上 下
3 / 42

思考に配信が浮かぶ

しおりを挟む
 ゴスロリ風の服はバックに仕舞う

「俺の方は置いといてなんか良いのあったか?」
「これ良さそう」

 全身鎧型の防具とハンマー型の武器
 全身鎧型は動きづらくなる為、俺は使わなかったが優秀な防具

「その2つか」
「これも補正入ったりするのか?」
「するぞ。良いチョイスだ。鎧の方は装着者及び鎧に効果のある自動治癒が付いてる」

 装着者に影響のある防具
 ダンジョン製でも珍しい
 その上、この鎧はその中でも希少な治癒の力を持っている
 防具の性能も高い

「治癒? あの本みたいなやつか?」
「あれは所有者しょゆうしゃが使用を宣言しないと使えないがそれは装着者に自動的に発動する」
「自動か! それは強いな」
「最も効果はそこまで高くは無い。致命傷ちめいしょうを受ければ治癒の前に死ぬ可能性があるし即死はまず無理だ。だが多少の傷ならすぐ完治するしある程度のダメージなら時間をかければ治る」
「いやいや、それだけでも破格の性能だろ。いいな」
「他にも筋力に補正が入る。つまり装着時は普段より力が出せる。そのハンマーは腕力と握力に補正が入って尚且つ魔力を消費する事で瞬間的にだが推進力すいしんりょくを得れる。その推進力を利用した一撃はかなりの破壊力を持つぞ」

 ……最も補正が入っても結構なレベルの時でも振り回すのは大変だったが元々身体能力の高い狛なら問題は無いな

 入手した時に使った事があるが重く振り回すのは大変な上、推進力に至っては制御が出来なかった
 だいぶじゃじゃ馬な武器だが使いこなせれば強いのは間違いない

「もしもの時用に短剣たんけん系も持っとけ」

 短剣やナイフが並んでいる棚を見る
 色々な形や長さがありそれぞれ違う能力を持っている

 ……護身ごしん用の武器なら、扱いづらい能力や機能は要らない、魔力は消費しない方がいいか。となると威力は抑え目だがこれが良いな

 条件を決めて探す
 棚の中から刃が赤く炎を思わせる短剣を取り出す
 傷などがないか確認してから狛に渡す

「これは? なんか炎出せそう」

 興味ありげに短剣を見る

「見た目通り炎を放てる。威力は低いが魔力を消費しない。緊急時用の武器として使える」

 ハンマー型の武器のように魔力を消費して能力を使う物が多いが威力が低い代わりに魔力を消費しない物も中にはある

「優秀な武器多いなぁ」
「ダンジョン製は優秀なのが多い」
「お前は持たなくていいのか?」
「俺も持つよ。身体能力低くてもスキルが使えるから多少は何とかできるとは思う」
「そっか」
「全部入れるぞ」

 バックの中に一先ず全部詰める
 かなりの量があり武器や防具は嵩張るかさばる、一部は置いて行くことになると思っていたので驚く

「あの量全部入るのか」
「正直一部は入らないと思ってたが、しかし、全部置ける場所あるか?」
「2個使ってない部屋があるからその部屋に置いとけばいい」
「分かった使わせて貰う」
「代わりに貸してくれよ~」
「良いぞ」

 狛の家に戻る
 偶に泊まる時に使っていた布団を部屋に敷く

 ……これで寝れるな。汗かいたな

 結構歩いた事と体力が減った事で疲れ汗をかいている

「シャワー浴びたい」
「先良いぞ」
「サンキュー」

 俺は服を脱ぐ
 身体を見ないように視線を動かす
 自分の体とはいえ異性の体、見るのには抵抗がある
 見ないようにしてシャワーを浴びる
 冷たいシャワーに身を震わせる

「さて、ちゃんと考えないとな」

 シャワーを浴びながら思考する

 今現在のダンジョンに潜る目的は呪いをかけた魔物を倒して呪いを解く事
 しかし、あの魔物はイレギュラーな存在
 今まであの階層で見た事の無い魔物、その上同時に2個の呪いを掛けてくる相手

 ……あの階層まで行くにはかなりレベルを上げないときつい、ましてや今は……

 呪いの効果で身体能力が下がっている
 レベルはまた上げ直す事が出来るが身体能力低下の呪いはどうにも出来ない
 装備で多少誤魔化ごかませる程度
 レベルも上げ直せばいいと言ってもあのレベルまでは早くとも数年は掛かると考えられる

「時間がかかる、その間にこの呪いがどう影響を及ぼすか分からない」

 性別が変わるだけでも厄介ではあるが呪いの効果がそれだけとは限らない
 時間を掛ければその分呪いの効果が身体を精神を蝕むむしばむ可能性がある
 2つの呪いを掛けたのは呪いの進行が円滑に進むようにする為かもしれない

「やはり情報を集めたいな……深い階層以外でも出現する可能性がある。その為に情報収集……」

 何か良い手が無いか考える
 ソロ探索者では情報を余り多く得られない
 その上、探索者の知り合いは居るが探索者が集うクランには参加していない
 クラン外の人間はレアな情報を得るのが難しい
 クランに入ろうにもレベル1ではどこも入れてはくれない

「……確か配信ってのがあったな」

 1つ最近話題のダンジョン配信と言う物を思い出す
 ダンジョン内での状況を配信する行為
 探索系配信者たんさくけいはいしんしゃと言われていてかなりの人気がある
 基本的に強い程、人気がある
 そして配信者同士でも交流があったり人気になればクランに勧誘される事もある

「あれをやって見るのもいいな」

 レベルは1から再スタート、ステータスも呪いで半減しているが経験と魔法がある

「ただ正体は隠したいな」

 ネットで素顔を出すのは危険が伴う

 ……確か認識阻害にんしきそがいの仮面あるな。あれを使うか

 シャワーを浴び終えて脱衣所に移動する
 そして硬直する
 今重要な事を思い出したからである
 それは服の問題

 ……服どうすりゃいいんだこれ……借りるにしてもサイズ合わないし……仕方ない

 先ほどまで着ていた服を着る
 服を着る際にチラチラ身体が見えてしまう
 意識的に視線を外そうとするが見ないと着れない
 諦めて出来るだけ素早く着る
 服がサイズを勝手に合わせてくれる

 ……服買わないとな……

 脱衣所を出る

「おっ、出たか」

 扉の開いた音に気付いた狛の声が聞こえる
 台所から聞こえ台所に行く

「あっ、そういや服無いか」
「明日買いに行く」
「それがいいな。風呂入ってくるわ」

 狛は風呂場に向かう
 暇なのでテレビを付けてニュースを見て狛を待つ
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

黒髪の聖女は薬師を装う

暇野無学
ファンタジー
天下無敵の聖女様(多分)でも治癒魔法は極力使いません。知られたら面倒なので隠して薬師になったのに、ポーションの効き目が有りすぎていきなり大騒ぎになっちまった。予定外の事ばかりで異世界転移は波瀾万丈の予感。

物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜

ネリムZ
ファンタジー
 この世界にはいくつものダンジョンが存在する。それは国ごとの資源物資でもあり、災害を引き起こすモノでもあった。  魔物が外に出ないように倒し、素材を持ち帰る職業を探索者と呼ぶ。  探索者にはありきたりなスキル、レベルと言った概念が存在する。  神宮寺星夜は月月火水木金金の勤務をしていた。  働けているなら問題ない、そんな思考になっていたのだが、突然のクビを受けてしまう。  貯金はあるがいずれ尽きる、生きる気力も失われていた星夜は探索者で稼ぐ事に決めた。  受付で名前を登録する時、なぜか自分で入力するはずの名前の欄に既に名前が入力されていた?!  実はその受付穣が⋯⋯。  不思議で懐かしな縁に気づかない星夜はダンジョンへと入り、すぐに異変に気づいた。  声が女の子のようになっていて、手足が細く綺麗であった。  ステータスカードを見て、スキルを確認するとなんと──  魔法少女となれる星夜は配信を初め、慣れない手つきで録画を開始した。  魔物を倒す姿が滑稽で、視聴者にウケて初配信なのにバズってしまう!  だが、本人は録画だと思っているため、それに気づくのは少し先の話である。  これは魔法少女の力を中途半端に手に入れたおっさんがゆったりと殴り、恋したり、嘆いたり、やっぱりゆぅたりする話だ。

超激レア種族『サキュバス』を引いた俺、その瞬間を配信してしまった結果大バズして泣いた〜世界で唯一のTS種族〜

ネリムZ
ファンタジー
 小さい頃から憧れだった探索者、そしてその探索を動画にする配信者。  憧れは目標であり夢である。  高校の入学式、矢嶋霧矢は探索者として配信者として華々しいスタートを切った。  ダンジョンへと入ると種族ガチャが始まる。  自分の戦闘スタイルにあった種族、それを期待しながら足を踏み入れた。  その姿は生配信で全世界に配信されている。  憧れの領域へと一歩踏み出したのだ。  全ては計画通り、目標通りだと思っていた。  しかし、誰もが想定してなかった形で配信者として成功するのである。

最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

フウ
ファンタジー
※30話あたりで、タイトルにあるお節介があります。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー これは、最強な幼女が気の赴くままに自堕落ライフを手に入を手に入れる物語。 「……そこまでテンプレ守らなくていいんだよ!?」 絶叫から始まる異世界暗躍! レッツ裏世界の頂点へ!! 異世界に召喚されながらも神様達の思い込みから巻き込まれた事が発覚、お詫びにユニークスキルを授けて貰ったのだが… 「このスキル、チートすぎじゃないですか?」 ちょろ神様が力を込めすぎた結果ユニークスキルは、神の域へ昇格していた!! これは、そんな公式チートスキルを駆使し異世界で成り上が……らない!? 「圧倒的な力で復讐を成し遂げる?メンド臭いんで結構です。 そんな事なら怠惰に毎日を過ごす為に金の力で裏から世界を支配します!」 そんな唐突に発想が飛躍した主人公が裏から世界を牛耳る物語です。 ※やっぱり成り上がってるじゃねぇか。 と思われたそこの方……そこは見なかった事にした下さい。 この小説は「小説家になろう」 「カクヨム」でも公開しております。 上記サイトでは完結済みです。 上記サイトでの総PV1000万越え!

怖いからと婚約破棄されました。後悔してももう遅い!

秋鷺 照
ファンタジー
ローゼは第3王子フレッドの幼馴染で婚約者。しかし、「怖いから」という理由で婚約破棄されてしまう。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?

mio
ファンタジー
 特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。  神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。 そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。 日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。    神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?  他サイトでも投稿しております。

処理中です...