくらいに強くならないとなぁ)
探索者を辞めることは出来る
何より重要なのは命だ、ただこの社会では金が無くては生きていけない
探索者ほど澪に向いている物は数少ない
時間がかかるが弱いダンジョンで安全に稼ぐ方法もある
「恋歌は探索者を続けるのか?」
「えっ?」
「お前は死にかけたんだ。これを機に離れる事を考えてもおかしくないなと思ってな」
「い、いえ……わ、私は探索者を続けます! 私が私で居られる居場所ですから……」
「そうか」
「零さんは辞める予定ですか? あんな怪物と会ったんですから無理もありませんが」
「お2人が探索者を辞める事を考えるくらいその魔物は本当にとんでもない魔物だったんですね」
「私は別に辞めませんよ? 元々探索者なんて命懸け、知性ある魔物なんて驚きましたが想定外は良くある事、慣れてますから」
シズクはそう言う
探索者は元々未知への探求、色々と解明はされてきたとはいえまだ謎が多い
想定外の出来事なんて何年も続ければ幾らでも出てくる
「この先、もっと強くならなければ死ぬ……私は強くなれるのだろうかと思ってな」
「零さん今でも充分強いですよ?」
「今の力じゃあいつには勝てない……」
「確かに仲間を増やして個々がかなり強くなっても……あの魔物に届くとは思えませんね」
「が、頑張ります!」
(覇王……それが目指すべき高みだろうがどうやってあの領域に至る……)
澪は悩む
「取り敢えずダンジョン出て解散しましょう。零さんはもし探索者を続けるなら連絡ください。あっ、恋ちゃんも連絡先交換しましょう。あとグループも」
「そうだな」
3人は連絡先を交換してダンジョンを出る
タクシーに乗り取引所で澪は降りて2人と別れる
「お疲れ様でしたー」
「お疲れ様」
「お疲れ様でした!」
2人を乗せたタクシーは走り去っていく
澪は1人帰路を辿る
「喋った……?」
『喋ったァァァ!』
『まじか!』
『凄い渋い声だなぁ』
『魔物って喋るのか』
『普通は喋らんぞ普通は……ガチでなんなんだこの魔物』
魔物が喋った事に皆驚く
魔物が喋る事などこれまでは無かった
澪だけは言葉に注目していた
(覇王? なんの事だ?)
聞き覚えが無かった、魔物の事だろうが思い付かない
今までに倒したダンジョンの主は1体だけ
該当するとすればその魔物だが
「覇王とは誰の事だ?」
「バルフェリア」
「そのバルフェリアとやらに覚えが無いのだが」
「君と同じ力を持つ魔物」
その言葉でこの魔物の言っている覇王の事がはっきりと分かった
同じ力を持つ魔物と遭遇したのは一体
4級ダンジョンのダンジョンの主、ライオン型の魔物がバルフェリアと言う名なのだろう
「あの魔物が覇王なのか?」
ダンジョンの主ではあったが4級、上のダンジョンの主より弱い
それも澪1人で倒せた強さ
「覇王に至ったと言うべきか。見ただろう?」
「……あぁ見た」
「君もまたその資格がある。ここで死ぬのは惜しい」
「勝てるってか?」
「確実に」
魔物は殺気を向ける
今までに感じたことの無いレベルの悪寒がする
死を理解する
魔物は殺気を隠して階段を指差す
「話は終わりだ、早く帰るといい。あぁ、つまらない物だがこれを上げよう。使い魔を倒した褒美だ」
シズクの目の前に先程まで戦っていた魔物の杖を投げる
「杖?」
「炎を司る杖、君達の力となる筈だ」
シズクは杖を受け取る
澪は剣をシズクに返して恋歌を抱えて階段に向かう
魔物は追いかけてこない
階段を降りて下の階層へ移動する
「配信は終わりにしよう」
「……そうですね。という訳で皆さん今日の配信はここまでです、いやぁとんでもない出来事に遭遇しました! それではまたの配信で」
配信を終える
配信が終わると同時にシズクは座り込む
足が震え腰が抜けていた
魔物の殺気に当てられていたのだ
今まで動けていたのは配信者としてのプライドだろうか
「なんなんですかあの魔物……」
「さぁな、言語を介する魔物は知らないな」
「私も知りませんよ……」
階段を降り切って恋歌を寝かせて治癒効果のある結界を張って休憩する
魔物は湧いていない
「あれ……コメントが」
休憩中に先程の配信を確認しているシズクが異変に気づく
「どうした?」
「魔物の最初の言葉以降配信にノイズが走ってて……階段降り始めた頃には治ってますが」
配信を見ると確かに最初の言葉以降ノイズが走り映像も声も聞こえない
「一時的な機材の不良じゃないか? 密封された部屋で炎やら氷やらで室内温度だいぶ変わってただろうし」
「ですかね? それまでは正常だったんですが」
「壊れたのか?」
「いえ、一時的のようで問題無く動きます」
(あの魔物がやったと見てもおかしくは無いな)
突然の機材トラブル、あの魔物が何かをした可能性は充分あるだろう
「そういえばなんの会話をしていたんですか?」
「聞こえてなかったのか?」
「よく聞き取れなくて」
「どうやら覇王とやらは私が倒した4級ダンジョンの主の事らしくてな。その件で少し話をしただけだ」
「そうなんですね……覇王ってなんでしょうね?」
「さぁな、そこはよく分からん」
澪は誤魔化す
澪自体はその言葉の意味に気付いている
(ただまだ分からないことが多過ぎる。資格と言われてもこの異能の事なのか? それとも倒した事なのか)
魔物の言葉だけでは正確な事は分からない
「う……うーん……?」
「恋ちゃん!」
「恋!」
「あれ? 私は一体何を」
「お前は魔物の攻撃で凍らされてたんだよ。無事で良かった」
「魔物……はっ! あの魔物は?」
「倒しました。まぁ、少しその後色々ありましたが」
恋歌に氷漬けにされた後の話をする
ポカーンとしている
まぁ相当とんでもない話をしている
ダンジョンの主と戦い勝ったと思ったら実は使い魔で本当のダンジョンの主は別にいた、そしてそのダンジョンの主は知性があり恋歌を解放後に少し会話をしたら使い魔を倒した褒美だと言って杖をくれた
そして戦わずに見逃してくれたのだ
まぁ実際に体験してみないとよく分からない話
「ま、魔物って言語を理解して喋るんですね……」
「流石にあれは初めて見ました」
「私もだ、ただ他にも居そうだな」
「ですね、これからの攻略はこれまで以上に注意が必要ですね。もしあのレベルの魔物で好戦的な魔物と遭遇したら全滅有り得ますし」
「そんなに強そうだったんですか?」
「あぁ、3人で挑んでも全滅していただろう」
(私が行けるのは3級の中ボス程度、それ以上は死ぬな……探索者続けるならこのイレギュラーにも対応できるくらいに強くならないとなぁ)
探索者を辞めることは出来る
何より重要なのは命だ、ただこの社会では金が無くては生きていけない
探索者ほど澪に向いている物は数少ない
時間がかかるが弱いダンジョンで安全に稼ぐ方法もある
「恋歌は探索者を続けるのか?」
「えっ?」
「お前は死にかけたんだ。これを機に離れる事を考えてもおかしくないなと思ってな」
「い、いえ……わ、私は探索者を続けます! 私が私で居られる居場所ですから……」
「そうか」
「零さんは辞める予定ですか? あんな怪物と会ったんですから無理もありませんが」
「お2人が探索者を辞める事を考えるくらいその魔物は本当にとんでもない魔物だったんですね」
「私は別に辞めませんよ? 元々探索者なんて命懸け、知性ある魔物なんて驚きましたが想定外は良くある事、慣れてますから」
シズクはそう言う
探索者は元々未知への探求、色々と解明はされてきたとはいえまだ謎が多い
想定外の出来事なんて何年も続ければ幾らでも出てくる
「この先、もっと強くならなければ死ぬ……私は強くなれるのだろうかと思ってな」
「零さん今でも充分強いですよ?」
「今の力じゃあいつには勝てない……」
「確かに仲間を増やして個々がかなり強くなっても……あの魔物に届くとは思えませんね」
「が、頑張ります!」
(覇王……それが目指すべき高みだろうがどうやってあの領域に至る……)
澪は悩む
「取り敢えずダンジョン出て解散しましょう。零さんはもし探索者を続けるなら連絡ください。あっ、恋ちゃんも連絡先交換しましょう。あとグループも」
「そうだな」
3人は連絡先を交換してダンジョンを出る
タクシーに乗り取引所で澪は降りて2人と別れる
「お疲れ様でしたー」
「お疲れ様」
「お疲れ様でした!」
2人を乗せたタクシーは走り去っていく
澪は1人帰路を辿る
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