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2章天鬼鶏

社畜 次のダンジョンアタック先を決める

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翌日朝にグループチャットで会話をする

『あの二人と連絡取れる人いる?』
『私は持ってない』
『僕も連絡先は聞いてないな』
『せめて何処に入院してるか分かればいいが……』
『それも分からないなぁ』

誰も連絡先を交換していないので連絡を取る事が出来ない
あの二人は表立っての活動をしていない上SNSもしていないのだ
別れたあと連絡する術がない事が分かった

『近く病院を当たってみる。名前は知ってるしな。二人とも怪我は大丈夫か?』
『私は元々怪我ない』
『僕の傷はもう完治してるし問題なく動ける』
『それじゃ自分達の事を決めよう』
『次のダンジョン?』
『そうだ、あのダンジョンは無理だからな』
『そうだね』
『行くとするなら4級か敢えて5級とか行くのもありかと』
『5級か……近くにあったっけ?』
『……そう言えば近くの5級ダンジョン最近攻略されたって話あったような』
『まぁ多少遠くてもタクシー使えば問題は無い。5級もありだな』

一鬼が提案に乗る
その様子が少し弱気に思える
5級のダンジョン攻略など、グループ結成当初の一鬼なら断っていただろう
昨日の戦いが関係するのだろう

『二人が良いなら何処でも……ただ罠あるのはちょっと怖いな』

情報があればいいが情報が無いと罠を避けられない可能性がある
現に天音は落とし穴に落ちている
落ちたのが天音だったから無事に済んだが落ちたのが蓮二もしくは一鬼なら無事で済んだか分からない
落とし穴や矢、大岩以外にも様々な罠がある

『罠は遺跡型だ。近くにある4級は確か塔型だったな』
『5級ダンジョンは洞窟型と遺跡型と迷宮型の三つが比較的近い』
『迷宮型?』
『階層が一つのダンジョンです。ただ別れ道や曲がり道などが多く複雑なダンジョンです。情報無しでは奥まで辿り着くのが難しいです』
『それは厄介だな……』
『遺跡型や洞窟型にも複雑な奴はあるが迷宮型が一番複雑で出口が分からなくなるなんて話もよく聞く』
『成程』
『攻略するなら洞窟型が一番楽です』
『それなら5級のダンジョン行くか。場所は?』
『今送ります』

二人に地図が送られてくる

『あぁ、この辺りか』
『僕もここなら分かる。5級……情報は?』
『半月前に中ボスが撃破されています。中ボス以降の情報は有りませんね』
『それじゃそこにするか。半月前だから中ボスは湧かないな。入口から動画だけ取るか』
『配信はしないのか?』
『4級ならインパクトあるが5級はインパクト薄いからなぁ、配信はしないな』
『5級……強さはどんななんだ?』
『下から二番目と言う事もあって私でも魔物は倒せます。中ボスは4級の魔物より少し強くダンジョンの主となると4級の中ボスよりは強いです』
『成程、4級の中ボスより強いか』

4級の中ボスと言えば包帯の魔物
あの魔物は相性の関係が大きいが厄介な敵であった

『ただ5級の主は異能を持たない。まぁそもそも4級のダンジョンの主でも異能持ちは限られている』

異能を持つ魔物は珍しい
4級のダンジョンの主でも異能持ちは早々居ない
そして5級以下では魔物が異能を使った等の報告は上がっていない

『異能は無いのか。それは助かるな』
『異能有る無しでかなり変わりますからね。それでいつ行きます?』
『……そうだなぁ。四日後で良いか?』
『大丈夫』
『私も大丈夫』
『それじゃ四日後にダンジョンアタックで5級だが準備はしっかりと』
『分かってる』
『動画用の準備する』

チャットを終える
終えてすぐに蓮二の携帯が鳴る
見ると一鬼からの電話であった

「どうかした?」
『鶏君、訓練するから家に来て欲しい』
「家?」
『あぁ、言ってなかったっけ? 私の家の地下に訓練場があるんだよ』
「地下に訓練場!?」
『そんな驚く事かな』

蓮二は驚く
それもそのはず地下に訓練場など一般の家には無い、探索者でも早々居ない
(いや普通の反応だと思うんだけど……探索者内では常識なのか……?)
探索者歴の短い蓮二にはその判断が難しい
今の蓮二に特に用事は無いので承諾する

「分かった。武器は持ってく?」
『そうだね、武器も持ってきて』
「支度してから向かう」
『それじゃまた後で』

電話が切れる
支度をして武器を持って一鬼の家に向かう

「訓練か……そう言えばした事無かったな」

蓮二は歩きながらボーと考える
訓練は今までしていない
(良い機会かもな。身体能力をちゃんと鍛えないとな。異能も……異能はどう言う訓練するんだ?)
天音は拘束の異能
蓮二とはタイプが違う、天音のしているであろう訓練をしても余り効果はないだろう

「炎の異能者……属性系だったかな。そのタイプの異能者に聞ければいいけど知り合い居ないんだよなぁ」

暫く歩き一鬼の家に着く
チャイムを鳴らす
すると一鬼が出てくる

「来たね、それじゃ訓練場に行こう」

家に入り案内されて地下に向かう

「おぉ、地下」
「そこそこ広いから結構便利、模擬戦とか出来るし」
「凄いね。緊急時の避難も出来そう」
「元々その用途で作られたのを改造した」
「改造したのか」
「したね」

木刀やカカシが置いてある
一鬼の言う通り広く戦えるだけのスペースがある
一鬼は槍を召喚する

「あれその槍もしかして」

槍が突如一鬼の手元に現れた
別の人が似た事をしているのを見た事がある
叶の異能剣の召喚

「私の異能の半分はあの子と類似した物で柩って名前の槍の召喚、この槍は何個かの形状に変化出来る」

蜘蛛型を突き刺した時、硬い人型の魔物と戦っていた時に使っていた形状変化

「異能の槍……それが獅子神さんの異能の半分?」
「そ、半分」
「月神さんみたいな異能を持ってるって事?」
「いや、私のは限定的な異能だからかなり違う。さて本題に入ろう……私と戦え」
「え?」
「真剣勝負、流石に殺し合いは無しだけど」
「真剣勝負?」
「私達は強くなる必要がある。そうだろ?」

探索者としてダンジョンに潜り続けるなら昨日のような事はこれからも有り得るだろう
そうならない為に強くならなければならない
ダンジョンが未知である限り何が起きてもおかしくは無い
今の自分が未熟だと理解した
二人に強いと言われリスナーにも強いと言われて多少なり調子に乗っていた
それがあの悲劇に繋がった
蓮二は剣を抜く

「手合わせお願いします」

二人は戦う
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