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I ニナルティナ王国とリュフミュラン国
決着、フルエレッフルエレッ!! ..
しおりを挟む「よし追えっ攻撃開始!!」
有未レナードが喜び勇んで叫ぶと、林に潜んでいた兵達が射撃を始めようと木の陰から身を乗り出す。
ザザッ
「敵が出たぞっ!」
所が衣図達の部隊は焦る処か最初から攻撃が分かっていたかの様に、冷静にさらにくるりと引き返して応戦を始める。
「バカめっこっちが絶対有利なのは同じだっ構わず撃て撃て!!」
敵騎馬隊は背中や横腹を見せている最中で、彼は楽に勝てると思った直後だった。
「今だっ行けェーーーッ!」
「おりゃーーーっ」
ドドド……
突然自分達の後ろから軍勢が殺到する気配が迫って来て振り返った。
「ぎょぎょ」
派手に出撃する主力隊の影で村の南抜け道からコソコソと出撃し、息を潜めて迂回していたイェラの部隊が衣図の反転にグッドタイミングで攻勢を掛けたのだ。
「イカン、負ける……」
結局突然の後方からの敵襲に大混乱となった。それを見て衣図の部隊も統制を立て直し一気に挟撃する体勢に入った。
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撤退を決めた彼は女副官らを逃がし、自らも部下達に見切りを付けて逃げに掛かった。
「まてっ卑怯者が!」
激怒してイェラが鬼の形相で追いかけて来る。
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「戦え~!」
あくまでも逃げようとする有未にイェラがさらに接近して横から剣を振り降ろす。
ビュンッ!
「あぶねっ!」
カシィッ
お互い馬で走りながら鍔迫り合いし、顔と顔が接近した。
「降りて戦え、それでも司令官か!」
「う、美しい……」
「?」
バシッ!
一瞬の油断に馬を蹴られ、あらぬ方向に進んでしまうイェラ。
「くっ待てーーーっ!!」
間を開けられたイェラは剣を振り回して激怒した。
「はい残念でしたーべーーー」
(屋台行きたい……)
彼は愚痴りながら隙をついて森の中へ消え去った。イェラはそれを確認すると、一瞬睨んですぐに元の主戦場に引き返した。
ー陣砦前の主戦場。
もはや戦いは最終盤だった。
守勢側だったリュフミュラン軍が今度は逆にちりじりに逃げる残敵を掃討する場面になっていた。そうなるとフルエレは率先して戦いに参加する意欲を急激に失っていく。そんな時、彼女はリュフ軍に交じって進む砂緒をようやく見つけた。
「あぁ砂緒ーーっ! ここだよーーーっ!!」
ホッとして涙交じりの満面の笑みで叫び、両手を大きく振りまくるフルエレだったが……
「あー~~? 来てたのですかフルエレ」
それは駅前で友人に再会した程度の砂緒の反応だった。
「すなお~~~!!」
感動とテンションに格段の違いを感じながら、なおも大声で砂緒を呼ぶフルエレ。
「はいーフルエレ~~?」
「すなおーーー!!」
何故か面白くなって来た砂緒は擱座した魔戦車の上に乗ると、手を振りもう一度大声で呼んでみた。
「はーいフルエレーーー!!」
釣られて突然砂緒の周囲の男共が同調して叫び出す。
「フルエレ! フルエレ! フルエレ!」
どんどん声は多く大きくなり、勝どき代わりのフルエレの大合唱となった。
「やめてー恥ずかしいッ」
その時自分の手を見てようやく気付いた。
(うっ)
今自分の姿は、純白のドレス姿で金髪をなびかせ魔銃を両手で大きく振り回し、目立ちたがり屋の勝利の女神みたいな恥ずかしいモノだった。
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