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殺人鬼

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 狛と合流し家に帰った後ニュースを見ると殺人鬼がダンジョンに入ったという情報が流れる

「殺人鬼!?」

 狛がニュースを見て驚く
 俺は盗み聞きしていたから知っていたが狛は知らなかったようだ

「タイミングとしては俺らがダンジョン出るちょっと前らしいな」
「この顔のやつは特に見かけなかった気するが」
「まぁ気付かないうちにすれ違ったんじゃね」
「怖いな。どうする?」

 このどうするは恐らくダンジョンに潜るかどうかだろう
 狛からすれば殺人鬼なんて会いたくないだろう
 俺も極力会いたくは無い

「この殺人鬼のレベルは20、接敵したら殺されかねない」

 ……それに対人戦闘は狛には出来ないだろうしな

 接敵すれば人間と殺し合う事になる
 それは難しい事だ
 特に狛は軍人などでは無いごく普通の一般人

 ……もし出会ってもやりようはある。しかし、狛に負担をかける訳には行かん

「暫くは無理だな」
「そうか、まぁ仕方ないな」
「あぁレベルの高い探索者が捕獲するのを待とう」
「そうだな」

 そう言って番組を変えてソファーに寝転がる
 殺人鬼よりも考えないと行けない事がある
 詠見の件だ
 正確には詠見以外にも居るが彼らとの連絡
 最も詠見ともう1人以外とは余り連絡を取っていない

 ……どうするかまぁ詠見はダンジョンの中に居るから連絡取れたとしても忙しいだろうしあいつは……どう言えばいいんだろうな

 元々自分から連絡を取る事は少なかった
 一先ずメールを確認する
 すると詠見から何通かメールが来ていた
 メールが来たら必ずその日か翌日には返信をしていたがそれが来ない事に違和感を抱いていたのだろう
 1通目以降は
『珍しいわぁ、ここまで返信が無いのは何かあったのかしら?』
『見てすらいないん?』
『……もしかして死んだ?』
『遺留品見つけたら墓に添えとくわァ』
 などと言う内容であった
 探索者は突然死ぬ、だから返信が無い時点で死んだと考えていたのだろう
 だが男の時に所有していた仮面と服を身に付けた俺に出会った
 それで生きているのならなぜ返信をしないのかと疑問に思ったのだろう
 だから俺に伝言を残した

「あいつの方も見るか?」

 もう1人の方のメールを見る
『暫く忙しくなるのでメール見れないかもです!』
『詠見先輩からのメール返信してないんです? どうしたんですか?』
『悠永先輩??』
 死んだと思われているのだろうかそれ以降のメールは無い

「これはどう返信すればいいんだ……」

 忙しかったで済ませていいのかそれとも話せないがとある事情があると言うのか
 メールを閉じる
 どう返信すればいいか分からない
 早めに返信しなかった分、自業自得な面はある
 それはそうと返信に困る

「どうした?」

 ボーと天井を見ている俺を覗き込むように狛が見る

「メールの返信」
「あぁ、彼女だけ?」
「いや、もう1人居る」
「2人にかぁ。そのもう1人ってのは?」
「探索者の後輩」
「強いのか? 魔法特化?」
「詠見程では無いが高レベル探索者で俺と同じ近接主体の探索者」
「なるほどぉ、心配されてたか?」
「多分な」
「忙しかったみたいなていで行けば?」
「問い詰められる詠見には絶対」
「そうなったら大人しく白状するしかないな」
「そうだな……」
「頭使う前に飯食おうぜ」
「何作ったんだ?」
「ペペロンチーノ」

 激辛では無いペペロンチーノを食べる

「美味い」
「そりゃ良かった」

 食べ終えてシャワーを浴び寝る準備を進めて携帯と睨めっこする
 どうするか考える

 ……空回りし始めた気がする……明日に回すか……

 そう考えていると通知が来る

 ……誰だ?

 チラッと確認する
 詠見からだった
『6階層以降の階層に殺人鬼が潜んでいるらしいわぁ、主の知り合いの少女が危険かもね。それも姿を消す魔法を持っているという情報も』
 起き上がりメールをしっかりと見る

 ……姿を消す魔法!? 少しレベルの高い探索者じゃ対応出来るかどうか

 珍しい魔法ではあるが使い手は何人もいる
 このタイプの魔法の厄介な所は姿が本当に見えない
 景色がぼやけているだとかは一切無い完全なステルス能力
 その分魔力消費が高く魔力が伸びてないと短期間しか使えないが奇襲をするなら短期間で十分

「これは不味いな」

 高レベル探索者でも見つけられるか分からない
 探索系のスキルや魔法の進化系を持っていれば見つけられるが高レベルでも持っている者は一部
 高レベル探索者が動く前に被害が増える事が予想出来る
 まだ情報は完全には広がっていない、初心者などは特に情報が降りてくるのが遅い
 ニュースになっているが見ているかも分からない

「明日行くか」

 メールの件は一旦置いておいて眠りにつく
 翌日
 狛が仕事に行っている間にダンジョンに向かう

 そしてそのまま急いで6階層へ潜る
 相手は格上のレベル20、無策で挑んで勝てる相手では無い
 スキル危機察知、捕食者の視覚を使う
 奇襲に対する対策として発動してから向かう
 接敵した魔物とは戦う
 翼で魔物に攻撃を叩きつけて短剣で攻撃を防いで翼で貫く
 7階層へ続くゲートまで魔物を倒して進んでいくが殺人鬼らしき者は見つからない

 ……6階層には居ないのか? ならもっと潜るか

 安全を確認していつ殺人鬼と接敵しても大丈夫のように休憩をする

「殺人鬼の情報は姿を消す魔法と近接系のスキル何個か保有、近接系ならまぁやりようはある」

 休憩を終えて7階層へ行く
 そして魔物を倒して進んでいく
 魔物を倒していた事でレベルが8に上がる
 さっさとステータス振りをすると派生魔法を1つ覚えた事に気付く
 この場合翼の魔法の派生

 ……派生か。この魔法はこの階層だと使い勝手は悪いな。とはいえ使えない訳じゃない、だいぶ助かるな

 8階層に繋がっているゲートのある場所へ着く

「居ないかならもっと下の階層か」

 そう言ってゲートのある広場へ出る
 その瞬間危機察知のスキルが危機を察知する
 首元に寒気が走る
 後ろに飛び退く
 飛び退いた瞬間空気を斬る音がした

「あ? なんで避けられるんだ?」

 男が姿を現す
 その顔は見た事がある
 ニュースでやっていた殺人鬼だ

 ……こいつか。早めに見つけられてよかった

「なんだ? その仮面魔導具か?」
「教える気は無い」

 相手は格上、真正面から勝つのは難しい
 普通なら
 短剣を仕舞う
 翼の魔法を解除する

「探索者になったばかりでイキりたい年頃か?」
「とっとと済ませてやる」
「イキがるな餓鬼が」
「イキがってるのはどっちだ。自分よりも低いレベルの探索者しか狙わない。レベル20、つまりそれ以上には挑めなかった臆病者って事だろ」
「は? 舐めてんのか!」

 殺人鬼は叫ぶ

「はっ、舐めるに決まっているだろ、自分より格下を奇襲で殺せなかった奴がイキがってるんだからよ」

 煽って冷静さをかかせる、相手が冷静では不味い
 バックから刀を取り出す
 2つのスキルを解除して別のスキルを発動させる
 限界調整で問題無く刀を振るえる分まで力を底上げして上げれるだけ敏捷を上げる
 そして剣術の心得で剣の扱いに補正を得る

 ……足りないな

 近接系スキル
 速度の心得、速度に補正が入る
 自力強化というスキルで更にステータスに補正を入れる
 今の素のステータスでは使えない
 使えるギリギリまでステータスを底上げする
 ステータス移行、一時的に魔力に振っているステータスを敏捷に振り変える
 刀を抜く

「ぶっ殺してやる! 泣き喚いても知らねぇぞぉ!」

 殺人鬼はナイフを持って突っ込んでくる
 レベルの低い相手ならステータス差の暴力でナイフで押し切れると考えているのだろう

 こっちにはそんなステータス差が響くような戦いをする気は無い
 分が悪いのは分かっている、わざわざ相手の土俵に乗る必要が無い

 突っ込んできた殺人鬼目掛けてスキルを放つ

八重の剣やえのつるぎ
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