TS少女は必死に生きる

代永 並木

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☆会計時

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「……防具もならこっちも1個追加だ」
「物による」
「パンツを寄越せ」
「見せろじゃなくて?」
「そうだ」

 ……攻めるなぁ。……その交換条件今の僕には大ダメージなんだけど……

 代わりの物を持っていない
 値引きはあくまで安く買うだから手持ちは全て使う
 新しい下着を買う金は無い
 今渡すと僕はノーパンの状態になる

「盾を追加してやる」
「盾も……それは普通に大丈夫なの?」

 この取引、少年の得にはなっても店の得にはならない
 寧ろ店としては損が大きい
 それはそれで勝手に決めていいのかと思う

「親父はだいぶボケてるし既にこの店殆ど俺が担当してるんだよ」

 会話の時はボケてるようには見えなかった
 ただここで少年が嘘をつく理由が無いから事実なのだろう

「そう」
「それでどうする?」

 防具と盾があればもし魔物の攻撃が来ても傷が浅く済む
 代わりに最後の防衛ラインを失うが
 履いていたパンツを渡すか悩む
 パンツと防具、盾……どちらの方が価値が高いのか

 ……何か大事な物を失う気すらするけど

 パンツを見せるならともかく渡すのは胸を見せるのに近い恥ずかしさを感じる
 渡すの自体抵抗感がある、今はそれにプラスしてこれから下着買うまではノーパン生活を強いられるというオマケ付き

「……スカートの丈が長い防具なら」

 スカートの丈が長ければ基本的に見られる事は無い
 見られなければ周囲からは実質履いているのと同じ
 見られたら色々と終わりそうだけど
 今は羞恥か防御かの究極の選択

「ガッチリした奴なら大抵そうだぞ」
「……なら……なら……分かった。渡す」
「武器と防具と盾を選ぶと良い」
「この事は誰にも言わないでね?」
「言い触らす趣味はねぇよ」
「……なら良かった」

 他人に言い触らされたら精神的に死ねる
 気を取り直して3つを選ぶ
 値段を気にせず遠慮無く選ばせて貰う

 ……高い物と言いたい所だけど身に付ける、持ち運ぶ物だから選ぶなら重さ、使いやすさ、耐久力だよね

 高いからこれと言う選び方はしない
 高い方が優秀だろうが扱えなければ意味が無い
 例えばガチガチの全身鎧、防御力は優秀だが重いから僕じゃ着たらろくに動けない
 それじゃ意味が無い
 自分が扱える中で一番使い勝手が良い物がベスト

 ……武器は剣や槍、斧、武器の種類も多いけど形や大きさも様々、重いのは使えない。やっぱりシンプルに剣か槍かな

 一般的に広まっている剣や槍は扱い易いが特徴、扱い易いからこそ多く広まっている
 基本的な見た目の剣を手に取る

「武器はそれか?」
「この形に近い物で一番良い物は?」
「高い奴ならその棚の」
「違う。一番良い物」
「遠慮無いな」
「遠慮はしないよ」

 手に取った剣は一旦元の位置に戻す

「そうだな」

 少年は壁に飾られている1本の剣を取って僕に渡す
 見た目は普通の剣、特に特徴があるようには見えない
 なんならさっき手に取った剣と同じじゃないかと思う

「これ?」
「それが一番良い物だ。特殊な鉱石を使っている壊れない剣」
「壊れない剣?」
「まぁ壊れないはちょっと違うがその鉱石は再生機能が付いていて壊れても治るって代物だ。切れ味も悪くない」

 ……何それ便利

「うちにも1本しか無いとっておき」
「そんな物を良いの?」
「構わない、ずっと昔から置いてあるが誰も買わない。昔に比べて値段もだいぶ下がってるし正直扱いに困ってるくらいなんだよ」

 ……そんな便利な物ならなんで誰も欲しがらないのかな

 再生は単純に強い
 壊れて買い換える必要が無い
 貧乏人には有難い武器

「再生機能は便利だが即時に再生する訳じゃないし硬い武器は多いから他の機能のある武器の方がみんな欲しがるんだよ」
「なるほど、武器はこれにする」

 今の僕は特殊な機能があっても扱えない
 なら出来るだけシンプルな方が良い

「防具と盾にも再生機能付いてるのあるぞ」
「本当?」
「そこそこ防御力もある」
「それにする」

 少年が取ってきた防具と盾も受け取る
 防具は重いが動けなくなる程では無い
 盾は大きいが軽量、寧ろ軽すぎて防御力は少し心配になるが今は再生と軽量と言う点のメリットが大きい

 ……再生装備セット

「この3つでいいんだな」
「良いよ」
「じゃあ会計だ」

 カウンターに行く
 問題の会計の時が来た
 周囲を確認する、他に客が居る
 しかし、近くには居ない
 今がチャンス
 深呼吸してから紐を外す

「どうぞ」

 その後、服をずらして胸を少年の前で晒す
 服をズラした時に胸が揺れる
 大きな乳房と乳首が少年の目の前に晒される
 他の客にバレない事を祈りながら待つ

「見てもいいけど会計中だけだよ」
「あ、あぁ」

 ガッツリと見ていて手が止まっていた少年に言う
 時間を掛けたくない
 会計しながらもチラチラと胸を見ている

「90ゴールドだ」

 90ゴールド、お金を出す
 会計を終える
 時間にして3分程度で終わる
 その間他の客がこちらに来る事が無かったのでバレずに済んだ

 ……良かった

 他の人に見られたら何があったか分からない
 だいぶリスクがあったと今更理解する
 素早く服を戻す
 周囲を見て気付いた者が居ない事を確認する

「着替え出来る所ある?」
「それならこっちの部屋が使えるぞ」
「防具に着替えてくる」
「そうか」
「見ちゃダメだよ」
「分かってる」

 少年が指差した部屋に入る
 ちゃんと扉を閉めてから服を脱いで下着姿になる
 下着姿と言ってもブラやシャツは付けていない
 胸は丸見えのパンツ一丁だ
 記憶通りなら今まで着ていた服の胸元をブラ代わりにしていたらしい

 ……ブラも買わないと……うーんでも

 服を代わりにしていたのでブラは今世でも付けていない
 前世は無論使った事は無いから使い方が分からない

「あっ、脱がないと」

 防具に着替える前にパンツを脱ぐ
 これを少年に渡す約束
 全裸になる、この部屋の中に誰も居ないから良いがすぐに防具を着始める
 胸元は金属製の物で作られている、この防具には金属製の物と体の間に何も無いようで乳首がその部位に触れる

「冷たっ!」

 胸の触れている部分がひんやりと冷たい
 我慢する、冷たいのは今だけだと

「うぅ、冷たい……よし後は」

 パンツを持つ
 股に凄い違和感を感じる
 服を着た状態でパンツを履かない事なんて今まで無かった
 パンツをチラッと確認する
 ずっと履いていたから目に見えて汚れている、黄色い染みもある

 ……あっちの提案、僕は後悔しても知らない

 提案したのはあっち、だから汚いと言われても文句は受け付けない
 部屋を出て少年に近づく

「はい、これ代金」

 他の人に見えないようにカウンターの下で先程まで着けていたパンツを差し出す
 少年はしっかり手に取り受け取る

「生暖かい」
「……さっき脱いだばっかだから、そ、それじゃ」
「武器や防具に関する事あれば対応してやる」
「……次は金ある時に来る」

 すぐに店を出る

 ……うー、恥ずかしい

 見せるだけじゃなくて渡した
 あれがどう扱われるかは全てでは無いにしろ予想は出来る
 そのまま城門へ向かう
 外に行って採取の依頼をこなす為

 ……早くパンツ買わないと

 生活費と下着代を稼ぐ為にも依頼を急いで終わらせる
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