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第23挑☆さらばヘーアンの国 シロと稲妻を追いかけて 前
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俺の名前は大一文字挑。ヘーアン観光ホテルの最上階スイートルームに宿泊して、最高に気持ちいい朝を迎えたところだ。
5人くらいいっしょに眠れそうな広さのキングベッド、温泉かと言いたくなるくらい広い風呂。サウナもついてる。家のテレビの10倍はでかいモニターがあって、この世界で作られた映画が見放題。
すっげえ、いい。いっしょに泊まっているのが野郎とイモムシと妖精ってことさえ忘れたら、すっげえ、最高。
でもなあ。こんなに巨大なベッドなのによ、離れて寝たつもりなのによ、朝起きたらカイソンが隣にくっついてたんだよな。絶対、俺のこと枕だと思ってるよな。
俺はカイソンの肩を揺らした。
「おい、起きろよ。暑苦しいぞ」
「んん……俺の超巨特大ポッキー……」
何を言ってやがるんだ、こいつは。
「いいから起きろって。朝飯食いに行こうぜ」
そう、朝はホテルの2階の大広間でビュッフェなのだ。ヘーアンの国だからうまい米はもちろん、米にぴったりの漬物が20種類以上、だし巻き卵や煮物、魚料理、豚汁……ぜーんぶ食べ放題だぜ!
俺とカイソンはひたすらがっついた。おかずがこんなにあるなんて、何年ぶりか。しかもうめえ。マジでうめえ。コリコリの大根の漬物たまんねえ!
「梅干し激うまっす。カツオ、しそ、はちみつ、どれもうまいっす! ご飯何杯でもいけるっす」
「のりの佃煮もやべえ。持って帰りてえ」
俺たちががっついている間、モコは野菜を、ポワロンはおちょこに盛った米を食べていた。なんか、呆れた視線を感じたが、そんなものは無視だ。食えるだけ食って、食い貯めてやる!
ホテルを出るとき、受付の初老の男性と目が合った。今回は、大統領の娘の紹介で来たんだからな、文句は言わせねえ。
「お気をつけて、行ってらっしゃいませ」
初老の男性が頭を下げた。ふうん、仕事は徹底してんだな。
「いいホテルだったぜ」
俺はそう言って、ホテルを後にした。
一部崩壊した大統領の屋敷に行くと、俺たちは応接間に案内された。案内してくれた奴はとくに武装していない、スーツ姿の男だった。もう、俺たちに攻撃してくる奴はいなさそうだな。
応接間のソファに座って待っていると、ミントグリーンのシャツに黒のショートパンツといったラフな格好で藤花が現れた。いっしょにいる蕾は、淡い黄色のシャツに黒のショートパンツ。藤花と同じシャツの色違いを着ている。双子コーデって奴か。
「おはようございます。皆さん、よく眠れましたか?」
「ああ! めちゃくちゃ良いホテルだったぜ」
「よかった。では、さっそくお話を聞きましょうか」
俺とカイソンが並んで座った向かいに、藤花と蕾が座った。間のテーブルには、スーツ姿の男が紅茶入りのカップを持ってきて置いていった。
俺は、単刀直入に本題を切り出した。
「俺たちは、シロと稲妻ってプレイヤーを追いかけているんだ。あいつらの行く先に、レア度の高いバタフライがいると思っている。シロと稲妻は、ヘーアンの国に来て、ヘーアン観光ホテルに泊まっていったみたいなんだが、その後の足取りを知りてえ」
「なるほど、わかりました。田口さん」
田口と呼ばれたスーツ姿の男が、藤花のもとに近づいた。
「ヘーアン観光ホテルの宿泊客名簿を確認して。それから、ここ5日間で国を出入りした者たちのデータを出してください」
「かしこまりました」
田口はすぐに部屋を出て行った。
俺は、藤花に、
「そんなデータがわかるのか?」
と訊ねた。藤花は微笑んで、
「国境付近には各所に監視カメラが設置してあります。プレイヤーの皆さんは、どの国でも出入り自由ですが、何か問題が起こったときには見つけ出してお話を聞かなくてはなりませんから」
それって、何か事件を起こしたらとっ捕まえてボコボコにすんぞってことか。
しばらくすると、田口が戻って来て、藤花に書類を差し出した。藤花は書類を確認して、俺たちに言った。
「たしかに、シロと稲妻はヘーアンフェスティバル当日の朝までヘーアンの国にいたようですね。それから東の国境を越えてるみたいだから、この方向は、ミョウギの国ですね」
「ミョウギの国か」
5人くらいいっしょに眠れそうな広さのキングベッド、温泉かと言いたくなるくらい広い風呂。サウナもついてる。家のテレビの10倍はでかいモニターがあって、この世界で作られた映画が見放題。
すっげえ、いい。いっしょに泊まっているのが野郎とイモムシと妖精ってことさえ忘れたら、すっげえ、最高。
でもなあ。こんなに巨大なベッドなのによ、離れて寝たつもりなのによ、朝起きたらカイソンが隣にくっついてたんだよな。絶対、俺のこと枕だと思ってるよな。
俺はカイソンの肩を揺らした。
「おい、起きろよ。暑苦しいぞ」
「んん……俺の超巨特大ポッキー……」
何を言ってやがるんだ、こいつは。
「いいから起きろって。朝飯食いに行こうぜ」
そう、朝はホテルの2階の大広間でビュッフェなのだ。ヘーアンの国だからうまい米はもちろん、米にぴったりの漬物が20種類以上、だし巻き卵や煮物、魚料理、豚汁……ぜーんぶ食べ放題だぜ!
俺とカイソンはひたすらがっついた。おかずがこんなにあるなんて、何年ぶりか。しかもうめえ。マジでうめえ。コリコリの大根の漬物たまんねえ!
「梅干し激うまっす。カツオ、しそ、はちみつ、どれもうまいっす! ご飯何杯でもいけるっす」
「のりの佃煮もやべえ。持って帰りてえ」
俺たちががっついている間、モコは野菜を、ポワロンはおちょこに盛った米を食べていた。なんか、呆れた視線を感じたが、そんなものは無視だ。食えるだけ食って、食い貯めてやる!
ホテルを出るとき、受付の初老の男性と目が合った。今回は、大統領の娘の紹介で来たんだからな、文句は言わせねえ。
「お気をつけて、行ってらっしゃいませ」
初老の男性が頭を下げた。ふうん、仕事は徹底してんだな。
「いいホテルだったぜ」
俺はそう言って、ホテルを後にした。
一部崩壊した大統領の屋敷に行くと、俺たちは応接間に案内された。案内してくれた奴はとくに武装していない、スーツ姿の男だった。もう、俺たちに攻撃してくる奴はいなさそうだな。
応接間のソファに座って待っていると、ミントグリーンのシャツに黒のショートパンツといったラフな格好で藤花が現れた。いっしょにいる蕾は、淡い黄色のシャツに黒のショートパンツ。藤花と同じシャツの色違いを着ている。双子コーデって奴か。
「おはようございます。皆さん、よく眠れましたか?」
「ああ! めちゃくちゃ良いホテルだったぜ」
「よかった。では、さっそくお話を聞きましょうか」
俺とカイソンが並んで座った向かいに、藤花と蕾が座った。間のテーブルには、スーツ姿の男が紅茶入りのカップを持ってきて置いていった。
俺は、単刀直入に本題を切り出した。
「俺たちは、シロと稲妻ってプレイヤーを追いかけているんだ。あいつらの行く先に、レア度の高いバタフライがいると思っている。シロと稲妻は、ヘーアンの国に来て、ヘーアン観光ホテルに泊まっていったみたいなんだが、その後の足取りを知りてえ」
「なるほど、わかりました。田口さん」
田口と呼ばれたスーツ姿の男が、藤花のもとに近づいた。
「ヘーアン観光ホテルの宿泊客名簿を確認して。それから、ここ5日間で国を出入りした者たちのデータを出してください」
「かしこまりました」
田口はすぐに部屋を出て行った。
俺は、藤花に、
「そんなデータがわかるのか?」
と訊ねた。藤花は微笑んで、
「国境付近には各所に監視カメラが設置してあります。プレイヤーの皆さんは、どの国でも出入り自由ですが、何か問題が起こったときには見つけ出してお話を聞かなくてはなりませんから」
それって、何か事件を起こしたらとっ捕まえてボコボコにすんぞってことか。
しばらくすると、田口が戻って来て、藤花に書類を差し出した。藤花は書類を確認して、俺たちに言った。
「たしかに、シロと稲妻はヘーアンフェスティバル当日の朝までヘーアンの国にいたようですね。それから東の国境を越えてるみたいだから、この方向は、ミョウギの国ですね」
「ミョウギの国か」
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