魔法の魔ローダー✿セブンリーファ島建国記(工事中２)

I ニナルティナ王国とリュフミュラン国

引き金c 砂緒さん ..

「うお、何じゃ～ぐわっ！？」

　フルエレが地面に転がる死体を見つめ一瞬戦場を忘れている直後だった。

「おのれっ！」

　フルエレの巨大な魔法シールドの裏側に回り込んで来る事を思い付いた一人の敵兵が、遂に小隊の最後尾にいた爺さん兵をけり倒し剣を振りかぶって切り殺そうとしていた。

（危ない！？）

　バンッッ！！
　振り返ったフルエレは片手で防御魔法陣シールドを立て掛けたまま、とっさに銃を拾い爺さんを襲う瞬間の若い兵士の心臓を正確に撃ち抜いていた。
　どさっ
　そのまま敵兵は胸を押さえて倒れた。

「あ……撃っちゃった」

「うひょっ助かったぞい」

　倒された爺さんは兵士の死体を押しのけて立ち上がり再び魔法瓶を掴んだ。

（う……）

　今度こそフルエレ自身による殺人だった。彼女は直後からショックで固まってしまって動きを止めたが、周囲では相変わらず村民部隊が戦い続け、後ろに回り込んで来た敵兵にも対応して魔法瓶を投げつけ始めた。
　ドドーーーン！　ダンダン……
　一見無謀にも思える村民部隊の戦いだったが、もぬけの殻となっていた陣砦への敵残存部隊の侵入を防ぎ残敵の掃討という点で一定の役割は果たしていた。



　同じ頃、騎馬突撃を開始していた衣図いずライグは多少苦戦し始めていた。やはり元々の数の差が大きく先程の様に騎馬隊の突破力だけでごり押し出来る状況では無かった。

（やっぱ甘かったかな？）
「あともう少しだっ！　敵を叩けっ！！」

　バキッドスッ！
　衣図いずは不安を感じながらも表情に出さず、部下達を叱咤しつつ必死に大きな剣を振り回し続けている時であった。

　ギョバアギャアアア！！
　壊れかけの異様な駆動音を立て、猛烈な勢いのバックで魔戦車が目の前の中央部隊のただ中に飛び込んで来た。
　ドッバァアア！

「うわぁわああ？」
「何だこりゃあ！」

　その砲塔の上には、腕を組んで仁王立ちし落ちない様に立つ砂緒すなおの姿があった。
　彼は次々に魔戦車を潰しようやく最後の６両目に乗っかった時、その中の魔導士達は恥も外聞も無く全速後退で振り落とそうとして遂に後続部隊を巻き込み始めた……

「おいおい、お前ら此処にゃ味方が居るぞっ！？」

　ギョバババッ

「ギャーーーッ！」
「魔戦車がっ！？」
「どけっお前ら！！」

　身軽な衣図らリュフミュラン傭兵はあっさり避けれるが、大混乱のニナルティナ歩兵部隊は次々にキャタピラの餌食になって行く。
　バキバキバキ
　メキメキ

「すげえな、何事だっ」

　あまりの出来事に唖然とする衣図の真横を魔戦車が駆け抜けて行った。
　ドドド……
　ギョバーーーッ

「ハハハハハハハ、これでラストッ！」

　ボコッ！
　その直後、砲塔上に立つ目付きの悪い少年がしゃがんだ瞬間、最後の魔戦車はベコベキと大きくひしゃげて行く。

（これ砂緒さん？）