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D.D.クエスト
黒いマントをなびかせて
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買い物を終えた四人は城へと向かっていた。しかしながら城下町には閑散としており、道行く人はほとんどいない。わずかに外を歩く住民もその表情は暗くどこか疲れている様子である。
「しかしお姫様が攫われたぐらいで町の雰囲気って言うのはそんなに変わるものなのか?」
「攫われたのは一国の主の娘さんだからね、やっぱり皆心配な気持ちになるんだよ」
「もしかしたらそれだけじゃないのかもしれないわね」
「それだけじゃない?なんだ、他にも何かあるのか」
「もしかして黒マントの事件と何か関係があるんでしょうか?」
「そういえばそんな事件もあったな。酒場のマスターも奥さんが外に出るの怖がっているって言ってたし、そりゃ雰囲気も暗くなるわけか」
「あんた、やっぱり話聞いてなかったのね」
「忘れてたんだ。誰かさんとは戦闘になったり店では驚くことが起こったり、武器は鉄球たったの一つ。こんな衝撃的な展開が続けて起こっているんだ、シナリオの内容も頭から抜け落ちるっての」
「町の雰囲気はともかく、問題は私とあんたの防具がないことよ。防御ができないのは戦闘の時に厳しいわ」
「まあ無いものは嘆いたって仕方ないしな。装備がそろっているエストとまりもの二人に頑張ってもらうとしようぜ」
などと四人が話していると突如として目の前に黒い瘴気が立ちこめ始める。それらは徐々に密集し始め、人の形をなしていく。
「おいおいまさか話していたら、ってやつか?」
そうして四人の前に現れたのは黒いマントを羽織った仮面の男であった。男は仮面の隙間から四人を見据えている。
『お前達、先程店で装備を買っていたな?それら全て置いて立ち去れ!』
「なんだこいつ、いきなり現れて挨拶もなしに装備置いていけとか非常識にも程があるだろ」
「こいつが例の黒マントって奴ね。もしかして戦闘になる?」
「ご名答!」
『聞かぬと言うなら致し方ない、お前達全員ここで・・・死んでもらう!』
「『黒マントはそう言うと戦闘態勢をとった』さあここから戦闘開始だよ!本当はこのシーンがプレイヤーの最初の戦闘になるはずだったんだよね」
「ずいぶん遅い登場だな」
「待ちくたびれたわ」
「君達のせいだけどね!」
それじゃあ戦闘を始めるよ!と言ってアプゥはゲームブックを開いてページをめくり始める。
「エストとまりもは初戦闘だからヒントとしてこの黒マントのステータスを教えてあげるよ。STR・DEX・INT・LUC・TEC・HP・MP・消費量の順で7・4・10・6・5・6・9・3だよ。最初の敵だから少し弱めになっているよ」
「確かにステータス低いな。こりゃいいや、良い肩慣らしになる」
「それじゃあ始めるよ!行動順はDEXが一番高いF2からだね」
「よし、一撃で仕留めるわ!〈魔法(氷)〉・・・ってマズいわね、MPが無くなるかもしれないわ」
「お前残りMPどのくらいだよ?」
「7。消費量は2だから残り三回しか使えないわ」
「余計なことに使うからそうなるんだ」
「うるさい!ここは魔法を使わず〈こぶし〉で攻撃するわ!ダイスロール!」
ダイスの出目は95、ファンブル手前である。もちろん判定は失敗であり、黒マントにダメージを与えることはできない。
「嘘!?私まで出目が悪くなってきてる・・・!」
『どこを狙っている!そんな攻撃しかできないのか?』
「次は私です!消費量が最小値になった私の魔法を使わせてもらいます!〈魔法(光)〉で攻撃します!ダイスロール!」
ダイスが出した数字は36であった。まりもの〈魔法(光)〉の技能値は装備も相まって65であるため判定は成功である。
「成功しました!」
『くっ、これはマズい!〈回避〉を使用する!ダイスロール!』
「えっと出目は・・・40、まあ失敗するよね」
まりもは装備品の『僧侶のロッド』を掲げ、その先に光を集中させると光線のように黒マントに放った。
「それじゃあダメージロールいきます!出目は・・・2です!」
「さらに黒マントは〈魔法(光)〉が弱点なのでダメージ判定に+2されるよ。それに黒マントの装備の装甲値1をひいて・・・黒マントに3のダメージだね」
『やるな小娘、だが私はまだ倒れんぞ!』
「黒マントのHPは残り3だよ。次はレッドの番だね」
「よっしゃあ!早速さっき買ったアイテムを使ってみるか!俺はアイテム『マジック・ボール』を使って〈投擲〉で攻撃する!アイテム効果見せてもらうぜ!ダイスロール!」
そう言ってレッドは勢いよくダイスを振った。ダイスが出した数字は28、判定は成功である。
「もう〈回避〉は使えないからな!ダメージロールだ!」
「と、その前にレッドには1D6でダイスを振ってもらうよ。これで『マジック・ボール』の効果が決まるんだ」
「面白そうじゃねぇか!いくぜ!ダイスの出目は・・・5だ!」
「5だね。効果は・・・与えたダメージ分HPが回復するよ」
「いいね!それじゃあ今度こそダメージロールだ!」
レッドが出した数字は3であった。それにマジック・ボールによるダメージで+1、黒マントの装甲値1を差し引いて、黒マントに与えるダメージは合計で3である。
「おっしゃあ丁度だ!そして全回復!くらえ、エナジードレイン!」
レッドが投げたマジック・ボールは黒マントに直撃すると緑色に発光し、その光はレッドの身体を包み込んだ。
『ぐはぁ!馬鹿な、この私が負けるとは・・・』
黒マントはその場に倒れるとその身体は黒い瘴気となって跡形もなく消えさった。
「しかしお姫様が攫われたぐらいで町の雰囲気って言うのはそんなに変わるものなのか?」
「攫われたのは一国の主の娘さんだからね、やっぱり皆心配な気持ちになるんだよ」
「もしかしたらそれだけじゃないのかもしれないわね」
「それだけじゃない?なんだ、他にも何かあるのか」
「もしかして黒マントの事件と何か関係があるんでしょうか?」
「そういえばそんな事件もあったな。酒場のマスターも奥さんが外に出るの怖がっているって言ってたし、そりゃ雰囲気も暗くなるわけか」
「あんた、やっぱり話聞いてなかったのね」
「忘れてたんだ。誰かさんとは戦闘になったり店では驚くことが起こったり、武器は鉄球たったの一つ。こんな衝撃的な展開が続けて起こっているんだ、シナリオの内容も頭から抜け落ちるっての」
「町の雰囲気はともかく、問題は私とあんたの防具がないことよ。防御ができないのは戦闘の時に厳しいわ」
「まあ無いものは嘆いたって仕方ないしな。装備がそろっているエストとまりもの二人に頑張ってもらうとしようぜ」
などと四人が話していると突如として目の前に黒い瘴気が立ちこめ始める。それらは徐々に密集し始め、人の形をなしていく。
「おいおいまさか話していたら、ってやつか?」
そうして四人の前に現れたのは黒いマントを羽織った仮面の男であった。男は仮面の隙間から四人を見据えている。
『お前達、先程店で装備を買っていたな?それら全て置いて立ち去れ!』
「なんだこいつ、いきなり現れて挨拶もなしに装備置いていけとか非常識にも程があるだろ」
「こいつが例の黒マントって奴ね。もしかして戦闘になる?」
「ご名答!」
『聞かぬと言うなら致し方ない、お前達全員ここで・・・死んでもらう!』
「『黒マントはそう言うと戦闘態勢をとった』さあここから戦闘開始だよ!本当はこのシーンがプレイヤーの最初の戦闘になるはずだったんだよね」
「ずいぶん遅い登場だな」
「待ちくたびれたわ」
「君達のせいだけどね!」
それじゃあ戦闘を始めるよ!と言ってアプゥはゲームブックを開いてページをめくり始める。
「エストとまりもは初戦闘だからヒントとしてこの黒マントのステータスを教えてあげるよ。STR・DEX・INT・LUC・TEC・HP・MP・消費量の順で7・4・10・6・5・6・9・3だよ。最初の敵だから少し弱めになっているよ」
「確かにステータス低いな。こりゃいいや、良い肩慣らしになる」
「それじゃあ始めるよ!行動順はDEXが一番高いF2からだね」
「よし、一撃で仕留めるわ!〈魔法(氷)〉・・・ってマズいわね、MPが無くなるかもしれないわ」
「お前残りMPどのくらいだよ?」
「7。消費量は2だから残り三回しか使えないわ」
「余計なことに使うからそうなるんだ」
「うるさい!ここは魔法を使わず〈こぶし〉で攻撃するわ!ダイスロール!」
ダイスの出目は95、ファンブル手前である。もちろん判定は失敗であり、黒マントにダメージを与えることはできない。
「嘘!?私まで出目が悪くなってきてる・・・!」
『どこを狙っている!そんな攻撃しかできないのか?』
「次は私です!消費量が最小値になった私の魔法を使わせてもらいます!〈魔法(光)〉で攻撃します!ダイスロール!」
ダイスが出した数字は36であった。まりもの〈魔法(光)〉の技能値は装備も相まって65であるため判定は成功である。
「成功しました!」
『くっ、これはマズい!〈回避〉を使用する!ダイスロール!』
「えっと出目は・・・40、まあ失敗するよね」
まりもは装備品の『僧侶のロッド』を掲げ、その先に光を集中させると光線のように黒マントに放った。
「それじゃあダメージロールいきます!出目は・・・2です!」
「さらに黒マントは〈魔法(光)〉が弱点なのでダメージ判定に+2されるよ。それに黒マントの装備の装甲値1をひいて・・・黒マントに3のダメージだね」
『やるな小娘、だが私はまだ倒れんぞ!』
「黒マントのHPは残り3だよ。次はレッドの番だね」
「よっしゃあ!早速さっき買ったアイテムを使ってみるか!俺はアイテム『マジック・ボール』を使って〈投擲〉で攻撃する!アイテム効果見せてもらうぜ!ダイスロール!」
そう言ってレッドは勢いよくダイスを振った。ダイスが出した数字は28、判定は成功である。
「もう〈回避〉は使えないからな!ダメージロールだ!」
「と、その前にレッドには1D6でダイスを振ってもらうよ。これで『マジック・ボール』の効果が決まるんだ」
「面白そうじゃねぇか!いくぜ!ダイスの出目は・・・5だ!」
「5だね。効果は・・・与えたダメージ分HPが回復するよ」
「いいね!それじゃあ今度こそダメージロールだ!」
レッドが出した数字は3であった。それにマジック・ボールによるダメージで+1、黒マントの装甲値1を差し引いて、黒マントに与えるダメージは合計で3である。
「おっしゃあ丁度だ!そして全回復!くらえ、エナジードレイン!」
レッドが投げたマジック・ボールは黒マントに直撃すると緑色に発光し、その光はレッドの身体を包み込んだ。
『ぐはぁ!馬鹿な、この私が負けるとは・・・』
黒マントはその場に倒れるとその身体は黒い瘴気となって跡形もなく消えさった。
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