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D.D.クエスト
とりあえず左を選ぶぜ!
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「『長かった酒場前での死闘を終えて城へ向かう四人』」
「全く誰のせいだよ。導入部でこんなに時間食ったのは」
「絶対にあんたのせいよ」
「そもそも勝負しようって言いだしたのはお前だからな?」
「あんたが余計なことするからでしょう!」
相も変わらずレッドとF2はお互いがお互いの文句を言い合っていた。それはGMがシナリオを進行している間もお構いなしである。
「レッド、F2、二人ともしっかりと聞いておいてよ?『町中を歩く中で四人は前方に一際目立った2つの建物を見つける。それらの建物は他の建物に比べてそれぞれ独特の外装で異なる目立ち方をしていた』」
「異なる目立ち方?どういうことでしょうか?」
「〈目星〉を使用するわ。出目は・・・42、成功よ」
「『左の建物は様々な色のレンガで構成されており、その外壁には複数の窓、屋根には何本もの煙突がついている。それとは対照的に右の建物は全体が金属で覆われており、窓も煙突も無い。まるで要塞のような建物である。ただどちらの建物も中央に大きな扉がついており、『商い中』と書かれた看板がぶら下がっている』」
「怪しすぎるだろ。商い中の看板があるってことは何かしらの店ってことか」
「おそらくここで武器や防具の調達ができるんでしょうけれど・・・」
「ここで君達には一人ずつどちらかの店に入るか決めてもらうよ」
「一人ずつ?全員じゃなくて?」
「この二つのお店なんだけど、どちらかを選んだら選ばなかった店にはもう入れないって言うシステムなんだ。だからちゃんと考えて選んだ方が良いよ」
なるほどとF2は考える。もしパーティー全員で同じ店を選んで、仮にその店の商品がハズレの商品ばかりだったらこの先のシナリオの進行が困難になる。
「左のカラフルな店は窓がついているんだろ?窓越しに中の様子は見ることはできないのか?」
「カーテンで見えないね」
「それなら扉をノックしてみる。これは両方の店に対してだ」
「両方とも反応はないね」
「これは大人しく選ぶしかなさそうだね」
「いや、左の店なら窓を割るって手があるぞ。窓が割れたなら中の様子を見ることができる」
「もしそれをやったなら私たち三人であんたをボコボコにするわよ」
冗談だよ冗談と言ってレッドは左の店の窓から離れる。あんたのは冗談に聞こえないのよとF2は毒づく。
「この場合二人ずつに分かれてそれぞれの店に入れば良いね。それぞれの必要なものを買えば店から出てきた後でアイテムの受け渡しもできるだろうしね」
「それはそうなんだけれど、例えば装備できる人にしか装備品は売らないって店だったら他のプレイヤーの代わりにその装備品を買っておくことができないし、そもそも買うことができなくなるからこの先苦しくなるわ」
「力自慢の脳筋と魔法オタクなインテリで組んで店に入った方がそう言ったリスクは軽減されるってことか?しかしそんな店である可能性低いだろう?」
考えすぎなんだよと言って肩をすくめるレッド。念には念を入れる。できることはしっかりとしておきたいのがF2というプレイヤーなのである。
「それなら私は魔法が得意です!僧侶ですし」
「僕は戦士だから力自慢かな」
「私はどちらかと言うなら魔法タイプかしら。〈魔法(氷)〉の技能をメインで使いたいから」
「俺もどっちかって言うなら脳筋だな。魔法技能に振ってないし〈投擲〉もあるしな」
「僕とレッド君が物理、F2君とまりも君が魔法タイプってわけだね」
その時F2とまりもは嫌な予感が頭によぎった。自分たちはレッドかエストのどちらか一方とペアになって店に入らなくてはならない。先程からの行動を見てレッドと組むと面倒くさくなることが目に見えている。特にF2はそれを直に経験しているため一層レッドとペアになるのが憚られていた。
「私は絶対この男とペアになりたくない!場をかき乱すに決まってるわ!下手すれば店を燃やしかねない!」
「おいおいそんなに褒めるなよ。照れるぜ」
「褒めてないから!」
「となると僕はF2君と、レッド君はまりも君と組むことになるけど・・・まりも君はそれでいいかい?」
「私は・・・大丈夫ですよ。たぶん」
「何だ今の間は。心配すんなってしっかりやるからよ。それで、どっちの店に入る?」
「そうね、私の要望を聞いてもらったしあなたたちが決めて良いわよ」
「僕はどちらでも構わないよ。まりも君、どちらに行くか決めて良いよ」
「えっとそれじゃあこっちのカラフルなお店にします」
そう言ってまりもは左の店を選んだ。それじゃあ僕たちはこっちの店だねとエストは右の店に近づく。
「それじゃあこの先は選んだ店毎に話を進めるから同じ店を選んだプレイヤーでしか会話できないから気をつけてね」
「必要なものだけ買うようにしてね。もう一度言うわ、必要なものだけ買うのよ!」
「まりも、買いすぎは気をつけろよ」
「あんたに言ってるのよ!」
そうしてレッドとまりものペアは左のカラフルな店へ、F2とエストのペアは右の金属の店にそれぞれ入っていった。
「全く誰のせいだよ。導入部でこんなに時間食ったのは」
「絶対にあんたのせいよ」
「そもそも勝負しようって言いだしたのはお前だからな?」
「あんたが余計なことするからでしょう!」
相も変わらずレッドとF2はお互いがお互いの文句を言い合っていた。それはGMがシナリオを進行している間もお構いなしである。
「レッド、F2、二人ともしっかりと聞いておいてよ?『町中を歩く中で四人は前方に一際目立った2つの建物を見つける。それらの建物は他の建物に比べてそれぞれ独特の外装で異なる目立ち方をしていた』」
「異なる目立ち方?どういうことでしょうか?」
「〈目星〉を使用するわ。出目は・・・42、成功よ」
「『左の建物は様々な色のレンガで構成されており、その外壁には複数の窓、屋根には何本もの煙突がついている。それとは対照的に右の建物は全体が金属で覆われており、窓も煙突も無い。まるで要塞のような建物である。ただどちらの建物も中央に大きな扉がついており、『商い中』と書かれた看板がぶら下がっている』」
「怪しすぎるだろ。商い中の看板があるってことは何かしらの店ってことか」
「おそらくここで武器や防具の調達ができるんでしょうけれど・・・」
「ここで君達には一人ずつどちらかの店に入るか決めてもらうよ」
「一人ずつ?全員じゃなくて?」
「この二つのお店なんだけど、どちらかを選んだら選ばなかった店にはもう入れないって言うシステムなんだ。だからちゃんと考えて選んだ方が良いよ」
なるほどとF2は考える。もしパーティー全員で同じ店を選んで、仮にその店の商品がハズレの商品ばかりだったらこの先のシナリオの進行が困難になる。
「左のカラフルな店は窓がついているんだろ?窓越しに中の様子は見ることはできないのか?」
「カーテンで見えないね」
「それなら扉をノックしてみる。これは両方の店に対してだ」
「両方とも反応はないね」
「これは大人しく選ぶしかなさそうだね」
「いや、左の店なら窓を割るって手があるぞ。窓が割れたなら中の様子を見ることができる」
「もしそれをやったなら私たち三人であんたをボコボコにするわよ」
冗談だよ冗談と言ってレッドは左の店の窓から離れる。あんたのは冗談に聞こえないのよとF2は毒づく。
「この場合二人ずつに分かれてそれぞれの店に入れば良いね。それぞれの必要なものを買えば店から出てきた後でアイテムの受け渡しもできるだろうしね」
「それはそうなんだけれど、例えば装備できる人にしか装備品は売らないって店だったら他のプレイヤーの代わりにその装備品を買っておくことができないし、そもそも買うことができなくなるからこの先苦しくなるわ」
「力自慢の脳筋と魔法オタクなインテリで組んで店に入った方がそう言ったリスクは軽減されるってことか?しかしそんな店である可能性低いだろう?」
考えすぎなんだよと言って肩をすくめるレッド。念には念を入れる。できることはしっかりとしておきたいのがF2というプレイヤーなのである。
「それなら私は魔法が得意です!僧侶ですし」
「僕は戦士だから力自慢かな」
「私はどちらかと言うなら魔法タイプかしら。〈魔法(氷)〉の技能をメインで使いたいから」
「俺もどっちかって言うなら脳筋だな。魔法技能に振ってないし〈投擲〉もあるしな」
「僕とレッド君が物理、F2君とまりも君が魔法タイプってわけだね」
その時F2とまりもは嫌な予感が頭によぎった。自分たちはレッドかエストのどちらか一方とペアになって店に入らなくてはならない。先程からの行動を見てレッドと組むと面倒くさくなることが目に見えている。特にF2はそれを直に経験しているため一層レッドとペアになるのが憚られていた。
「私は絶対この男とペアになりたくない!場をかき乱すに決まってるわ!下手すれば店を燃やしかねない!」
「おいおいそんなに褒めるなよ。照れるぜ」
「褒めてないから!」
「となると僕はF2君と、レッド君はまりも君と組むことになるけど・・・まりも君はそれでいいかい?」
「私は・・・大丈夫ですよ。たぶん」
「何だ今の間は。心配すんなってしっかりやるからよ。それで、どっちの店に入る?」
「そうね、私の要望を聞いてもらったしあなたたちが決めて良いわよ」
「僕はどちらでも構わないよ。まりも君、どちらに行くか決めて良いよ」
「えっとそれじゃあこっちのカラフルなお店にします」
そう言ってまりもは左の店を選んだ。それじゃあ僕たちはこっちの店だねとエストは右の店に近づく。
「それじゃあこの先は選んだ店毎に話を進めるから同じ店を選んだプレイヤーでしか会話できないから気をつけてね」
「必要なものだけ買うようにしてね。もう一度言うわ、必要なものだけ買うのよ!」
「まりも、買いすぎは気をつけろよ」
「あんたに言ってるのよ!」
そうしてレッドとまりものペアは左のカラフルな店へ、F2とエストのペアは右の金属の店にそれぞれ入っていった。
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