TS少女は必死に生きる

代永 並木

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臨時のバイト

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 相談所の方へ行く

「どうなさいましたか?」
「今日働ける仕事ってありますか?」
「臨時のバイトですね。少々お待ちください」

 受付嬢は紙を取り出す
 リストだろうか

「今日となると冒険者用の依頼以外には酒場の手伝いですね」
「酒場の手伝いですか」

 それなら経験がある
 今世の方で村の飲食店を手伝っていた事がある
 だから出来る

 ……酒場の手伝いなら行ける。料理の知識もある

「はい、時間は18時から24時まで」
「6時間労働、報酬は幾らか分かりますか?」
「時給計算で基本1時間20ゴールド」
「20」

 20ゴールドはかなり安いが悪くない
 20×6時間、相場は調べないと分からないが安い宿に泊まる分の金にはなるだろう
 安い果物なら買える
 緊急で金が必要なので贅沢は言えない
 それに王都に初めて来た田舎の村娘が報酬の高い仕事なんて出来ない

「受けます」
「ではこちらから連絡しておきます。場所はここです」

 王都の地図を出して酒場のある位置に指を差して教えてくれる

 ……大通りで見たあれか

 先程大通りで見た酒場
 ここなら覚えている

「10分くらい前に酒場へお願いします」
「分かりました」

 18時まで時間がある

 ……時間があるなら宿探そうかな

 泊まる宿、時間的にバイトが終わってからだと危ない
 24時、つまり真夜中だ
 何があるか分からない

「他に何か聞きたい事があれば」
「安い宿って知りませんか?」
「安い宿ですか」
「今お金が無くてバイト代で泊まれるような」
「そうですね。安全性を保証出来る所となると100ゴールドの所があります」

 ……100……6時間やって残り20ゴールド、食料分が心許ない

 まだバックに詰めた食料は残っている
 しかし、もう2日分と無い
 明日も仕事があるか分からない以上少しでも多く取っておきたい

「安全性を保証しないなら?」
「本当にお勧めはしませんが20~50ゴールドの宿があります」

 地図に指を差して何ヶ所か教えてくれる

 ……実物を確認するかな

 安全性が保証されないと言う事はまぁ大体予想は付く
 しかし、これから王都で暮らすのなら必要なリスクは許容する
 安定した収入を得るまでの辛抱
 ギルドを出る
 そして宿を見て回る
 外だけだが安宿なだけあってボロボロ、中も期待は出来ない

 ……これなら20ゴールドの所で良いかな。多分そんな変わらない

 バイトの時間まで適当に時間を潰す

「あっ、そろそろ行かないと」

 10分前に酒場に着く
 酒場の中に入る、多くの机や椅子が置いてあるが静かで客は居ない
 まだ開店時間では無いのだろう

「バイトの子?」

 カウンターで食器を磨いていた男性が僕を見て聞いてくる
 頷く

「は、はい、本日臨時でバイトをするエマです」
「エマ君か。アンナ君説明してやってくれ」
「はーい、分かりました」

 酒場の制服を身につけた女性が現れる
 20代後半くらいの女性

「こっちに来て」

 アンナに言われて奥の部屋に入る
 服が置いてある、ここが更衣室なのだろう
 このアンナという人以外にも女性が居る

「バイトの子?」
「そそ、今日臨時のバイト」
「人手足りないから助かる~」
「それじゃまずサイズ確認から」

 手馴れているのか素早くざっくりとサイズを確認している

 ……手馴れてるなぁ

「このサイズは確か……これかな。ちょっと大きいかも知れないけど」

 渡された制服に着替える
 サイズはちょっと大きいが動いてもズレることは無く問題無い

「良いね。似合ってる」
「ありがとうございます」
「それじゃ仕事の説明だけど」

 仕事内容の説明をされる
 注文を受けるのと料理を指定の席に運ぶ事
 両方ともやった事がある

 ……これなら出来そう

「酔っ払いには気を付けて」
「酔っ払いですか」
「ここはお酒も提供するから酔っ払いが多いんだよ。そしてそういう客は胸やお尻触ってくるから」

 ……そういう話前世でも聞いた事あるわ……うへぇ

「そ、そうなんですね。気を付けます」
「そろそろ開店時間、すぐ忙しくなるから覚悟しておいて」
「はい」

 開店時間になると客が来る
 1人、2人、3人組など客の人数はバラバラ、席に座って注文を始める
 1人の注文を聞く

「御注文は」
「アルヒュス炒めとルルフェスープ」
「アルヒュス炒めとルルフェスープですね。分かりました」

 身体が覚えている
 テキパキとこなしていく
 転ばないように気を付けながら料理を運ぶ
 3時間は問題無く仕事をこなす

「バイトちゃん良い働き」
「慣れてるね。バイト経験ありかな」
「ぽいねぇ」
「そこ話してないで動け!」
「はーい」

 休憩を挟みバイト後半戦に入る
 夜が深くなり酒を飲んだ酔っ払いが増えていく
 注文を聞いている時にお尻を触られる

「良い尻だな」

 下手な抵抗は相手の怒りを買う
 だからその場は我慢してすぐに離脱するようにと言われた

 ……我慢我慢、気持ち悪ぃ

 注文を聞いて離脱する
 その後もお尻を何度か触られる
 スカート越しに軽く触られるだけで済む
 そしてバイトの時間が終わる
 服を着替える

「お疲れ様」

 最初に会った男性、この店の店主がお金の入った袋をくれる

「ありがとうございます」
「良い働きだった。かなり助かったよ」

 報酬を受け取ったので酒場の外に出て真っ直ぐ泊まる予定の宿に向かう
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