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第18挑☆炎の使い手! 挑vs赤鬼 前
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俺の名前は大一文字挑。ヘーアンの国の前大統領の別荘地で、蹴りの達人・関根と戦い、勝った。命までは奪っちゃいねえが、毒のダメージもある。関根は当分動けないだろう。
だが、俺とカイソンの目前には、己の身体よりも長い刃を持つ野太刀をかまえた赤鬼が立っている。
俺が関根と戦っている間に、カイソンは赤鬼と戦っていた。赤鬼は無傷だが、カイソンは身体中傷だらけだ。
「あの赤鬼って奴、相当ヤバいっす」
「みてえだな」
近距離じゃあ野太刀の攻撃範囲、遠距離じゃあ炎の攻撃範囲。どちらを潰すか。
「炎は防ぎようがねえな」
俺は腹をくくって、赤鬼に向かって突進する。カイソンは、赤鬼が俺とカイソンを同時に目で追えないように、俺から距離を取って走り出した。
最速で赤鬼の懐めがけて走る。
「単純だな。輪切りになりたいようだ」
赤鬼は野太刀を頭のはるか上から振り下ろしてきた。
速ぇ!
俺は思い切り横に飛び、袈裟斬りを回避した。刃が音速を超えて襲い掛かってくるとは。しかも、大胆に動いた後のはずなのに、全身隙がねえ……!
俺が攻撃に入れなければ、始まるのは斬撃の嵐! 自分の身体よりずっと長い刃を自在に操り、上から、下から、横から斬ってくる! 昔見た回旋塔が高速で旋回しながら向かってくる感じだ。これじゃあ、避ける以外に何もできねえっ!
「たしかに、優れた動体視力に反射神経だ。ならば、これならどうだ」
野太刀の切っ先が空を向くと同時、刃が赤く光る。刃が振り下ろされると、俺の後方に炎の壁が立ち上がった。その壁は俺と赤鬼の二人を囲むように広がり、炎のコロシアムを形成した。
逃げ道を塞ぎやがった。
ついでに、カイソンも場外か。
「いいことを教えてやろう」
赤鬼が野太刀をかまえて言った。
「私のバタフライの能力は時間切れだ。ここからは刃ひとつ」
くっそ、余裕だな、こいつ。
「ああそう。俺のモコの能力は、まだまだこれからだぜ!」
赤鬼が遠距離攻撃できねえなら、チャンスはある!
俺は両腕をだらりと地面におろした。はたからは、ノーガードに見えるかもしれねえ。
「あきらめたかっ」
赤鬼が向かってくる。その正面に向かって、俺は勢いよく両腕を振り上げた。同時に、指先から毒の液体が赤鬼に飛ぶ。液体だからよ、弾丸よりかわしにくいぜ!
「ふうんっ」
赤鬼が野太刀で毒液をなぎ払う。野太刀に毒がついても何にもならない。赤鬼に毒液は一滴もかからなかった。
俺はかまわず、両腕をブランコのように振り続けた。
「ふんっふんっふんっ」
毒液の連射だ。
赤鬼は野太刀を操りながら、毒液をはじき、かわす。その回避行動の中に、隙が生まれる。俺はそれを見逃さない!
「うおらぁああああああ!」
俺は思い切り毒液を飛ばすと同時に地面を蹴り、赤鬼の懐に飛び込む!
「むう……!」
刃が長いと、至近距離に入ってきた相手を攻撃できねえだろっ。
「武器が野太刀だけだと決めつけるな」
ちっ、赤鬼の野郎、懐からクナイを抜きやがった! 野太刀の弱点もきっちりフォローしてんな。
俺がクナイをかわせば、俺のほうに隙が生まれる。
「ちぃっ」
「なかなか楽しめた」
赤鬼が容赦なく野太刀を振ろうとする、そのときだった。
揺らめく炎の壁の隙間から、カイソンの姿が見えた。俺とカイソンの目が合う。俺は、カイソンが何をしようとしているのかを察した。
俺は腰を落とし、拳に力を込める。
俺の様子がおかしいと感じたのだろう、赤鬼の目に一瞬疑問の色が浮かんだ。だが、振りかぶった野太刀をそのまま俺に落とそうとした。
俺の額の前で、野太刀が止まる。
「……なっ……!?」
地面にぽとりと転がったピンセット。投げたのは、もちろんカイソンだ。カイソンのそばには、ヒメギフチョウがいる。
ヒメギフチョウの能力――攻撃を当てた相手の動きを一時的に止める。赤鬼ほどの強い相手じゃあ、本当に少ししか動きをとめることはできないだろう。
だがな、それで充分だ。
「はぁぁぁあああああ!」
俺は、赤鬼のみぞおちに向かって下から拳をつきあげた。赤鬼の身体が空中に放り上げられ、炎の壁の外に落ちた。
「ぐ……く、今のは効いたぞ……」
赤鬼は野太刀を手放してはいない。身体を震わせながら、起き上がって来た。
今、炎の壁は消えた。
「あれ」
俺の腕も元通りになり、毒を使えなくなった。
「チョーさん、モコの能力終わりっすか」
「みてえだな。ま、いいじゃねえか。赤鬼ももう炎は使えないんだしよ」
「ふっ……」
赤鬼が小さく笑った。
そのときだった。
だが、俺とカイソンの目前には、己の身体よりも長い刃を持つ野太刀をかまえた赤鬼が立っている。
俺が関根と戦っている間に、カイソンは赤鬼と戦っていた。赤鬼は無傷だが、カイソンは身体中傷だらけだ。
「あの赤鬼って奴、相当ヤバいっす」
「みてえだな」
近距離じゃあ野太刀の攻撃範囲、遠距離じゃあ炎の攻撃範囲。どちらを潰すか。
「炎は防ぎようがねえな」
俺は腹をくくって、赤鬼に向かって突進する。カイソンは、赤鬼が俺とカイソンを同時に目で追えないように、俺から距離を取って走り出した。
最速で赤鬼の懐めがけて走る。
「単純だな。輪切りになりたいようだ」
赤鬼は野太刀を頭のはるか上から振り下ろしてきた。
速ぇ!
俺は思い切り横に飛び、袈裟斬りを回避した。刃が音速を超えて襲い掛かってくるとは。しかも、大胆に動いた後のはずなのに、全身隙がねえ……!
俺が攻撃に入れなければ、始まるのは斬撃の嵐! 自分の身体よりずっと長い刃を自在に操り、上から、下から、横から斬ってくる! 昔見た回旋塔が高速で旋回しながら向かってくる感じだ。これじゃあ、避ける以外に何もできねえっ!
「たしかに、優れた動体視力に反射神経だ。ならば、これならどうだ」
野太刀の切っ先が空を向くと同時、刃が赤く光る。刃が振り下ろされると、俺の後方に炎の壁が立ち上がった。その壁は俺と赤鬼の二人を囲むように広がり、炎のコロシアムを形成した。
逃げ道を塞ぎやがった。
ついでに、カイソンも場外か。
「いいことを教えてやろう」
赤鬼が野太刀をかまえて言った。
「私のバタフライの能力は時間切れだ。ここからは刃ひとつ」
くっそ、余裕だな、こいつ。
「ああそう。俺のモコの能力は、まだまだこれからだぜ!」
赤鬼が遠距離攻撃できねえなら、チャンスはある!
俺は両腕をだらりと地面におろした。はたからは、ノーガードに見えるかもしれねえ。
「あきらめたかっ」
赤鬼が向かってくる。その正面に向かって、俺は勢いよく両腕を振り上げた。同時に、指先から毒の液体が赤鬼に飛ぶ。液体だからよ、弾丸よりかわしにくいぜ!
「ふうんっ」
赤鬼が野太刀で毒液をなぎ払う。野太刀に毒がついても何にもならない。赤鬼に毒液は一滴もかからなかった。
俺はかまわず、両腕をブランコのように振り続けた。
「ふんっふんっふんっ」
毒液の連射だ。
赤鬼は野太刀を操りながら、毒液をはじき、かわす。その回避行動の中に、隙が生まれる。俺はそれを見逃さない!
「うおらぁああああああ!」
俺は思い切り毒液を飛ばすと同時に地面を蹴り、赤鬼の懐に飛び込む!
「むう……!」
刃が長いと、至近距離に入ってきた相手を攻撃できねえだろっ。
「武器が野太刀だけだと決めつけるな」
ちっ、赤鬼の野郎、懐からクナイを抜きやがった! 野太刀の弱点もきっちりフォローしてんな。
俺がクナイをかわせば、俺のほうに隙が生まれる。
「ちぃっ」
「なかなか楽しめた」
赤鬼が容赦なく野太刀を振ろうとする、そのときだった。
揺らめく炎の壁の隙間から、カイソンの姿が見えた。俺とカイソンの目が合う。俺は、カイソンが何をしようとしているのかを察した。
俺は腰を落とし、拳に力を込める。
俺の様子がおかしいと感じたのだろう、赤鬼の目に一瞬疑問の色が浮かんだ。だが、振りかぶった野太刀をそのまま俺に落とそうとした。
俺の額の前で、野太刀が止まる。
「……なっ……!?」
地面にぽとりと転がったピンセット。投げたのは、もちろんカイソンだ。カイソンのそばには、ヒメギフチョウがいる。
ヒメギフチョウの能力――攻撃を当てた相手の動きを一時的に止める。赤鬼ほどの強い相手じゃあ、本当に少ししか動きをとめることはできないだろう。
だがな、それで充分だ。
「はぁぁぁあああああ!」
俺は、赤鬼のみぞおちに向かって下から拳をつきあげた。赤鬼の身体が空中に放り上げられ、炎の壁の外に落ちた。
「ぐ……く、今のは効いたぞ……」
赤鬼は野太刀を手放してはいない。身体を震わせながら、起き上がって来た。
今、炎の壁は消えた。
「あれ」
俺の腕も元通りになり、毒を使えなくなった。
「チョーさん、モコの能力終わりっすか」
「みてえだな。ま、いいじゃねえか。赤鬼ももう炎は使えないんだしよ」
「ふっ……」
赤鬼が小さく笑った。
そのときだった。
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