魔力に嫌われた女剣士と魔法で呪われた少女〜魔法を使えない無能にして最強の剣士〜

代永 並木

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骸龍編

立場を弁えない者

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騎士に制止されるが無視をして基地の中を歩く
そして扉を開きまくり会議室に辿り着く
中には数人の男性騎士が立っていた
扉が開く音を聞いて全員の視線が集まる

「貴方は誰ですか?」
「私は今回の作戦に参加する冒険者」
「ここは騎士以外立ち入り禁止だ。即刻立ち去れ」
「冒険者か悪いけど手順踏んで来てくれないか?」
「スタンピードの作戦について聞きたい事がある」
「痛い目に会いたくなければ立ち去れこれは警告だ」
「冒険者は野蛮で礼儀も無い。平民らしいな」
「冒険者を囮にするような作戦は実行しないよね?」

周りの声を無視して聞く

「もしすると言ったら?」

部屋中を威圧感が包む
たった1人の男性が発している
30代前半程度に見える騎士
周りの騎士が身体を震わせる、ここに居る騎士は皆実力のある騎士、その実力者達すら恐れるのが騎士団長

……あれが騎士団長か。たしかに強そう

クロナは動じない、慣れている

「止める」
「どうやって」
「冒険者は野蛮なんだよ」
「おいおい、やる気か?」

剣に手をかける
騎士達もそれぞれ杖を構えたり剣に手をかける

「勝てるとでも?」
「勝てないとでも?」
「立場を弁えろ。暴風よ荒々しく我が敵を貫けウィンドランス」
「お、おい! 馬鹿」

1人が魔法を使う
先端が尖った風の塊が現れる
風はドリルのように回転して襲いかかる
息を整える、そして素早く剣を抜く
風の塊を一瞬のうちに切り伏せる

「なっ!」
「ウィンドランスを容易く斬りますか」
「まじか」
「止まれ。攻撃命令出てないだろ!?」

1人の騎士が慌てて止めようとするが聞く耳を持たない

「危険分子は排除するべきだ」
「馬鹿どもが基地を壊すなよ」
「水よ衝撃波となれ! ウォーターインパクト」

別の騎士も攻撃を仕掛けてくる
水の塊が襲いかかる

……これはまずい

本能で理解する
これは切ってはいけないと

……なら弾く? いや多分触れたらダメだ。ならどうすれば

僅かな時間で思考する

「炎よ敵を焼き貫けファイアランス」
「殺人は不味い、後基地を壊す気か」
「問題ねぇよ」
「問題あるんだよ。あんた逃げろ」

別の騎士も魔法を発動させる
先程のウィンドランスの炎版、燃え盛る炎の塊が現れる
逃げの手を取ろうとすると動かない
砂に拘束されている

「すみませんね」
「お前も参加するのか」

……仕方ない

息を吐き思考を止める
拘束しているのは腕と足
剣を回し指の力で剣を動かして片腕を拘束している砂を斬る

……あれを片手では捌くのは無理です

クロナは自分の本能を信じている
しかし、本能を信じて突破出来ないのなら己の剣を信じる
磨き続けた技術を、誰にも負けないと自負するその剣技に命を乗せる

切ってはいけないのは何故か触れたら発動する罠だから
その為、触れてもならない
触れた事を認識されたらいけない
魔法に切られた事を認識されてはならない
なら認識されなければいい

「無刃」

言葉にする
自らが作り上げた数少ない剣術の1つ
ただ単純な一振り、複雑な動きも技術も不要
ただ素早く何者にも見えない程、振るわれた事を知られない程の速度で振るうだけ
音を置き去りにする

作り上げた剣術だが欠点があった
それは並の剣では振るい切る前に壊れてしまう事
耐えれる剣を手に入れても全力で戦う時も使わなかった
クロナの剣術はクロナの普段の全力の上にある
それ以外では突破出来ない危機に対してのみ使用していた

水の塊は両断された
しかし、水の塊は触れられた事にすら気付かずクロナを通り過ぎて壁に当たり爆発する
部屋の壁と廊下の壁が吹き飛び外から丸見えになる
炎の塊は普通に容易く両断する

「なっ……」

騎士達は言葉を失う
間違いなくやれたと確信していた
なのに魔法も魔力も使わずに突破した

「切ったんですよね?」
「だろうよ。だが……」
「一切見えなかった。いや何故魔法が発動しなかった!?」
「何者だこいつ……」
「考えられるのは馬鹿げていますが」
「魔法が認識するよりも早く斬り終えたからかな? まさかこの技を使う事になるとは思わなかった。小賢しいねぇ貴族様ぁ」

素早く机に乗り攻撃を仕掛けてきた3人の騎士を斬る
風の魔法を使ってきた騎士は杖を振るい魔法を使うが魔法ごと斬られ膝をつく
炎の魔法を使った騎士は炎の盾を展開するが容易く盾を斬られ二撃目で斬られ倒れる
水の魔法を使った騎士は剣を抜くが剣を破壊され腹に剣を突き刺される
土の魔法を使った騎士は両手を上げ降参のポーズを取る
しかし、クロナは切らず剣を仕舞い机を降りる

「やるならやろうか」
「勝てるとしてもこちらの被害が尋常ではない。割に合わない。成程、言うだけはあるな」

副団長はこの場に6人居たがその半数が既に負傷している

「指名手配されるかな」
「正式な手順を踏まずに踏み込んだ事は問題だがお前はあくまで攻撃をしてきた者に対して反撃をしただけだ。寧ろ敵意の無い人間に対して攻撃を仕掛けたこちらが責任を問われる」
「敵意が無いですか。失礼ですが騎士団長、彼女は剣に手を掛けました。あれは武力行使の意思表示で間違いないかと」

副団長らしき土の魔法を使った騎士が騎士団長に反論する

「ただの意思表示に過ぎない。抜いていない上攻撃を仕掛けた訳でもない。4人は後で処罰する」
「なら不問でOKって事ね。それでそちらの考えている作戦は?」
「囮にする作戦などする気は無い。その作戦では多くの被害が出るだけでなく冒険者及びギルドから反感を買う。馬鹿であれば提案するがそのような馬鹿を副団長にはしていない」
「副団長って1人じゃないの?」
「騎士団長を除くここに居るメンバーは全員副団長です。正確には副団長兼部隊長です」
「ほほう、成程」
「それでお前は何か作戦はあるのか」
「それより先に彼らを運んでもよろしいでしょうか」
「そうだな。死んで貰っては困る」
「加減はしたよ」

負傷した3人は治療班に運ばれていく
クロナを含めて部屋の中は5人となり壊れた壁は一先ず土の壁で誤魔化す
1人は土魔法を使う20代の細身の男性、攻撃こそしていないが無詠唱で拘束し状況を悪化させた1人
1人は30代くらいの鍛え上げられた肉体が服の上からでも分かる男性、必死に止めていた人だ
最後の1人は20代前半くらいの男性、騒動の時は溜息をつき特に何もしていなかった
5人で会議が始まる

一方事情を何も知らない2人は震えていた
門番の男性は自分が基地内で会議をしていると教えたばっかりに何やらとんでもない事が起きていると壊れた壁を見て震えている
ユイラは基地の場所を自分が教えたばっかりに大事件が起きたと壊れた壁を見て震えている

「……騎士団基地で何かあったとしても我々は何も言っていない何も知らない」
「ただ嬉々として歩いていった冒険者が居たというだけで我々は何も関わっていません」
「2人して何してんだ?」
「「いえ何も」」
「そ、そうか」

城門の外に出て警戒をする
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